2022年1月、成田市公設地方卸売市場(以下、成田市場)が成田空港の隣接地に移転して、新しく生まれ変わりました。
魚に脂が乗っておいしくなる冬、年末年始の食材の買い出しに出掛けてみませんか?

ここでは全国の産地から集まってくる新鮮な水産物や農産物をパッケージしたり、小分けにしたりして、主にスーパーや飲食店などの業者に販売しています。
魚介類などを扱う「水産棟」で、仲卸売場の様子を見学させてもらいました。

\「ちいき新聞TV」の動画で詳しく!/
公開 2022/11/30(最終更新 2023/09/05)

仲卸のプロも勧める!魚を食べるなら冬
午前7時。
手指を消毒して、水産棟の仲卸売場に入ります。

仲卸売場では12社の仲卸業者が魚介類を販売。
そこにレストランやスーパーの仕入れ担当者などが商品を買い付けに来ます。
業者の売買のピークは午前6時から午前7時ごろまで。
それを過ぎると一般客の姿も増えてきます。
来場者は成田市内をはじめとする印旛郡市・香取地域など、近隣の方が多いとのこと。
そうです、業者でなくても市場で直接買うことができるのです!

いろんな魚が箱単位で並んでいます。

―買う時は箱単位で買わないといけないのでしょうか?
「いえ、1匹からでも大丈夫ですよ。筋子ひとはらください、という買い方をされる方もいます。箱で買って何人かでシェアする人もいますよ」と有限会社成田ヤマニの林さんが教えてくれました。

あ、サンマ!
―ニュースでサンマが不漁だと聞いたのですが…
「そうですね。今年はサイズが小さいです。例年ですと2kg入りの箱に9尾ぐらいしか入らないのが、今日は14尾。それだけ1尾当たりのサイズが小さいということですね」
秋の風物詩、今年は厳しい状況のようです。
―ちなみ冬におすすめの魚は何ですか?
「冬は全体的に魚の脂の乗りが良くなるので、おいしい魚はたくさんありますが…。年末商材のイクラ、カニ、鍋商材のアンコウやタラ。よく売れるのはブリですね。おすすめといえば子どもでも食べやすいサーモンかな。クリスマスにも使いやすく、家庭用の冷蔵庫でも保存しやすいので一般の方にも扱いやすい魚です」

店舗内にはアナゴをさばいている職人の姿が。
業者の来店が増える午前6時前に、あらかじめさばいておくそうです。
仲卸業者は得意先の小売店やレストランの仕入れ担当と普段から密なコミュニケーションを取っていて、売れそうな魚を厳選して仕入れているとのこと。
日によって並ぶ魚が違うので、市場に行ったら「本日のおすすめ」などを聞いてみると良いかもしれません。

仲卸売場に並んでいた魚は、どこから運ばれてくるのでしょうか?
成田市場では成田空港や高速道路などの充実した交通ネットワークを利用し、年間水揚げ量日本一の銚子漁港をはじめ全国から水産物が集まってきます。
それらを集め、卸売業者と仲卸業者の間で取り引し、買出人(小売店や飲食店の仕入れ担当者など)への販売が行われているのが水産棟。
1日約11トン、年間で延べ約200種類の魚介類を扱っています。
ここで成田市場の水産棟での魚介類の流れを紹介します。

水産棟には「卸売場」と「仲卸売場」があります。
卸売場は関係者以外立ち入り禁止のエリア。
卸売業者が全国から集めた魚介類を、ここで仲卸業者に販売します。

売買は「せり」や、「相対取引」と呼ばれる個別交渉によって行われます。
仲卸業者は卸売業者から買った魚介類を先ほどの仲卸売場に運び、買出人に販売したり、小分けや包装をして販売先に配送したりします。

