台風シーズン目前。
外壁や屋根の傷みを放っておくと、大雨で浸入した水が家屋内部に致命的なダメージを与え、大切なマイホームの寿命を縮めます。
家屋の発するSOSとは? 専門家に聞きました。
お話を聞いたのは…

公開 2023/08/23(最終更新 2023/08/24)

いつの間にか外壁や屋根が崩壊寸前に?
建物を構造的に支える柱や梁(はり)がもろくなっていると、大地震の際などに倒壊の危険性が高まります。
柱や梁の劣化は、建物内部に水が入ることで起こる木材の腐食や、シロアリの食害などが主な原因となるため、家屋内部に水を浸入させないことが防災の第一歩。
水の浸入口となる外壁のひびなどは放置せず、早めに補修することが肝心です。
目に見えない家屋内部で劣化は進む
築年数がたつにつれ、外壁にひびができることは避けられません。
寒暖の変化で外壁材が収縮と膨張を繰り返したり、地震などによる振動によって、ひびは広がっていきます。
車の往来の激しい道路が近くにあれば、より振動の影響を受けやすいでしょう。
現在日本では、外壁材として主にサイディングボードとモルタルが使われています。
モルタル壁の内側に張られている金網を「ラス網」といい(図1)、モルタルがはがれ落ちないようまとめる下地の役割を果たしています。

ところが外壁のひびから雨水が浸入すると、このラス網がさびて劣化。
いよいよモルタルを支えきれなくなると壁ごと崩壊して落下し、運が悪ければ人身事故につながる危険すらあるのです。
ラス網のないサイディングボードは崩落のリスクこそ低いものの、コーキング(ゴム状の素材でできた目地)のひびからの水の浸入は内部の柱や梁を劣化させます。
サイディングボード自体のひびだけでなく、コーキングが紫外線によって硬くなることでできるひびや隙間も、水の浸入経路となります。
目に見える劣化の状態と危険度を、下表にまとめました。
危険レベルが低いうちに補修をすれば最低限の出費で済みますが、深刻な状況になってから対処しようとすると、金銭的な負担は大きなものになります。
長い目で見れば、こまめに補修をする方が節約につながるといえるでしょう。
家屋の傷み、ここをチェック!
以下のような兆候が見られたら要注意です。

広がったひびは塗装では防水しきれない
外壁の劣化を防ぐため、10年ごとを目安とした塗装工事が推奨されています。
しかし、幅1mm以上の大きなひびができた箇所は、塗装だけで浸水を防ぐことはできません。
ひびに隣接する傷んだ部分を削り、コーキングを詰めて補修する処置が必要になります。
傷んだままの外壁を補修せず塗装することは、虫歯を治療せずに被せものをするようなもの。
塗装したことで施主が安心し、長年ひびを放置することになれば、危険レベルは最大に!

外壁塗装をする際は、補修の必要性まで判断できる専門家(建築士など)の視点が加わると、より安心です。
工事においては、家屋全体の状況を把握して管理できる施工管理者の存在が重要です。
業者選びの目安の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
瓦屋根はここを見る!
瓦屋根の瓦と棟の隙間に塗り込まれ、瓦を固定している葺き土(粘土)がこぼれ落ちないように支えている建築材料が漆喰(しっくい)です。
漆喰の寿命は約20年といわれ、これが傷んで落ちてくるなら危険レベルMAX!
そうなる前に補修をすれば、瓦自体の寿命は約60年なので安心して長く住むことができます。
取材協力:ウォルテック株式会社
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