寒い季節は紅茶がよりおいしく感じます。今回は、この冬行きたくなる老舗のティールーム「紅茶倶楽部DADA」を取材しました。
公開 2021/12/12(最終更新 2023/12/26)

梶原 よんり
大学卒業後、旅行会社の広報部に就職するもライターの夢を追いかけるために退職。現在は雑誌や新聞など各種媒体で執筆中。2019ポートクイーン千葉としても活動している。 ★instagram★ https://21/www.instagram.com/yonri.kajiwara/
記事一覧へ千葉にもあった!老舗のティールーム
「紅茶倶楽部DADA」(千葉市稲毛区)は千葉県でも貴重な老舗のティールームです。
私は朝昼晩紅茶を飲むほど紅茶好きですが、取材をするまでこちらのお店を知りませんでした。見つけた時には心の中でガッツポーズ!絶対に取材をしようと決めて、足を運びました。
JR西千葉駅から歩くこと7分。南口の階段を上がってすぐ、線路の横を右に進むとたどり着きます。

お店に足を踏み入れ、まず目に飛び込んできたのはカウンター前に並ぶティーカップでした。繊細なデザインと艶やかな輝きのあるティーカップを見ていると、ここが紅茶専門店であることを実感します。
「いいなと思ったものをちょいちょい買っています」と店主の石野さん。どれも華やかで特別感があります。

ティーカップのブランドはさまざま。例えばLaura Ashley(ローラ アシュレイ)、イタリアの人気ブランド「mila schon(ミラショーン)」、英国王室御用達ブランドの「WEDGWOOD (ウェッジウッド)」などの高級食器を使用しています。なかなか普段使いはできないような、憧れのブランド……!非日常感が味わえるポイントの1つです。
座席を見てみると、ぬいぐるみが。

写真に写っているのはテディベアですが、他の座席にはいろんなぬいぐるみが座っていました。どれも石野さんの旦那さんがUFOキャッチャーでゲットしたもので、ソーシャルディスタンスのために席に座らせてるのだとか。
取材時はお昼過ぎでしたが、雨天だったこともありお店は空いていました。お客さんの入り具合は日によりますが、午後2時から3時のアフタヌーンティーの時間帯が最も来店客が多いようです。のんびり過ごしたい方は、それ以外の時間を狙うといいかも?参考にしてみてくださいね。
石野さんいわく、店内では本を読んでいる方が多いようです。紅茶やイギリスのティールームを特集した雑誌がお店には揃っています。

わざわざ取り寄せられた過去号なので、今は本屋さんに置いていないものばかり。本場イギリスのアフタヌーンティーに想いを馳せながら、紅茶倶楽部DADAの紅茶をいただく時間は至福のひとときになりそうです。
英国流クリームティーで伝統的なアフタヌーンティーを
数多くある紅茶の中でも、ミルクティーが1番のオススメだと教えてくれました。せっかくなので、ミルクティーとスコーンがセットでいただける「クリームティー」を注文します。

クリームティーとは、ロイヤルミルクティーとスコーンのセットのこと。スコーンにはクロテッドクリームとジャムが添えられることが多く、イギリスでは伝統的なアフタヌーンティーとして親しまれています。
お値段は税込880円。スコーン2つにクロテッドクリーム、ジャム、そしてフルーツも付いてこのお値段はうれしいですね。ロイヤルミルクティーの茶葉は高級茶葉の「ヨークシャーゴールド」を使用しています。なお、プラス100円でヨークシャーゴールドのストレートティーに変更できます。

