生まれ育った千葉県を独自の手法で見事に表現した仲村浩一さんが、岡本太郎の自由な視点と発想を継ぐ者に贈られる岡本太郎賞を受賞しました。

公開 2025/06/08(最終更新 2025/06/06)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。

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砂を素材に独自の手法で千葉を表現

受賞作は、「房総半島勝景奇覧/千葉海岸線砂旅行」。

仲村浩一
第28回岡本太郎現代芸術賞・岡本太郎賞受賞作「房総半島勝景奇覧/千葉海岸線砂旅行」(写真提供:川崎市岡本太郎美術館)

砂浜によって砂の色が違うと聞き、興味を持った仲村さん。

房総の海岸を10歩ごとにセロテープに砂を貼り付けて歩き、4年をかけて銚子市から船橋市の三番瀬までを踏破。

集めたその砂を並べた作品が上の写真右の「千葉海岸線砂旅行」。

仲村浩一
「千葉海岸線砂旅行」一部拡大(写真提供:川崎市岡本太郎美術館)

そして、その旅で風景、文化、歴史、土品など千葉の面白さにはまり、人々に伝えたいと砂とアクリル絵の具を駆使して描いた作品が、写真左の「房総半島勝景奇覧」です。

仲村浩一
「房総半島勝景奇覧」一部拡大(写真提供:川崎市岡本太郎美術館)

さまざまな色や形の砂の圧倒的な存在感と、歩いて集めた行為への驚嘆。

ピーナツみそ、ハマグリやタイなどの千葉産品、青木繁の『海の幸』、つげ義春『ねじ式』へのオマージュなど、描き込まれたさまざまなモノを見つけるのが宝探しのようで、見る人をワクワクさせてくれます。

ユニークな手法を通して仲村さんのあふれる千葉愛が伝わってくる作品だと、応募579点の中から最高賞を受賞しました。

見て楽しんでもらえる絵を目指して

「見る人に楽しんでほしい」との気持ちが宿る仲村さんの作品。受賞作の真ん中に自画像があるのも意表を突き、絵を面白くしています。

つげ義春の人物の顔が仲村さんと気づいた人は、思わず笑ってしまうはず。

仲村浩一
仲村さんの名刺

渡された名刺は不思議なびょうぶ折り。

スマホをかざすと、現在東京藝術大学大学院修士2年の仲村さんが大学1年の時に作ったという「仲村ロボ」の顔が話し始め、驚かされました。

仲村浩一
もう一人自分がいればと作った人形と仲村浩一さん (C)Naoko Nagasawa

驚きはもう一つ。

この受賞に続き、仲村さんが国展の絵画部門で国画賞を受賞しました! 

両賞とも受賞に伴う新作の展示を行う予定で、仲村さんの出展機会はこれから他にも確実に増えていく模様。

各展示日程など詳細は、仲村さんのインスタグラム(@hirokazu333)から。

受賞作や「仲村ロボ」を含む多くの作品をコメント付きで見ることもできます。

仲村浩一
《Great Chiba Journey 〜醤油紀行〜》国展国画賞受賞作