自家製酵母や国産小麦、花見糖などの良質な材料を用いて、「なぜ」の理論も含めてレシピを伝える船橋市のパン教室・カタカゴ。

主宰する新宅朋子さんは、比類ない探求心と行動力でパン作りに取り組み続ける、気さくで楽しいパンの先生。

「自分が食べたくなるおいしいパン作りのお手伝い」をコンセプトに、レッスンのほか販売会や季節を楽しむワークショップの開催など、人気を集める「カタカゴパン」の魅力をたっぷりお届けします。

公開 2022/10/24(最終更新 2023/12/25)

雪道

雪道

高知県出身、船橋市在住。元英語講師。ロック好き。読書好き。月村了衛、笹沢左保、有栖川有栖が好きです。残りの人生の目標は、ピアノとドイツ語をならうこと。好きな言葉は「ご縁」。

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おしゃべりも楽しい!レッスン見学レポート

新京成線「高根木戸」駅から徒歩7分、住宅街の中、昔ながらの細い路地を進んだ先にレンタルスペース「モクナ」があります。

レンタルスペース「モクナ」看板
やさしい色使いの、かわいい看板が目印

その2階で開講しているのが「こうぼのパン教室カタカゴ」。
今回、「甘い豆のリュスティック」のレッスンを見学させていただきました。

リュスティックとは、フランス語で「素朴な、田舎っぽい」という意味。
フランスパンの一種です。
「軽いけどもっちり、国産小麦のおいしい風味が楽しめるパンです。シンプルな生地に、ほんのり甘い豆がよく合います」とのこと。

聞いているだけで、おいしそうです!

新宅朋子先生

カタカゴでは、北海道産の小麦粉、鹿児島や沖縄の離島が原料産地である花見糖など、できる限り良質な国産品を材料に使用しています。

「せっかく自分で作るのだから、安心できる材料で、心もからだも元気になれるおいしいパン作りのお手伝いをしたい」と新宅さん。

パン教室

実際に生地をこねたり分割したり、レシピを見ながら説明を聞いたり。

パン作りにおける塩や砂糖の役割についてのお話がとても興味深く、生徒さんたちも熱心にメモを取りながら聞き入っていました。

「どんな質問も大歓迎」と新宅さん。

「自分では疑問にすら思わなかったことを考えるきっかけになります。質問できる雰囲気の教室でありたい」と笑顔で話します。

「理論的な『なぜ』という部分も含めて説明し、材料や気温などの条件が変わっても、また、ご自宅でもおいしくパンを焼けるようにお手伝いができたらと思っています」

おしゃべりも楽しみながら、和やかな雰囲気の中、レッスンは進みました。

さて、「甘い豆のリュスティック」がそろそろ焼きあがったようですよ。

リュスティック
手前の2枚の網が生徒さんたち作のリュスティック。いい焼き色!

そして最後は、焼き立てパンを添えた試食ランチ!

焼き立てパンのランチプレート
フランス料理店で働いた経験もある新宅さん。プレートランチが実においしそう

教室でランチを食べない場合は、おみやげのパンを2倍、またはお持ち帰り用の生地を2倍にできるそうです(定員2~4名。レッスンメニューにより変更あり)。

興味のあるパンの回に気軽に参加できるようにと、レッスンはすべて単発開催になっています。
ホームページでスケジュールをチェックしてみてくださいね。

カタカゴパンの原点と歩み。そこにあるのは探求心

兵庫県ご出身の新宅さん。

大学時代のアルバイトを含め約2年間勤務したフランス料理店から、パンと焼き菓子のお店へ。
午前中はパンの製造に携わり、午後や定休日にパン教室を担当。8年間勤務しました。
そのお店のパンの味と、そこで培った知識と経験が原点となり、現在のパン作りにつながっているといいます。

「先輩が作ったパンが、とってもおいしかったんです」と朗らかに笑う新宅さん。
そのころはまだ珍しかった、米由来のホシノ酵母を使ったパンでした。
果物や穀物などに付着する酵母菌を採取して使う自家製酵母や、米由来のホシノ酵母は、発酵力の強い単一酵母のイーストに比べ、酵母数が少なく発酵がゆっくりですが、時間をかけて発酵する過程で複数の菌からうま味成分が生まれ、味わい深いパンになります。
そういったパンに魅力を感じた新宅さんは、勉強のため複数の教室や学校で製法を学びながら、試行錯誤しつつ自身の手法を確立していきます。

