人と会う機会が増える年末年始、気の利いた手土産はお付き合いの潤滑油。

地元で長く営業する老舗和菓子店から、喜ばれること請け合いの品々をご紹介します。

公開 2023/12/06(最終更新 2024/02/29)

編集部 R

編集部 R

「ちいき新聞」編集部所属の編集。人生の大部分は千葉県在住(時々関西)。おとなしく穏やかに見られがちだが、プロ野球シーズンは黄色、Bリーグ開催中は赤に身を包み、一年中何かしらと戦い続けている。

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【市川市】市川大野で約60年。4世代が暖簾を守り続ける峰月堂

峰月堂
交差点の一角にあり、地元の人が道を説明するときの目印にもなっています

峰月堂の創業は昭和25年。

戦後甘いものが貴重だった時代、皆に喜んでもらおうと初代が和菓子卸を始めたのがスタートでした。

市川大野へ移転したのは昭和38年。

現在は2代目(初代の長男)、3代目(現店主の峯島重明さん)、重明さんの次男(4代目・和輝さん)と三男を中心に、家族で力を合わせて老舗を切り盛りしています。

2013年の発売以来、一番の人気商品となっているのが「みかん大福」です。

峰月堂
みかん大福(税込320円)※販売期間:10月上旬~1月中旬(収穫状況により変動あり)

愛媛県産温州みかんを白あんで包み、さらに求肥でくるみました。

みかんは柑橘類特有の酸味よりは甘みが強く、白あんの優しい甘さと相性ぴったり。

「理想のみかんを入荷するための農園探しが大変でした」と語る重明さん。

賞味期限は翌々日としていますが、冷蔵庫に入れるとみかんの香りが抜けていくので、翌日までに食べるのがおすすめ。

人気商品なので午前中で売り切れてしまうこともあるそうですが、前日までに電話で予約をしておけば、取り置きしておいてくれます。

峰月堂
みかん大福をはじめ団子や赤飯などの生ものは、朝から店の奥にあるこの作業場で、机を囲んで家族総出で作っています。右から三代目の重明さん、奥様、四代目の和輝さん
峰月堂
広々とした作業場

「いちかわバラ物語」参加商品の「いちかわバラ最中」もおすすめ。

峰月堂
いちかわバラ最中(税込180円)。求肥入りと栗入りの2種

峰月堂

※いちかわバラ物語…地域活性化を目的に誕生した、市川市民の花バラをモチーフにした市川土産

峰月堂の餡は全て自家製。

現在主流になっているさっぱりした餡ではなく、昔ながらの製法によるコクのある味が特徴です。

峰月堂
和輝さんが作る雀の練り切り。取材中「まあ、かわいい」と言ってお客さんが買っていきました

峰月堂では伝統的な和菓子づくりを大切にしながらも、琥珀糖など新時代の和菓子にも意欲的に取り組んでいます。

店のモットーは「子どもからお年寄りまで喜んでもらえる和菓子づくり」。

3世代が現場で働いている強みが、幅広い年齢層に愛される品ぞろえを可能にしています。

店名/御菓子司 峰月堂
住所/千葉県市川市大野町2-786
営業時間/午前8時~午後5時
定休日/毎週月曜日と隔週火曜日
駐車場/なし
アクセス/JR武蔵野線市川大野駅から徒歩9分
電話番号/047-337-1314

