数寄屋造りの美しい外観がひときわ目を引く老舗日本料理屋「金田屋」。
隣には気軽に入れる和食レストラン「酒菜と鮨金田屋」もあり、お昼時ともなれば駐車場がいっぱいになるほどの人気ぶり。
そんな老舗を引き継ぐ5代目女将・和世さんはかわいらしい笑顔と飾らない人柄で、気さくに取材に応えてくれました。

公開 2025/02/18(最終更新 2025/02/17)

編集部 ゆりか

編集部 ゆりか

編集部所属の取材記者。白井市出身、船橋市在住。コンテンポラリーダンス、ヨガ、ズンバ、バレエなどとにかく踊るのが好き。取材執筆も好きだが、地図が読めないため取材前はいつも軽く迷う。食べ盛りの夫と3人の子育てに奮闘中。

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時代に合わせて形を変えてきた「老舗」

金田屋 堂々として落ち着いた外観の金田屋
堂々として落ち着いた外観の金田屋

1890年に創業。

栄町安食で日本料理屋を営みながら、時代の流れに寄り添うように、旅館、魚屋、結婚式場などを併設して、地元の人たちに愛され続けてきた金田屋。

5代目当主の勝田裕之さん、和世さん夫妻は、約25年前からスイーツの開発という新しい取り組みを始めました。

金田屋 5代目当主の勝田裕之さん和世さん夫妻
5代目当主の勝田裕之さん和世さん夫妻

1990年代、栄町では特産品である黒豆を使って地元を盛り上げようという気運が高まっていました。

金田屋では地元農家や商工会と力を合わせ、黒豆をお正月に食べるだけでなく、普段から食べてもらえるように、黒豆のチョコパイや黒豆で作った吟醸酒の酒ケーキなど、多数の商品を開発。

その中で黒豆の生カステラは生まれました。

卵や砂糖の分量を変えたり、豆の皮が剥がれない煮方を研究したりと、何回も試しては作り直し、試食と意見交換を繰り返します。

最初は日本料理の卵寄せに近かったのですが、形やネーミングをスイーツに寄せ、通販でも販売できる形に改良。

努力のかいがあって、2010年栄町商工会女性部主催のスイーツコンテストでグランプリを受賞。

続いて「食のちばの逸品を発掘2014(女性起業家等部門)」でも金賞を受賞。


その勢いに乗って落花生味も開発します。

落花生味は農林水産省主催の「フード・アクション・ニッポン アワード2016」受賞10産品に選出されるなど、生カステラはさまざまなコンテストで好評を博します。

金田屋 落花生の生カステラ
落花生の生カステラ

手をかけておいしさを追求 菓子よりも日本料理に近い

金田屋 黒蜜ときな粉をかけて食べるのもおいしい
黒蜜ときな粉をかけて食べるのもおいしい

新鮮な卵を一つずつ手割りして殻が入らないように裏ごしするなど、手作業できめ細かい気遣いの下、丁寧に作り上げた生カステラ。

しっとり滑らかで濃厚な生地は菓子というより日本料理に近く、豆の風味と上品な甘さが口いっぱいに広がり、幸せを感じられる一品です。

金田屋 「千葉県民がおっぺす!おくりものグランプリ」でも準グランプリ受賞
「千葉県民がおっぺす!おくりものグランプリ」でも準グランプリ受賞

「手作りなので、中には不格好な物もあるかもしれないですが、それでも本物の味なので、なるべくお客さまのご負担にならない値段でお渡しできるように、と考えています。きれいな物だけを商品にするとコストが上がってしまうので…。その代わり、端っこは少し大きめになっています」とほほ笑む和世さん。

お客さま第一の心を代々引き継いできた老舗日本料理屋の金田屋。

おもてなしの心がぎゅっと詰まった和モダンスイーツは、ぜいたくかつ上品な味わいで、夢見心地にさせてくれることでしょう。