終戦から77年過ぎて、今もなお水中には多くの戦跡が残ります。
忘れてはいけないその思いを追い続ける若きカメラマンがいます。
公開 2022/11/15(最終更新 2022/11/14)

青く深い海底で見た悲しい歴史

1982年、草加市生まれの戸村さんは、カメラマンを目指して写真専門学校に通い、撮影技術を学びました。
その頃に始めたダイビングで水中のサンゴや魚などを撮影していくうちに、海の中にはたくさんの艦船や航空機などが沈んでいることを知ります。
その多くは太平洋戦争や第二次世界大戦で戦った日本のもの。
戸村さん自身は戦争を体験していない世代でありながらも、何かに導かれるようにそれらを撮りため、2020年に海底の戦争遺産としての写真集『蒼海の碑銘』を出版。
好評につき、今年8月に続編の『続 蒼海の碑銘』が発売されました。

後世に残すことをライフワークに
水中写真家として世界各地の海に潜り、撮影・取材を続ける戸村さん。
執筆活動や講演会、写真展などもこなし、精力的に活動しています。
「もともと歴史に興味があり、水中の戦跡などを撮るうちに戦争の悲惨さを改めて感じました。写真の展示会では遺族の方がいらして、家族が乗っていたであろう船や飛行機を『悲しいけれど写真で見ることができて良かった』と感謝の言葉を頂くこともあります。今後も撮影を続け、後世に残すことをライフワークとしていきたい」
世界各地には、まだまだ多くの沈没艦船や航空機があるといいます。
観光地といわれる場所も、美しい海のその底には悲しい歴史が残されています。
戸村さんの写真を見て、改めて「無関心ではいられない」と思う人も多いのではないでしょうか。
(取材・執筆/トモ)
※問い合わせ
水中写真家OCEAN PLANET 戸村裕行
HP/https://www.hiroyuki-tomura.com/