ヨークシャーゴールドは、お店でも看板の茶葉。英国紅茶協会から何度も賞を受賞しており、英王室御用達の認定を受けています。
ミルクと合わさると、まろやかでコクがあり、香り高い茶葉の豊さも堪能できます。おいしさに拍車をかけるのが、自家製のスコーン。
表面はサクッと、中はフワッとしつつもどこかしっとりしています。テーブルに運ばれてから、すぐにいただくのがオススメ。温かいうちに、小麦粉の香ばしさや食感を楽しんでください!
スコーンの材料は、バター、卵、砂糖、牛乳。いたってシンプルです。だからこそ、ミルクティーにもよく馴染み、そっとおいしさを引き立ててくれるのでしょう。
クロテッドクリームからは、ほんのりとした甘みを感じます。本来甘くないのがクロテッドクリームですが、「少し甘い方が好きなんですよね」と話す石野さんはクロテッドクリームにアレンジを加えています。
ジャムはシードレスのラズベリージャム。種がないので舌触りが滑らかです。
自家製のバナナブレッドも
クリームティーだけでも十分満たされましたが、欲を言ってバナナブレッドもいただきました。名前に「ブレッド」とついていますが、「バナナのパン」というよりも「バナナのパウンドケーキ」に近いお菓子です。
お皿に盛り付けられたバナナブレッドの横には、スコーン同様フルーツが添えられています。フルーツのラインナップは季節によって異なります。例えば冬ならイチゴとりんご。彩りも添えられたプレートに、にんまりとした笑みがこぼれます。
ふわふわとしっとりが両立した食感です。バナナの甘さが紅茶のお砂糖代わりに。これはストレートティーが合いそう!
やはり、おいしい紅茶にはおいしい焼き菓子がなくっちゃ!そう思わせてくれるアフタヌーンティーでした。
今回いただいたのはバナナブレッドでしたが、自家製のケーキは他にもミルクレープやチョコレートケーキなどがあります。ラインナップは随時変わりますので、お店に確認してみてくださいね。
おうちでも優雅な紅茶時間を
ご自宅でもアフタヌーンティーを楽しみたい方は、お店で提供している紅茶の茶葉を購入できます。あの「ヨークシャーゴールド」もおうちで楽しめますよ。
さらにうれしいのが、クリームティーでいただいたスコーンも購入できること。

紅茶倶楽部DADAで販売している茶葉を購入して、好みのジャムとクロテッドクリームを用意すれば、あっという間にクリームティーの完成です!もちろん、お店で提供されるクリームティーに勝るものはありませんが、自分の好きなタイミングでティータイムを過ごせるのは魅力的ですよね。
紅茶倶楽部DADAの歴史、そして今
紅茶倶楽部DADAは約40年前に、今とは別の地の稲毛で千葉県初の紅茶専門店として開店しました。その後、長野県の八ヶ岳高原に移転。自然に囲まれた環境で23年営業し、2015年、千葉県に帰ってきました。現在営業している西千葉の店舗は6年目になりますが、始まりからは約40年の歴史がある老舗なのです。
現在は石野さんひとりで経営している紅茶倶楽部DADA。以前は旦那さんと一緒にお店を営んでいました。
「西千葉でお店をオープンして3年目の時に、主人が亡くなったんです」
そう語る石野さんは、昔の話をしてくれました。ふたりでお店を営業していた頃は、スコーンやケーキなどの料理はすべて旦那さんが担当し、石野さんはホールの接客を担当していたのだとか。
「主人が亡くなってから半年間、お店をお休みしました。でも、いつまでも落ち込んでばかりはいられないなと思って」
思わず私は「石野さんは強い方ですね」と口にしました。
ですが、石野さんはこう返します。
「今、私がDADAを続けていられるのは友人、知人、古くからのお客様、皆様に支えられているおかげです。お休みしていた半年の間も、いろいろな方々に励まされ、DADAを再開できるようにと背中を押していただきました」
なるほど、石野さんが今もお店に立ち続けているのは周りの支えがあったからなのです。
「これからもひとりでゆるゆるのんびりやっていきます」と話す石野さんは、温かな笑顔を見せてくれました。
営業時間/11:00〜17:00(L.O. 16:10)
定休日/水曜、木曜 ※定休日が祝日と重なる場合もお休みになります。
電話番号/ 043-306-2592
住所/千葉市稲毛区緑町1-28-12
アクセス/JR総武線「西千葉駅」南口から徒歩7分
HP/https://ishinodada.wixsite.com/teaclubdada