「ちいき新聞」が厳選した千葉県内の地元こだわり農家(※)から新鮮な米を届ける「ちいき新聞の直送米」。

その契約農家さんに、農業にかける思いを聞きました。

※農薬・化学肥料の使用量を慣行栽培に比べ5割以上減らした農家さん

「ちいき新聞の直送米」は、『ちいき新聞』が千葉県農家と千葉県民をつなぐ“千産千消”サービスです。webサイトはコチラ!

公開 2022/03/11(最終更新 2022/08/23)

編集部 R

編集部 R

「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。

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【南房総市】やぎ農園 八木直樹さんにインタビュー

東京都出身、56歳

八木直樹さんと幸枝さん校
八木直樹さん(左)と幸枝さん

なぜ農業の道に進んだのですか?

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

1993年の大凶作に伴い、タイ米が緊急輸入されるという事態に直面したのが28歳の時。

それが農業と将来の食糧問題に関心を持つきっかけとなりました。

将来日本の農家はどんどん減っていくということがわかり、自ら農家になろうと決心。

30歳の時でした。

その中でも現在の栽培方法を選んだきっかけはなんですか?

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

農業について学ぶ中で、埼玉県小川町の金子美登さん、山形県高畠町の星寛治さんという2人の先達の著書と出合ったことが大きいです。

自給を基本とした農家の豊かさ、人のつながりの広がり、生き物や環境、社会といった取り巻く世界への関り方など、この農法の実践から広がる世界に希望を感じました。

さらに就農した旧三芳村(現在は南房総市の一部)で出会った師匠たちの、百姓としての姿勢の素晴らしさにひかれ、迷わずにこの道を進んできました。

稲穂

大変だと感じる所、うれしい事などを教えてください。

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

台風など自然災害による被害のように、農業には自分の努力ではどうにもできない大変さがあるのは確かですが、「慣行栽培と違う農法だから大変」だと思うことは全くありません。

わが家では肥料を使わないせいか、野菜も含め虫の被害も気にするほどのことではないです。

田んぼの雑草も、手を掛けているうちにどんどん出にくくなり、草取りの労力が減ってきました。

やぎ農園

農薬や肥料を使わない農業には楽しいことがたくさんあります。

肥料ではなく作物の力で元気に育った時、野菜嫌いの子どもたちが喜んでわが家の野菜を食べてくれた時、「人づてにおいしいと聞いたから」とお米を求めて人が訪ねてくださる時、田んぼの中に入って稲の生長を眺めるとき、わが家で育てたお米や野菜、味噌などで食卓が豊かになる時などいくらでもあります。

おいしい米の食べ方やおすすめの品種を教えてください。

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

土鍋でじっくり炊いた玄米は、とてもおいしいです。

また、一般には、もち玄米は食べる機会が少ないと思いますが、もち玄米の赤飯などはとても食べやすくておいしいです。

赤飯

お米作りで難しいと感じることはありますか?

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

多くの田んぼでは雑草が出にくくなり、草取りの労力がかからなくなりました。

でも一部の田んぼでは、特定の種類の雑草に毎年悩まされています。

また、当地ではザリガニによって苗が切られてしまう被害が広がることもあり、その対策に気を遣います。

それらの問題を解決するためにまず行っていることは、田植え前の田んぼをいかに平らに仕上げるかということ。

田面が凸凹ですと部分的に草が出やすくなりますし、水が深い所はザリガニの被害に遭いやすくなるからです。

平らにできていれば、水深の調整をすることで問題を解決できる場合もあります。

今後の目標を教えてください。

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

わが家は、すべての田んぼで刈り取った稲を「はざ掛け天日干し」して収穫しています。

はざ掛け
はざ掛け
はざ掛け
はざ掛け作業

そのために、毎年冬場に地域の竹林で竹を伐りだし、里山保全にもつなげています。

このような地域の里山とつながった稲作を、地域に住む方々にも参加していただきながら、これからも大切にしていきたいと思います。

農村の景観を美しく保つためにも大切なことですから。

将来の夢は?

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

私が就農した旧三芳村は、1973年に始まる有機農業の先駆地として全国に知られていました。

南房総はそのような歴史ある場所ですから、この土地で、栽培方法にこだわった農業に携わる人を増やしていきたいと思っています。

そのために研修生も受け入れ、お手伝いをしています。

わが家のような一昔前の稲作によっておいしいお米をつくり、農村の景観をつくり、農業による暮らしで生きる力に目覚める若い人たちが増えていくようにしていくことが、就農してから25年になる私の役割だと考えています。

稲穂と青空

お米の宅配に関心のある人へメッセージをお願いします。

【南房総市】やぎ農園の八木直樹さんにインタビュー「ちいき新聞の直送便」の契約農家さん紹介(6)

食べものは、頭ではなく舌で味わうものです。

安心・安全のためと思って選ぶことも大切ですが、米によって栽培法や収穫、貯蔵法で味が違いますから、素直においしいと感じられることを大切にされたらいかがでしょうか。

米

好きな言葉とその理由

「信念をもって生きていれば、お金は後からついてくる」
これは農業の師匠から言われた言葉です。

この地域で誰も取り組んでいなかった1970年代に、できるだけ農薬や化学肥料を使わない農業の団体を地元農家で立ち上げ、けん引されてきた方の言葉だけに重みを感じました。

わが家も、人があまりやらない作物や方法を、こだわりを持って選んできましたが、その結果として今では米、大豆、ゴマ、杵つき餅、味噌、レンコンなど、求める方が自然に広がり農家としての暮らしも安定してきました。

自分を野菜に例えると?

レンコン。

レンコンは地上部が枯れてしまってからも地中に地下茎を張り巡らしてしぶとく生き続け、春になると再び芽が動き出してまた生き返ります。

わが家も「刈り取って、はざ掛けした稲が何度台風で倒されようともやり続けている」というしぶとさが、レンコンの生命力とも共通するように思うからです。

レンコン

 

【千葉県限定】ちいき新聞の直送米

生産方法にこだわった産直品(※)を定期的に宅配し、千葉県の生産者と消費者をつなぐ“千産千消”サービス。

どの農家から届くかは毎回のお楽しみ♪

※農薬・化学肥料の使用量を慣行栽培に比べ5割以上減らして作られた農産物

 

\ サービス詳細はコチラから/

ちいき新聞の直送米

※「ちいき新聞の直送便」は、千葉県内のさまざまな農家の野菜や米を味わっていただくため、発送ごとに都度、農家を選定してお届けします。特定の農家を指定することはできませんので、どこから届くのかをぜひ毎回の楽しみにしてください。