かつて戦場で人の生死に向き合ったジャーナリストの大塚さん。
人がより良く生きる方法を取材し伝えて30年になります。
いま取り組んでいる「心のライティング」とは——。

公開 2023/01/24(最終更新 2023/01/25)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。
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1992年からの米国滞在をきっかけに、動物を支えに病魔と闘う難病患者や、介助犬訓練で立ち直る受刑者の姿などを次々に本で紹介してきた大塚さん。

講談社や小学館の出版文化賞を受賞するなど高く評価され、2009年には、島根県の刑務所が日本で初めて盲導犬候補の子犬の育成を始めた際に、アドバイザーに就任。
そして、2017年から新たに始めたのが「心のライティング」です。
欧米では図書館、病院、刑務所などで広く行われ「癒やしの文章創作」とも言われる方法。
大塚さんが、いつか日本でもやってみたいと思っていたものでした。
分かち合い、多様な価値観を認め合う
参加者はまず、その日のテーマに沿って、自分の感じたままを自由に書きます。
そして自分の文を読み返して、気付きがあれば書き留めます。
その後、読んでもいいという人はそれを読み上げ、参加者全員でシェアします。
文章への批評や議論はしない決まりなので、皆にそのまま受け止めてもらえる安心感から、「自分の思いが出せて重荷が下ろせた」「癒やされた」などの感想が多いそうです。
また、他者の話を聞くことで多様な価値観を認め、自己肯定感につながるといいます。
大塚さんの「心のライティング」は、2019年には埼玉県川越市の女性グループ「紅茶の時間in 川越」でも開始。

現在はオンラインも加わり、東京・三鷹市や国立市でも始まっています。
「50代以上の人が多い『川越紅茶』の参加者は、普段は他者をケアしている人ばかり。だからこそ、書くことを通して自分の本当の気持ちに気付き、より良く自分をケアしてほしい」と話す大塚さん。
悩みや苦しみを抱え込まずに外に出し、仲間と共有する「心のライティング」。
こんな風に自分と向き合える場が、日本にももっと増えていくことを期待します。
大塚敦子さんウェブサイト「ともに生きる」
HP/https://www.atsukophoto.com/