人が足を踏み入れることができないほど荒廃した210haの山林と農地を「市原みつばち牧場」として復活させた中村伸雄さん。

その背景には次世代に向けた思いがありました。

市原みつばち牧場
今年からスタートしたひまわり畑。ハート形の植栽はスタッフのアイデア

公開 2022/10/06(最終更新 2022/10/05)

ちいき新聞ライター

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荒廃した土地との出合いと里山の復活

造園家として植物や土地を育てる仕事をしていた中村伸雄さんが市東(しとう)地区の耕作放棄地に出合ったのは2013年の春のこと。

市原みつばち牧場
中村伸雄さん。ひまわりと一緒に

40年ほど前までは手入れが行き届いた田んぼと林だった場所が、人の都合で荒廃し荒れ果てた土地となっていました。

しかし中村さんは、この土地を見た時、宝物のような里山の風景をイメージしたと言います。

新たな息吹を吹き込んで豊かな環境を取り戻し、未来の子どもたちに残せる里山をなんとしても作りたいという思いが、中村さんを駆り立てたのです。

でもその道のりは簡単なものではありませんでした。

土地の基盤造成、排水工事、切戸・盛土工事と5年もの年月を費やすことに。

沼にパワーショベルが埋もれてしまい、買い替えを余儀なくされたこともあったそうです。

蜜蜂と暮らせる牧場作りに挑戦

「子どもたちがはだしで駆け回ったり寝転んだりと、遊びながら自然との付き合い方を学べる場所にしたかった」と中村さん。

そのためにも次の世代に継続できる方法として養蜂を選びました。

蜜蜂が好む草花や樹木を植えて、美しい景観を実現。

蜂蜜はもちろん、菜の花からの菜種油を使った肌に優しい菜種100%石けんなど、大地の恵みを活用した加工品も製造しています。

「地域の人たちと協働して生産者と消費者をつなぐ農業の形が見え始めています」と手応えも十分。

今年の夏には「市東38(しとうみつばち)まつり」を開催し、多くの人でにぎわいました。

市原みつばち牧場
市東38まつりでは、舞踏団と一緒に子どもたちがダンスを楽しむ場面も

今がやっと第1章だと話す中村さん。

この先には子どもたちのための計画があるなど「まだ内緒だけど」とほほ笑みながら、今後の展望についてこっそり教えてくれました。

自然から受ける恩恵を大切に、魅力を発信し続ける「市原みつばち牧場」。

市原みつばち牧場
市東38まつり

中村さんの挑戦はこれからも続きます。

(取材・執筆/案山子)

市原みつばち牧場
住所/千葉県市原市高倉272
営業時間/10:00~17:00 ※場内ショップは16時まで
定休日/火曜日(夏期変更有)

問い合わせ
電話/0436-63-3411
HP/https://beefarm.co.jp/
Twitter/@beefarm_38
Instagram/@ichiharamitsubachibokujyou