千葉県発の起業を応援する「第8回ちば起業家ビジネスプラン・コンペティション(CHIBAビジコン2022)」で「ちいき新聞賞」と「千葉日報賞」を受賞した藤澤美香さん。

タブー視されがちな性にまつわる社会課題を解決しようと奮闘しています。

公開 2023/03/15(最終更新 2023/03/13)

広田 みずほ

広田 みずほ

埼玉県生まれの千葉県民。地域新聞社で広告の企画営業、編集部を経て現在広報担当。好きなものは東南アジアとハイボール。勝田台駅周辺の酒場放浪記を書きたい。★X(旧Twitter)★@tahirom2

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性感染症保有者としての実体験を投稿

Health Connect株式会社代表取締役の藤澤美香さん
Health Connect株式会社 代表取締役 藤澤美香さん

千葉市生まれ印西市育ちの藤澤さんは、看護師を目指して順天堂大学に進学。

4年間救命救急に従事した後、循環器病棟やコロナICUなどで命と向き合ってきました。

現在も非常勤で看護師を続けながら会社を経営しています。

起業のきっかけは、自身が性感染症を経験したことでした。

コロナ病棟勤務中にストレスで性器ヘルペスを発症。

「すごくショックだったし、自分が汚いと思った。どうしたらいいか分からず、毎日泣いていました」。

他にも同じ悩みを抱えている人がいるのではと考えた藤澤さんは、自分が感じた恐怖心やつらさをSNSに投稿。

すると延べ400件以上のメッセージが届くようになり、誰にも相談できずにいる人がいかに多いかを痛感したと言います。

性感染症の悩みに寄り添うアプリ「say」
「たなぽん」として各種SNSでも情報発信中

SNSで仲間を募り会社を設立

SNSでの相談が増えるうち、個人で一人一人に対応するには限界があると感じ、みんなで悩みを共有できるツールを作ろうと考えるように。

「医療者だけでは救えない部分がある。自分がつらい時、話を聞いてほしい相手は同じ経験をした人でした」

そのアイデアを引っ提げ2021年に初めて出場したビジネスコンテストで、「仲間がいないことが課題だ」と審査員に指摘された藤澤さんは、なんとその日のうちにSNSでメンバーを募集。

呼びかけに答えてくれた看護師と2022年8月に会社を設立すると、藤澤さんの思いに共感するエンジニア2人も加わり、性感染症に特化したアプリの開発がスタートしました。

性感染症の悩みに寄り添うアプリ「say」
メンバーは全員20代

性別・年齢問わず気軽に相談できる場に

アプリの名前は「say 」。

ニーズを調査するテストマーケティングを経て、年内のリリースを目指し開発中です。

投稿機能だけでなく、病院の紹介やオンライン診療予約、医師・看護師・臨床心理士へのオンライン相談ができる機能なども追加予定だと言います。

性感染症患者は年々増加しており、特に梅毒患者は過去最多に。

「背景にはマッチングアプリの影響があるといわれていますが、日本の性教育にも問題があると考えています。子どもに教えるべきことを正しく伝えられる大人が少ない。そんな状況も変えることができれば」と藤澤さん。

「性感染症の中には不妊の原因になるものもあり、大きな社会課題です。どれだけの人がどんな悩みを持っているかを伝えられれば、新しい治療薬の開発や治験にもつながるはず。いずれは自分で研究機関を持ちたい」。

目標は千葉県を代表する経営者になることと言う藤澤さんは、一人で悩む人を救った先にある未来を真っすぐに見据えています。

性感染症の悩みに寄り添うアプリ「say」
アプリ「say」イメージ

Health Connect株式会社
住所/東京都渋谷区恵比寿2-28-10
メール/healthconnects0801@gmail.com
HP/https://healthconnect-tellme.web.app/