千葉市の図書館で30年以上児童担当を務めた4人による「いちごの会」の活動。
子どもたちの、そして絵本や児童書のプロフェッショナルたちが図書の世界の扉を開きます。

公開 2022/03/12(最終更新 2022/03/11)

経験と知識を若手に引き継ぐ
一つ一つの言葉を大切にしよう、との思いを込めた「一語」と、全ては一生に一度の出会いであり尊いものと説く「一期一会」、そこに「いちごの会」の名前の由来があります。
図書館の児童サービスに携わってきた元同僚たちが集まり2018(平成30)年に発足しました。
当時は先輩職員とペアを組み、仕事を教わり経験を積むことができたと振り返る代表の山田吟子さんは、昨今ではおはなし会の開催から利用者への応対までを若手職員が一人でこなす実態を目にし、自分たちの経験と知識を役立てたいと、図書館児童サービスの運営を支援する活動を始めました。
「図書館を訪れる親子や子どもたちのために、ゆっくり絵本を選びその場で楽しめる空間を作ること、年齢や発達に応じて出会ってほしい本や、子どもたちに選ばれ続け、脈々と読み継がれてきた本を知ること、これらは全て児童担当の素地を培うことにつながります。日々の業務に追われる若いスタッフの支えになれたら」と意気込みを語ります。

読み聞かせを通して子どもに寄り添う
いちごの会の活動は、絵本の選び方講座や親子おはなし会の開催など多岐にわたります。
1月下旬、船橋市中央図書館では「読み聞かせボランティア入門講座」が開かれ、感染症対策を講じて約10人が熱心に山田さんの話に聞き入りました。
受講者は、同市内の小学校や公民館などで読み聞かせ活動を行う予定です。

「地域の大人たちとの関わり合いが子どもを育てます。どんな時も暮らしの中に心が動く楽しみを持つこと、それを大人が子どもに伝える社会でありたい。読み聞かせを通して肉声で聴く非日常の物語は、子どもたちに自然に寄り添い、想像する力や現実に立ち向かうエネルギーを生み出します」
読み聞かせの意義を信じ、時代を超え読み継がれてきた本を伝えていくことが「いちごの会」の使命だと温かい笑顔で締めくくりました。