「礼に始まり礼に終わる」古武道は、日本人の人格形成に大きな役割を果たしてきました。
この伝統文化の継承のため、古武道の普及・振興に尽力しているのが、長谷川流和術(やわらじゅつ)・第十七代宗家の桑原巡さん(松伏町在住)です。

公開 2023/05/23(最終更新 2023/05/22)

日本古武道協会正会員の由緒ある流派
古武道とは、江戸時代の幕末までに創始された武術のことで、明治以降に体系化された剣道、柔道などは現代武道と呼ばれます。
「和術は、柔術とも呼ばれ、武器を持った相手を素手で制圧する技。護身術、逮捕術などもこれに類似するものです」

長谷川流和術は、長谷川主税佐尉英信(ちからのすけのじょうひでのぶ)を流祖とし、免許皆伝を得て第四代宗家を継承したのが、松代藩士の桑原源七。
以降、桑原家が家伝兵法として代々宗家を務め、巡さんで十七代目。
実に400年の歴史を持つ、由緒正しい流派の一つです。
日本古武道協会の正会員であり、日本武道館や厳島神社、鹿島神宮で開かれる日本古武道演武大会に参加しています。
松伏高校武道場で毎週日曜に稽古

稽古は毎週日曜の午前、埼玉県立松伏高校(松伏町ゆめみ野東2-7-1)武道場で行っています。
門人には、わざわざ県外、都内から通う人や、50代・60代で入門した人もいます。
姿勢がよくなり、腰痛などの予防にもなるとか。
「礼に始まり礼に終わる古武道は、技の修練を通じて心身を鍛え、豊かな人間形成を目指す道。和術の『和』には、力に対抗するのではなく、やわらかく相手の力を有利に働かせ勝利を得る、戦いを好まず平和に治める理念がある。今こそ、この精神が見直されるときではないでしょうか」と桑原さんは語ります。
長谷川英信流居合(いあい)の指導も
居合は、日本刀の操作を通して剣の理法を学び、心身を鍛錬するもの。
18歳以上70歳くらいまでの男女を対象に、居合の指導も行っています。
「近年、演武大会を見ると外国人の演武者が増えていて、外国から高く評価されていると感じます。他のスポーツなどと比べ身体的負担が少ないので、高齢の方にもお勧めしたい。古流の技と、紋付き袴を着用する日本の伝統文化を習得しませんか」と呼び掛けます。
「私もやってみたい」と入門 女性門人 小野晴佳さん
「幼い頃から時代劇が大好き」
大学卒業後に就職、忙しく働く日々に、やりがいはあるものの何か物足りなさを感じていた、吉川市在住の小野さんは、4年前、古武道を取り上げた「ちいき新聞」の記事を見て、「私もやってみたい」と入門しました。

平日は仕事、日曜は道場へ稽古に通い、大会にも参加しています。
「忙しいですが、とても充実しています。幼い頃から時代劇が好きで、憧れていた道着や袴を着ると身が引き締まる思いです。護身術としても自分を守るすべになっています」と笑顔で話します。

第17代宗家の桑原巡さんに話を聞きました。
「小野さんはとても熱心に稽古をし、今年2月の日本武道館古武道演武大会に出場。男性門人を次々と投げ飛ばし、会場から大きな拍手が沸き上がっていました。古武道界で注目されている女性門人です」

コロナ禍で休止していた「護身術と伝統文化の無料体験会」を2023年5月から再開。
体験は18歳以上から受け付けています。
小野さんも「お稽古は毎週日曜の午前、県立松伏高校の柔道場で行っています。女性門人が増えるとうれしいですね」と話しました。
※問い合わせ
電話番号/090-3224-7975 桑原
ホームページ/https://hasegawaryu-yawarajutu.jimdofree.com/