鎌ケ谷で半世紀以上愛されてきた馬場菓子舗

馬場菓子舗

どっしりと存在感のある純和風の店構え。

老舗の風格漂う馬場菓子舗は東武鎌ケ谷駅西口を降りて徒歩5分の場所にあります。

和菓子の卸業を営んでいた創業者(現店長の祖父)が開業し、二代目の時に鎌ケ谷の現店舗へ。

現店長の馬場さんは三代目に当たります。

馬場菓子舗
店内にも和の設え
馬場菓子舗
季節ものから贈答品、茶席に出される練り切りなどの上生菓子まで、さまざまなジャンルの和菓子が並びます

「鎌ケ谷らしい土産物となる和菓子を作りたい」

そんな思いでできたブランドが、鎌ヶ谷銘菓「貝がら山」です。

鎌ケ谷の住民には説明不要ですが、同市初富本町にある貝柄山(かいがらやま)公園がその名の由来。

鎌ケ谷市の「ふるさと産品」として認定され、30年以上前から親しまれてきました。

「貝がら山」ブランドの商品は3種のまんじゅう。

馬場菓子舗
右からきんかん入りまんじゅう(上用まんじゅう)、きんかん入りもも山、栗入り栗まんじゅう
馬場菓子舗
ぎっしりつまって存在感たっぷりのきんかんの甘露煮は爽やかな味わい

優しい甘さの白あんに包まれたきんかんと栗の甘露煮が、まるごとまんじゅうの中に入っています。

あんもまんじゅうの生地も、甘さ控えめ。

鎌ケ谷に住む人が市外や県外の人を訪ねる際の鎌ケ谷土産として、また法事などにも利用されています。

贈答用化粧箱は8個入り・12個入・15個入り・20個入りの4種類。

詰め合わせもお好みで自由に組み合わせることができます。

もちろん単品でも購入可。

もう一つ、おすすめ商品として紹介してもらったのは華やかな練り切り。

馬場菓子舗
茶席がパッと明るくなります

季節に合わせたモチーフの練り切りが常時4、5点、正月など多い時では8点以上を用意。

時季により少しずつ商品が入れ替わっていくので、店頭で季節を感じることができます。

求めやすい価格で練り切りが買えるということで、隣町や市外の白井市などから来店するファンもいるとのこと。

馬場菓子舗
お正月には花びら餅

「一つ一つの和菓子を店内で手作りしています。食べるときは和菓子で季節を感じて、楽しんでもらいたいですね」と店長は語っていました。

(商品写真提供/馬場菓子舗)

店名/馬場菓子舗
住所/千葉県鎌ケ谷市道野辺中央3-1-50
営業時間/午前9時半~午後7時
定休日/火曜日
駐車場/駐車スペースあり
アクセス/東武鎌ケ谷駅徒歩5分
電話番号/047-443-4737

【船橋市】通勤途中の常連客が絶えない人気店「だんごのさくらや」

さくらや
親しみやすいオレンジ色の看板が目印

さくらやの店頭には、だんごやおはぎなどの和菓子ばかりでなく、炊き込みご飯や唐揚げ、海苔太巻きなどのお惣菜も並んでいます。

どれもとても安くて驚き。

さくらや

お店の混雑のピークは午前9時前。

出勤前にランチを調達していく常連でにぎわいます。

船橋市役所の近くにあるので、多くの職員の方にも親しまれているようです。

さくらや
撮影中も次から次へとお客さんが現れる

だんごのさくらやは1992年に開店。

初代は現店長佐藤さんの父親で、さくらや創業前は東京で靴店を営んでいました。

ところが市川大野にある一族の墓にお参りした時に、大繁盛しているだんご屋さん(だんごの美好)を見かけ、「だんご屋をやろう!」とひらめきます。

早速その店で和菓子作りを習い、現店舗の開店にこぎつけたとのこと。

そんな初代から店を受け継いだ佐藤店長に、人気の商品を教えてもらいました。

さくらや
豊富なだんごのバリエーション

1日で約900~1000個のだんごが売れるそうですが、その3分の1ほどを売り上げる一番人気がみたらしだんごです。

さくらや
みたらしだんご(税込1本70円)とこちらも人気のあんだんご(税込1本80円)

今時100円を切る価格に驚きますが、コロナ禍前は50円だったのだとか。

原材料費の高騰で若干の値上がりを余儀なくされましたが、求めやすい価格に魅力を感じて足しげく通ってくれるお客さんもいるため、さまざまな工夫をしてできるだけ原価を抑えています。