「パン作りは不思議がいっぱい。一生、勉強だなぁとつくづく思います」と、やわらかな関西弁で話す新宅さん。

「ある程度の『おいしいパン』という枠は存在していて、そのおいしいパンをどう作るかという過程は作り手それぞれ、自由で答えがないんです。だから難しいし、おもしろい」と目を輝かせます。

大人気!クリスマスを彩るシュトレン

9月末、レーズンを洋酒に漬け込むところから始まる、カタカゴのシュトレン作り。

シュトレンとは、生地に洋酒漬けのドライフルーツやナッツが練り込まれたドイツの伝統的な発酵菓子です。

本場ドイツでは、クリスマス当日に向けて、薄くスライスしたシュトレンを少しずつ食べる習慣があります。

日がたつにつれて中のドライフルーツの風味が生地に染み込み、味わい深く変化していくのを楽しむのです。

シュトレン2種
昨年のシュトレン。写真はホワイトチョコと黒糖ラムレーズンイチジク(写真提供・カタカゴパン)

昨年は、11月下旬には予定本数が完売。

栄養価の高い全粒粉や自家製酵母を使うカタカゴのシュトレンは、種を作ってこねて成形、焼いて冷まして、バターでコーティング後、花見糖や有機黒糖の粉糖で仕上げます。

ラッピングもおしゃれでかわいい!シュトレン
ラッピングもおしゃれでかわいい!(写真提供・カタカゴパン)

手間と時間を惜しみなくかけて完成する人気のシュトレン。
今年も多くの人が心待ちにしています。
予約開始の日時や方法など、詳細はインスタグラムで発表されるとのこと。ぜひチェックしてみてくださいね。

事前予約がおすすめ、絶品・酵母スコーン

パン作りのレッスンと並行して、近隣の雑貨店では酵母スコーンや焼き菓子の販売会を実施。

スコーンは事前予約で完売するほどの大人気!

スコーン
(写真提供・カタカゴパン)

写真から伝わるでしょうか?

外側はザクッと、中はさっくり、しっとり。
ゆっくりかみしめて味わいたい、ほんのり甘く奥行きのあるおいしさ…。

不定期の販売会の日程や予約方法については、随時インスタグラムで告知があるとのこと。

酵母スコーンのレッスンもありますよ。
バターの分量が多いので暑い季節は作りづらく、おのずとレッスンは10月ごろからの寒い時期の開講になるそう。

スコーン
(写真提供・カタカゴパン)

スコーンはパンに比べて手間がかからず作りやすいので、教室で習って自宅で作る人も多いとか。

また、船橋市習志野台の「おやつカフェkoyausagi」で食べられるスコーンは、店主の長島佳子さんがカタカゴで習ったスコーンのレシピをアレンジしたもの。

「koyausagiさんでスコーンを食べたお客さまが、教室に習いに来てくださることが多くてうれしいですね」と新宅さん。

新宅さんは大阪でパン教室を始め、結婚後は兵庫県三田市で、そして家族の転勤に伴いアメリカ・ニューヨーク市でもパン作りに携わり、レッスンを続けてきました。
そして船橋に移り住み、パン教室を再開して、2022年11月で3年が経過。
教室を通して多くの人と出会い、刺激をもらっていると笑顔で話す新宅さん。

教室の名「カタカゴ」は、「堅香子」と書き、かたくりの古い呼び名です。
花が大好きだったお母さまが名付けてくれたそうです。

「風に揺れ、木漏れ日に映えるかたくりの花のように、日常を少し豊かにできたらとの思いでパン作りを続けています」

親しみやすい人柄と、パン作りに真摯に向き合い続ける姿勢、そして何よりからだにやさしくおいしいパンや焼き菓子は、確かな人気を集め信頼を築き、これからも人の輪をつなげていくのでしょう。

こうぼのパン教室カタカゴ
住所/千葉県船橋市高根台6-23-18-201 mokuna内
問い合わせ/katakago@live.jp
駐車場/なし
インスタグラム/@katakagopan
HP/https://katakagopan.amebaownd.com/