全国で17基の石炭発電所建設計画を撤回に導き、環境分野のノーベル賞と呼ばれる「ゴールドマン環境賞」を受賞した平田仁子(きみこ)さんに、千葉県での活動について伺いました。
公開 2022/02/22(最終更新 2022/07/28)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
記事一覧へ「脱炭素」で地球の温暖化を食い止める
ノーベル賞受賞の真鍋博士が50年前に「人が排出する二酸化炭素が温暖化を招く」と警告したことが現実となり、洪水、山火事など環境の激変が世界を襲っています。
持続可能な「脱炭素社会」への転換が世界中で強く叫ばれ、日本も「2050年脱炭素宣言」をしました。
平田さんは、米国の環境NGOで学び、帰国後NPO法人「気候ネットワーク」の創設スタッフとなり、脱炭素社会実現のために、情報提供や政策提言を23年続けてきました。

千葉県内4基の石炭火力発電計画を撤回
福島原発事故で国内の全原発が停止された後、50基の石炭火力発電所建設計画が持ち上がっていることを察知した平田さんたち。
石炭火力は、LNG(液化天然ガス)の2倍の二酸化炭素を出し、気候変動防止には大問題です。
東京湾で計画されていた市原、千葉、袖ケ浦と横須賀の4市の現地に行き、情報提供や学習会を開催。
住民と共に建設計画を止める活動をしたのです。
千葉県では、毎年約2400万トン(一般家庭約600万世帯相当)の炭素排出が見込まれた石炭発電所計画が全て撤回されました。

この図を見ると、千葉県内の3カ所(4基)が中止となったことが分かります。
しかし石炭発電所が計166基も稼働中の日本。
「受賞を喜んでいられない厳しい状況。脱炭素社会実現には、枯渇しない、輸入の必要もない太陽光や風力など『持続可能な自然エネルギー』に大転換することが急務」と平田さんは訴えます。
CO2は運輸、工場、家庭などからも排出されていますが、このグラフから分かるように4割は発電からのものです。
自身が特別客員准教授を務める千葉商科大学では、すでに消費電力の100%自然エネルギー使用を実現。
脱炭素の活動を、他大学と協力して広げています。
地元・市川市の「いちかわ電力コミュニティ」での市民発電活動も続けている平田さん。
「太陽光発電なら、屋根や農地の上でもできる。脱炭素に向け、職場や地域などで皆ができることをしていけば、未来は明るい」と話す平田さんの声が、力強く心に響きました。
写真・図提供:気候ネットワーク、千葉商科大学