成田市場では午前5時半からマグロのせりが行われます。
卸売業者(写真左)が「仕切り値」と呼ばれる基本価格を設定し、仲卸業者が「手やり」という独特のサインで入札、一番高値を宣言した業者が落札します。
せり自体はほんの数分で終わってしまうのだとか!
瞬時の判断が求められる真剣勝負の場です。
そのため、せりに参加する業者は開始前の午前5時ぐらいから、並べられた見本のマグロを入念にチェック。
あらかじめ買いたいマグロに目星をつけておき、一瞬のせりに賭けるのです。
鮮度や身の状態を判断する上で重要なのは、並べられた尾や切り身の色合い。
色の見やすさは、せり場の床の色や照明によってだいぶ左右されます。
新しい成田市場では卸売業者・仲卸業者からの要望により、床の色(緑)と照明について、豊洲市場と同じものが採用されています。
卸売場内には、新設された「水槽エリア」もあります。

生きた魚は輸送コストがかかりますが、市場の中でプロが〆るので鮮度は抜群!
ハマチ、カンパチ、マダイ、ブリなどが運ばれてきます。
全国が注目!新しい成田市場はこんな場所

成田市場には現在、魚介類などを扱う水産棟と野菜や果実などを扱う青果棟に加え、水産物や青果物を海外に輸出するための加工や手続きを行う高機能物流棟、そして11月に一部の店舗で営業を開始した関連食品棟があります。
関連食品棟は、水産物や青果物以外の肉や漬物などの食料品の販売や、飲食店が営業する施設です。
さらに市場から卸された新鮮な食材の買い物や食事が楽しめる集客施設棟や、飛行機の離着陸を間近に眺めることができる展望デッキも予定されています。
閉鎖型で水産棟全体を低温管理
移転前は屋外と仕切るものがなかった成田市場ですが、新しい施設は建物が壁で囲われた閉鎖型という構造。
空調を効かせて室温を一定に保つことで、温度管理や衛生管理が飛躍的に強化されました。
特に水産棟では冷房運転で売場を低温管理し、魚の鮮度をより長く保ち続けられるようになりました。
冷凍冷蔵庫エリアでは最低温度マイナス60度での保存も可能です。
災害などによる長時間の停電が発生した時にも運転可能な、非常用発電設備も有しています。
ワンストップで市場から海外へ
成田市場の高機能物流棟では、日本の農水産物を海外に輸出するために必要な手続きを一カ所で行うことができる「ワンストップ輸出拠点機能」を備えています。
このような機能を備える卸売市場は全国初とのことで、全国の市場関係者から注目されており、視察が絶えないそうです。
買い物だけでなく見学もできる!
社会見学も兼ねて市場を見てみたい…そんな人のために見学コースも用意されています。

順路に沿って進むと、成田市内の保育園の園児らが描いた絵が飾ってありました。
ギョギョ!あれはもしかして…
所々に市場に関するクイズがあります。

2階からは卸売場や仲卸売場全体が見渡せます。

午前11時ごろには撤収してしまうので、見学は朝早めがおすすめ。

撤収後も様子が分かるようにと、見学コースの説明パネルに写真を掲載し補足しています。

現在は産地直送やネットなど市場を通さない取引経路が増えているとのこと。
それでも「全国から安定した数量の食材を集め、地域に供給する市場の役割は重要です」と、ここまで案内してくれた成田市経済部卸売市場管理係の出口さんは話します。
プロが鮮度や品質をしっかり見極めて、安全かつおいしいものを厳選して販売している安心感があります。
今回は水産棟をご紹介しましたが、青果棟にも新鮮な食材がたくさん。

一般の小売店では見かけないような珍しい加工品もありました。

年末年始の食材探しに、ぜひ訪ねてみてはいかがでしょうか。
場所/千葉県成田市天神峰80-1
営業時間/午前5時~午前11時(店舗により異なります)
※お買い物のおすすめ時間は午前7時~午前9時
駐車場/646台(無料)
定休日/日曜・祝日・水曜(不定休)
問い合わせ/0476-37-7018 成田市経済部 卸売市場
https://www.city.narita.chiba.jp/business/page0139_00039.html
※最新のイベント実施状況は成田市HPや広報で確認を
