今年初めに開催された千葉市郷土博物館主催「歴史散歩」のコースに選ばれた蘇我の宮本さん宅。

時代とともに移り変わる 風景を今も見守り続けています。

【千葉市】歴史散歩コースに選ばれた蘇我2丁目の古民家「宮本さん宅」
趣のある宮本さん宅

公開 2022/08/19(最終更新 2022/07/27)

編集部 モティ

編集部 モティ

編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB

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関東大震災や戦火をくぐり抜けて現存

蘇我駅から徒歩20分ほどの、房総往還沿いにある宮本さん宅は築100年の古民家です。

外観は1923(大正12)年の建築当時からほぼ同じ姿を残します。

銅製の戸袋やしっくいの外壁など、今では見られない建築様式に専門家からも高い関心が寄せられているそうです。

建具や家具の一部も大正時代のもの。

特別に家の中を見学させてもらうと、格子戸や戸棚の扉など時代を感じるデザインが随所に見られます。

大規模な改修をしていないにもかかわらず、劣化がほとんど見られない点に当時の建築技術の高さがうかがえます。

【千葉市】歴史散歩コースに選ばれた蘇我2丁目の古民家「宮本さん宅」
今では珍しい銅製の雨どい

「この家が建ったのは、関東大震災のちょうど半年前。幸いにも大きな被害はなかったようです」と話すのは、現在この家屋を管理している四代目の宮本弘さん。

第二次世界大戦中、蘇我エリアは大規模な空襲がありましたが、宮本さん宅は奇跡的に焼け残りました。

「空襲後、爆弾の破片が柱に突き刺さっているのを養父が発見したようで、その破片は今でも大切に保管してあります」と現物を見せてくれました。

【千葉市】歴史散歩コースに選ばれた蘇我2丁目の古民家「宮本さん宅」
戦時中、柱に刺さっていた爆弾の破片

建物を通じて蘇我の歴史を知ってほしい

房総往還の1本向こう、湾岸道路(国道357号)から先は、かつて海が広がっていました。

宮本家は戦前、立地の良さを利用して、船便で買い付けに来る陸軍を相手に、馬の餌を納める商売をしていたと伝わっています。

「その商売をしていたのは初代の忠次郎。三代目に当たる私の養母は『みせ』と言っていましたが詳しいことは実は分からないんです。ですが、入り口正面に土間がある典型的な商家造りなので、何かしらの商売をしていたのでしょう」

昭和40年代に増築し、ずっと養母が暮らしていましたが、3年前に他界。

以後、敷地内に住む宮本さんが大切に管理をしています。

「地域の歴史を伝える場所として有効活用していきたい」と宮本さん。

外観の見学はいつでも自由にしてほしいとのこと。

さらに宮本さんが在宅中なら家の中を案内してもらうことも可能です。

【千葉市】歴史散歩コースに選ばれた蘇我2丁目の古民家「宮本さん宅」
タイムスリップしたような気分に

場所/千葉市中央区蘇我2丁目 千葉曽我野郵便局向かい
※住宅街のため近隣の迷惑にならないよう静かに見学を