4年前、秋田県から移住してきた畑澤貴美子さんが、みんなに楽しんでもらいたいと結成した「須和田スコップ三味線クラブ」。
スコップ担いで、市川の人々に元気と笑いを届けています。

公開 2022/01/24(最終更新 2021/12/28)

北国生まれの宴会芸。「真面目に聴かないで」
BGMの前奏が流れ、「ハッ」という掛け声とともに「カンカンカンカンカン」と鳴り響く金属音。
「皆さん、顔が真面目ですよ!」「笑って、笑って!」との威勢のいい掛け声に、聴いている人たちの手拍子も次第に大きくなります。

懐かしい演歌やベンチャーズの曲に、体も乗ってきます。
スコップをたたく手元を不思議そうにじっと見つめる人も。
「スコップ三味線」は、青森県五所川原市のスナックで、カラオケの曲に雪かき用スコップと栓抜きで三味線の弾きまねをしたのが始まりです。
曲に合わせて栓抜きでスコップをたたくだけなので、誰にでもできますが、本当に弾いているように見せる技術や、お客さんを笑わせる話術が大事なのだそう。
代表の畑澤さん自身、三味線もピアノも弾けず、楽譜も読めないそうですが、実に楽しそうに体を揺らしながら演奏しています。
「足腰が悪くても、座ってできるからいい。何曲でも弾ける。気持ちいいよ」。

楽しく活動するための三つのお約束

クラブには三つのルールがあります。
一つは、娘や息子には内緒にすること(やめなさいと言われるから)。
二つ目は、芸名を付けること(本名では恥ずかしいので)。
メンバーはそれぞれ「吉永小百合」や「石川さゆり」と好きな名前を勝手に付けて演奏しています。
三つ目は、ご近所に白い目で見られても、それに耐えられる強い心臓を持つこと。
この三つを胸に練習に励んでいるそうです。

人のために演奏するのが楽しい
今は、80代から小学3年生のメンバーが月1で練習し、いろいろな所へボランティアで演奏に出掛けています。

スコップ三味線を体験してもらったり、時々演奏会と同時にバザーを開き、売り上げを寄付したりもしています。

「人に楽しんでもらうのが自分たちの楽しみ」と畑澤さん。
演奏を聴いた人たちも「パワーをもらった」と帰っていきます。
する方も見る方も元気になれるのがスコップ三味線の魅力ですね。(取材・執筆/松)
TEL 080(6037)8324 畑澤