「動かない鳥」として、注目を集めているハシビロコウ。
日本国内では限られた動物園でしか見られず、そのうちの2羽が千葉市動物公園にいる「しずか」ちゃんと「じっと」君です。

公開 2022/03/28(最終更新 2022/04/26)

まだまだ謎が多いハシビロコウの生態
ハシビロコウは体長110〜140㎝の大型の鳥で、シャベルのように大きなクチバシが特徴。
絶滅危惧Ⅱ類に分類されていて、繁殖期だけつがいになりますが、普段は単独で生活しています。
自然界では、魚やカエルなどを捕え、特徴的なクチバシでかんで弱らせてから丸のみします。
「アフリカ中央・東部が主な生息地ですが、自然界での生態は謎が多く、情報が少ないためまだ分からないことが多いのです」と話すのは、千葉市動物公園でハシビロコウの飼育を担当する城さん。

千葉市動物公園の「しずか」ちゃんは約30年前に、「じっと」君は約15年前にそれぞれやって来ました。
2羽を見分けるコツを尋ねると、クチバシに灰色の模様がたくさんある方がオスの「じっと」君で、ほとんど模様がないのがメスの「しずか」ちゃんだと教えてくれました。
このクチバシの模様は年とともにだんだんと減っていくのだそうです。

それぞれ性格も異なり、「しずか」ちゃんは繊細で、初めて見るものには近づきません。
一方の「じっと」君はマイペースで食いしん坊。
城さんが食事の準備をしていると「早く食べたい」オーラを出して見つめてくるそうです。
また、「しずか」ちゃんは城さんが近づくと頭を下げるような仕草をするのが何とも愛らしいです。

実は活発!? 同園のハシビロコウ
「動かない鳥」といわれるハシビロコウですが、千葉市動物公園の2羽は、実は動きが活発。
ハシビロコウ舎の前に少し長くとどまって、目線や動きをよく観察していると、歩き回ったり巣作りをしたりとハシビロコウの意外な魅力を発見できるでしょう。
同園ではコイを1日に6尾程度、自然界の環境に近づけるために、あえて異なる時間と頻度で与えています。
食事の時間は、水槽のコイを狙って素早く動くので、見られたらラッキーです。
前述した通り、生態について詳しく解明されていないハシビロコウは、人の手による繁殖が非常に難しい動物。
「しずか」ちゃんは過去に4つの無精卵を産んだことがありますが、そのメカニズムもよく分かっていません。
千葉市動物公園では繁殖の取り組みにも力を入れており、今後も大学などの専門機関と協力し、注力していくといいます。(取材・執筆/昌)
千葉市動物公園
住所/千葉市若葉区源町280
開園時間/午前9時30分~午後4時30分(入園は午後4時まで)
休園日/水曜(休日の場合は翌日)
入園料/大人(高校生以上) 700円、中学生以下 無料
電話番号/ 043-252-1111