「家族に、最近テレビの音量が大きいと言われた」
「相手の言葉が聞き取れない…マスクのせいだけじゃないかも」という状況に思い当たる人はいませんか。
聞こえを改善する管理医療機器「補聴器」について、認定補聴器技能者に話を聞きました。
お話を聞いたのは…
公開 2022/03/28(最終更新 2022/03/24)

聞こえに不安を感じたら早めに検討を
聴力の低下は30代後半あたりから始まります。
テレビの音量などで家族や周りの人が気付くパターンや、職場や趣味の集まりの場で話についていけないなど、生活に支障が出てきて検討する方が多いですね。
補聴器装用の時期は早い方が効果的といわれます。
年齢が若い方が補聴器への順応力が高く、また「聞こえない」期間が長引くと、脳が言葉を理解する能力が低下します。そうなると、補聴器で「入ってくる音」を補っても「音を理解する」状態を取り戻すことが難しくなります。
突発性難聴など病気の場合もありますので、聞こえに不安を感じたら、まず耳鼻科を受診してください。
耳鼻科や販売店には家族同伴がベスト
補聴器装用のメリットは3つ。
補聴効果が得られること。
生活の質(QOL)を高められること。
そして、家族や周囲の人を楽にしてあげられることです。
販売店では、語音聴力測定で言葉の聞き取り状況を調べ、「どんな場面で困っているか」など、本人はもちろん家族にも問診します。試聴を行い、本人と家族共に装用の効果が実感できたら器種の説明に移ります。
補聴器は、入ってきた音を分析し、大きな音、小さな音、人の声それぞれを瞬時に「聞こえる音」に調整する管理医療機器です。1台5万円〜50万円(非課税)と決して安くはありませんが、また高ければいいというものでもなく、「その人の生活環境と必要な音(何を聞き取りたいか)」に応じて選択することが大切です。

補聴器の形状は、主に耳掛け型と耳穴型があります。
耳掛け型はハイパワーで目立ちにくいのがメリットですが、昨今のマスク生活で煩わしさを感じる人も。
耳穴型は既製タイプと耳型を採取するオーダーメイドタイプの2種ありますが、どちらもフィット感がよく、マスクの邪魔にならない点も人気です。

お店によっては期間レンタルを行っていて、実際の生活の中で確かめてから購入できます。
相談しやすく通いやすい地元の販売店で
補聴器は購入がゴールではなく、そこから販売店や技能者と長いお付き合いが始まります。
定期的に補聴器と補聴効果を確認して調整したり、お手入れのアドバイスなどアフターフォローが重要になるので、自宅から通いやすい立地の中から信頼できる販売店を探すとよいでしょう。
以前、補聴器の装用を始めた中学生に「周囲のガヤガヤした音が聞こえるようになってうれしい」と言われたことがあります。
雑音もまた大事な「音」なんだと気付かされました。
補聴器にネガティブなイメージを持つ方もいますが、人生を前向きに楽しむために補聴器の検討をお勧めします。

補聴器の医療費控除について
2018(平成30)年度から「補聴器適合に関する診療情報提供書」の活用により、診療のために補聴器が必要と証明された場合、その補聴器購入費用の医療費控除が受けられるようになりました。
(1)(一社)日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定の補聴器相談医を受診する
(2)補聴器相談医が「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」に必要事項を記入して患者に手渡す
(3)患者は(公財)テクノエイド協会認定補聴器販売店または認定補聴器技能者のいる店(※)でこの書類を提出して購入することで、当該年度の医療費控除対象に申請ができます。
※技能者認定は資格取得に4年、また5年ごとに取得時と同様の更新審査が義務付けられています