11 月24 日、船橋市立三咲小学校での特別授業として行われた、市立船橋高校(以下市船)吹奏楽部による演奏会。
この背景には「20 歳のソウル」という物語がありました。

公開 2021/12/17(最終更新 2022/03/08)

編集部 ゆりか
編集部所属の取材記者。白井市出身、船橋市在住。コンテンポラリーダンス、ヨガ、ズンバ、バレエなどとにかく踊るのが好き。取材執筆も好きだが、地図が読めないため取材前はいつも軽く迷う。食べ盛りの夫と3人の子育てに奮闘中。
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コロナ禍で行事が縮小や中止になる中、「何か子どもたちの思い出に残ることを」と企画されたこの演奏会。
楽器の演奏だけかと思いきや、歌ありダンスあり、YOSAKOIソーランありで、ワクワクが止まらない素晴らしいエンターテインメントでした。

演奏を聴いた児童に感想を聞くと「想像以上に迫力があった。市船ってすごい!」と興奮気味に話してくれました。
この演奏会は来年公開される映画「20歳のソウル」(秋山純監督・中井由梨子原作)の主人公、市船吹奏楽部OBの浅野大義さんが三咲小出身というつながりで実現したものです。
市船に代々受け継がれている応援曲「市船soul」を作った大義さん。
その楽曲は、いざ試合で演奏されると市船を勝利に導く「神応援曲」としてSNS上で話題になりました。
肺がんのため20歳で短い生涯を終えた大義さんでしたが、彼が残した音楽は後輩たちに受け継がれ、今も演奏され続けています。
市船在学中に大義さんが尊敬してやまなかった吹奏楽部顧問の高橋健一教諭は「大義は常に今を一生懸命生きていた。今を大事にすることを教えてもらった。」と目を潤ませて語りました。

演奏会に訪れた秋山監督は「三咲小のみんなとこうして出会えたことも大義君が呼んでくれたから。大義君が僕らを呼んでくれたから映画が作れて、毎日頑張ろうと思えるような希望の物語になった。一人でも多くの人に大義君の生きた証しを知ってほしい」と力を込めました。

音楽を通してつながる心
演奏会の間、次々とフォーメーションを変えながら全力で演奏し、音楽を通じて色鮮やかな景色を見せる市船生。
力強いYOSAKOIでは体育館が脈打つように揺れ、「市船soul」では速いリズムがまるで心臓の鼓動のように聞こえました。
大義さんも高校時代、彼らと同じように吹奏楽に打ち込んでいたことでしょう。
市船生、大義さん、児童や教職員たち、映画関係者…その場にいる人々がつながり、体育館は一つの生き物のように波打っていました。

それは大義さんが笑顔で見守っているような、充実感に満ちた時間となりました。