高校生剣士が全国から集まる剣道の錬成大会が、県立成田国際高校の主催で2017年より開催されています。
仕掛け人は同高校剣道部顧問の伊藤智和さん。
「錬成大会」の持つ重要な意味とは…その開催の様子や懸ける思いにフォーカスしました。
公開 2022/12/25(最終更新 2022/12/23)

成田の立地と環境の良さで実現

今年の9月17日〜 19日にわたり、重兵衛スポーツフィールド中台体育館において「成田全国剣道錬成大会」が開催されました。
会場に足を踏み入れると、剣士たちの凛々しい掛け声と、打突鋭く竹刀が鳴る、すがすがしい緊張感に包まれます。
剣道という日本武道がまとう空気の美しさに、はっと息をのむ瞬間でもあります。
今回の錬成大会には、全国から約100の高校が参加し、交流戦を通してその心と技術を高め合いました。

主催者である成田国際高校剣道部顧問の伊藤さんは、前任の市立船橋高校で女子剣道部を7年連続で全国大会に導いた名監督。
全国の強豪校とのつながりから、船橋で他校の高校生を招き錬成大会を開催してきましたが、成田でもその立地と環境の良さから開催に踏み切ります。
当時の街づくり協議会会長や成田市、市内宿泊施設などの協力を得て2017年に第1回を開催。
道着・袴に身を包んだ参加校の剣士たちが成田山新勝寺を詣でると、「勝御守」が各校へ贈られました。

高校生剣豪集結 礼に尽きる3日間

「剣道が好きな子どもたちに、良い環境で切磋琢磨してもらうことが一番の目的です。そのために、志高く情熱のある高校生を成田へ招きたい」と伊藤さん。
3日間を通してたくさんのリーグ戦が組まれ、皆が剣道に染まる濃厚な時間になりました。
今回伊藤さんが思い出深かったのは、山梨の高校から参加した男子高校生のエピソード。
離れて暮らす青森の両親も応援に駆け付け、普段なかなか試合に出られない中での息子の勇姿に家族が涙をこぼすシーンに強く胸を打たれたと言います。

大会に出ることが全てではなく、子どもたちが情熱を持って剣道を続けられる環境づくりに貢献したい、そして自身の指導する成田国際高校の生徒の話になると、「自分の子どもと同じくらいの『希望』であり、大切な『宝』です」と顔をほころばせます。
昨年は参加校から10校、全国大会へ出場を決めたとのこと。
礼でつむぐ同志との交流は、子どもたちに明日への活力を与え続けています。