さくらや
左からあげだんご(税込1本80円)、ごまあんだんご(税込1本100円)、きなこだんご(税込1本100円)。揚げ団子は数量限定のため、店頭に出して10分でなくなることも
さくらや
ずんだ(右)と季節限定のマロン。季節限定品には桜(春)、レモン(夏)、マロン(秋・冬)がある

だんごは毎朝5時から手作りしていて、賞味期限は1日。

もち米をつくのではなくミキサーにかけているため、もっちりと軟らかいのが特徴です。 

創業時から同じ問屋から仕入れている茨城県産コシヒカリを使用。

「世の中には、長持ちさせるために砂糖を加えたり、てかりをつけるために油を塗ったりするだんごもあるようですが、うちでは一切そういうことはしていません。和菓子には洋菓子より低カロリーという長所があるのに、それを無意味にしてしまうから」と話す佐藤店長。

安さだけではなく、自然な素材にもこだわっています。

店名/だんごのさくらや 船橋店
住所/千葉県船橋市南本町1-16
営業時間/午前7時~午後6時(商品がなくなり次第終了)
定休日/不定休
駐車場/なし
アクセス/京成船橋駅徒歩8分
電話番号/047-435-3987

【市川市】手児奈の町・市川で70年以上営業を続ける名店「市川ちもと」

ちもと
国道14号沿いにあります

「ちもと」は元々目黒にあった菓子処で(現在は閉店)、そこからのれん分けした店舗がそれぞれの地域で営業を続けています。

市川店以外に3店舗(軽井沢、都立大学、箱根湯本)あり、千葉県内のちもとはここ市川店のみ。

5年前までシャポー市川内に店舗を構えていましたが、2018年に現店舗に移転しました。

 

市川ちもとの看板商品として長年地元の人たちに愛されているのが「手児奈(てこな)の里」。

万葉集にも詠われた伝説の美少女「真間の手児奈」の名を冠した銘菓です。

ちもと

ちもと
手児奈の里(税込237円)

もっちりと軟らかい求肥の中に細かく砕いた自家製羊羹が入り、ほんのりと香る柚子の風味が上品。

この地に住んでいたと伝わる、いにしえの美少女を想起させます。

昔ながらの製法と材料にこだわり、添加物は使っていません。

白玉粉は業者と相談の上、水分量などを吟味して硬さを調整、ちもと用に特注したものを使用しています。

ちもと
取材に伺ったとき、店舗の奥でちょうど手児奈の里の包装作業中でした
ちもと
船橋市芝山の工場で生産した手児奈の里の生地を店内で加工・包装し店頭に並べています

ちなみに市川店以外の各ちもと店舗にも、それぞれの個性を加えアレンジした同様の商品があるそうです。

3代目店主の清水章吾さんに、他にもおすすめの商品を伺いました。

年間を通して人気なのが草団子です。

ちもと
草団子(税込162円)。7、8月のみ販売休止

餡に包まれた団子がヒスイのように鮮やかな緑色なのは、生ヨモギを使っているから。

乾燥ヨモギではなくに比べて発色と香りの良さは段違いです。

3個串の団子が多い中、珍しい2個串を採用。

重くなり過ぎず、ちょうど良いボリューム感が好評とのことです。

毎月10日は「団子の日」。

この日は草団子も、みたらし団子(4個串130円)も全て100円(税込108円)に!

「団子の日」は初代(清水店長の祖父)の時代から始まり、日ごろの感謝を込めてサービス価格で提供しています。

ちもと
美しい和三盆は「ホワイトデーのお返しにもおすすめ」と店長

季節を感じる定番商品や贈答用銘菓、行事用和菓子など、さまざまなジャンルの商品を扱い、地元で愛されている市川ちもと。

「日本茶が恋しい寒い季節、ぜひお供においしい和菓子はいかがですか」。

店名/市川ちもと
住所/千葉県市川市市川1-23-2
営業時間/午前9時半~午後6時
定休日/第2・4水曜日
駐車場/なし
アクセス/JR市川駅北口徒歩4分または京成本線市川真間駅徒歩4分
電話番号/047-322-2505