創業から150年余り。
船橋市の本町通りに面し、趣のある外観の森田呉服店。
5代目店主の森田雅巳(まさみ)さんにお話を聞きました。
公開 2023/09/20(最終更新 2023/09/20)

編集部 石田祐葵子(いしだゆきこ)
編集/ライター/漫画家/イラストレーター 埼玉県出身、東京都江東区在住です。以前は漫画業界にいました。漫画の師匠は安野モヨコ先生です。『江ノ島高校ワンダーフォーゲル部』で検索!今は「ちいき新聞」編集者。千葉県いいところですね!★Twitter★@LoveMtmoutain
記事一覧へ宿場町から商店街へ 時代とともに変化
江戸時代から明治初期にかけて交通の要所だった船橋市本町かいわい。
かつては宿場町として栄えました。
そんな船橋の本町通りにある和装専門店・森田呉服店の創業は、江戸時代末期。
現在の店主は5代目の森田雅巳さんです。
創業当時、本家も呉服店を営み、森田呉服店の初代はその親類だったそうです。
「呉服店として一番繁盛したのは多分、戦前だと思うんですよ。大正の頃とか」と話す森田さん。

船橋市本町かいわいは、1894(明治27 )年に鉄道の開通で商店街へと変化していきます。
戦後(昭和30年ごろ)、本町通りは、商店がびっしり軒を連ねていたそうです。
その頃は鎌ケ谷や八千代から来る人が多かったそうですが、和装から洋装へと時代の変化とともに呉服が売れなくなっていきます。
町もだんだんと活気がなくなり、森田さんがお店を継いだ1970年代後半(昭和50年ごろ)は、町を歩く人が今より少なく、船橋市本町通り商店街では、商業施設の再開発に動いたそうです。
そのかいあって、公共施設や新しい商業施設、マンションが立ち並び、活気を取り戻した本町かいわいですが、その反動でのれんを下したお店も多いそうです。
店内をリニューアル 個性ある商品を提供
時代の流れで着物はフォーマルになってしまい、15年ほど前の店内リニューアルを機に商材も一新します。
生地・着物から、浴衣、作務衣(さむえ)、手拭い、和装小物など、より親しみやすい商品へ。
特に、手拭いは400種類以上の品ぞろえ。

10年ほど前からは船橋にちなんだ店オリジナルの手拭いをつくり、オリジナル手拭いの受注販売も手掛けているそうです。
ここまで長く続く秘訣(ひけつ)を森田さんにお聞きしたところ、「ずっと店を続けてきたからこその信用や、あそこに行けば、個性的なものが手に入ると思ってもらえることかな。あとは、店構えがこう(1872年築)なので、今はそれで得していますね。外観は古くて、中に入ったらわりとカジュアルなので、手に取りやすい。今はわりと、新しいお客さまが多いです」と話してくれました。
お店で手拭いを購入した男性に話を聞くと「甚平に合う手拭が欲しくて、東京から来ました」とのこと。
「浅草まで行かなくてもここにある」と訪れる人もいるそうです。
