千葉市内の会社が協力し、余ったパンを原料にしたビールづくりに、クラウドファンディングを活用して挑戦。
昨年11月に初回醸造分が支援者たちに配布され、味の感想も上々です。
公開 2022/01/23(最終更新 2022/01/23)

ビール醸造所とパン屋よる共同作業
パンから作ったビールとはどんな味でしょう。
ビール好きだけでなく、パン好きな人も、一度はその味を試してみたいと思うはず。
フードロスの削減に取り組む千葉市が提案した、食品ロスの割合が高いといわれるパンを原料にした「パンビール」づくり。
その提案に賛同した市内のパン屋とビール醸造所が、お互いの専門知識を出し合い試行錯誤を重ね、ビールづくりに挑戦しました。

老舗パン屋の社長である川島隆弘さんはこれまで、大量のパンを工場直売や飼料原料として提供してきました。
余ったパンをビールという新しいものに変えて送り出せることに希望を見いだし、プロジェクトに加わりました。
幕張特産のニンジンなどを使用したビールづくりにも挑戦してきた千葉市内初のクラフトビール醸造所社長の田代圭さんは、ビールづくりに加え、その工程で生じる麦芽かすや澱をパン生地の発酵に利用するなど、新たな循環の仕組みもつくれるのではないかと、プロジェクトに期待を抱きました。
環境にも配慮したアップサイクル事業
もちろんおいしさにもとことんこだわりました。
日本で作られるパンは日本人好みのふわっとした白い生地のパンが多く、廃棄パンも当然それらが多くなります。
そのまま原料にするとパンの風味が薄くなるので、パンをローストして香ばしさを引き出すなど工夫を凝らしました。
また、ビールづくりの工程で生じる澱で発酵を促したパン「ビアフルーツブレッド」を製造する他、パン工場からビール醸造所へのパンの配送を既存の配送ルートに組み込み、物流で発生するCO₂を最小限に抑えるなど製造の全工程にも目を向けました。
パンづくりとビール醸造が循環する仕組みと、飲めば飲むほどフードロスが減るビールというコンセプトから、完成品は「Bread Rescue Golden Ale ブレッド・レスキュー・ゴールデンエール」と名付けられました。

初回醸造で出来上がったビールは昨年11月下旬、クラウドファンディングの支援者へ返礼品として発送されました。
ビールを飲んだ人たちからは「おいしい」「飲み飽きない味」などの感想が寄せられており、今後もパンビールづくりの継続が期待されています。
一般販売の時期は現時点では未定ですが、今後も取り組みを継続する熱意は十分です。(取材・執筆/まちゃぷう)
※ブレッド・レスキュー・ゴールデンエールは、国内のビールに使用可能とされている副原料以外のもの(パンともみ殻)を使用しているため、発泡酒扱いとなります
電話/080-3714-0043
千葉市シェアリングエコノミー推進事業事務局