農業従事者や家庭菜園で野菜を育てる人が、栽培の過程で採れた種子や種芋を持ち寄り、交換する「たねの交換会」。
その地域の気候や風土に適応した種子を増やすことを目指しています。
公開 2022/04/19(最終更新 2022/04/18)

編集部 モティ
編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB
記事一覧へ採種を繰り返し土地に合った野菜に
「たねの交換会」は2010年から全国各地で開催され始め、千葉県では「たねとりくらぶ千葉」代表の田村さんが中心となり、毎年3月の第1日曜に実施。
今年は若葉区の下田農産物直売所の店内で行われました。

農薬や化学肥料を使用しない農業を営む市川市の宮﨑さんは、5年前から会に毎年参加。
「市販の種で農薬を使わなくても栽培できるものはまだ少ない。国産や無農薬の野菜にこだわるのなら、種からそうあるべきだと個人的には思うんです」と話します。
自家採種をするには場所が必要な上、花を咲かせ実を付けるまで時間や手間もかかりますが、「自分の土地で採れた種をまいて、実った作物からさらに種を採る。その繰り返しで、野菜がその土地の気候や風土に慣れ、より強く、育てやすくなっていきます」と教えてくれました。
交換することで栽培の幅が広がる
3月6日に開催された交換会では、千葉市を中心に、印西市や佐倉市など県内各地から6組7人が集まりました。
今年の参加者はほとんどが家庭菜園を楽しむ人たち。各自、持ち寄った種は1〜10種以上、野菜を中心に花やハーブなど、数も内容もさまざまです。

えびすかぼちゃや九条ねぎなど比較的ポピュラーな野菜もあれば、アピオス、ラベンダーナスといった珍しい野菜もあり、参加することで多様な種を入手することができます。参加者は栽培方法のコツや野菜の特徴も紹介し、情報交換の場にもなっています。
今回が初めてという参加者からは「皆さんからの種の紹介を聞いているだけでワクワクしました。まだまだ知らない野菜がたくさんあるんですね」という声が上がりました。

「会の目的は、種の自給促進とその種が地域で循環すること。ですが、社会的な意義を背負うとちょっと重たくなってしまうので(笑)、ただ、育ててみたい、食べてみたい、という気持ちで参加いただければ」と代表の田村さん。
難しく考えず、一人でも多くの人が興味を持って実践することが、会が掲げる目標の達成に近づくのだとほほ笑みました。
問い合わせ
tanetori.chiba@gmail.com たねとりくらぶ千葉