佐久間 英利さんプロフィール

千葉県商工会議所連合会会長、千葉銀行 前取締役頭取
生年月日/1952年10月1日
出身地/千葉県君津郡中郷村(現木更津市)
趣味・特技/音楽鑑賞、ガーデニング、読書

公開 2025/08/19(最終更新 2025/08/18)

編集部

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千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

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脱出はできたけれど……

インド・ムンバイ同時多発テロで火災になったホテルから無事脱出できた瞬間、言いようのない安心感がどっと押し寄せた。喫煙するので別の階にいて連絡が取れなかった部下が無事に脱出してきたのが見えて、ハグをしたくなったぐらい嬉しかった。

同じように逃げ出した人々と一緒に近くのオフィスの階段に座ると、現地の人がペットボトルの水を持ってきてくれて、真っ黒になった顔を洗ったりうがいをしたりした。時刻は夜の11時。日本時間は午前2時半ぐらいだったが、会社と家に電話をすると、みんなテロのことは何も知らず、無事でよかったと驚いていた。夜中近くになると、近くの画商の人がオフィスに入れてくれたが、興奮状態の我々は一睡もできず。

朝になったらホテルの人が来て、広場のような所にベンツで連れて行かれて「テロリストが鎮圧されて部屋がクリーンになったら荷物を取りに来てくれ」とだけ言われ、置き去りにされた。

異国での親切が身に染みた

ほぼ何も持っていない状態で途方に暮れていると、たまたま道路を隔てた向かい側にみずほ銀行の支店があり、そこに招き入れてもらった。支店の方々も外出禁止令のような形で、お店に閉じ込められていたようだ。

空腹の我々にインド人の方がお茶やサンドイッチを振る舞ってくれ、普段なら警戒する生野菜のサンドイッチもお茶も、ありがたく全部いただいた。アドレナリン全開だった。

その後オフィスでテレビを見ていると、自分たちが泊まっていたホテルが燃えていた。そのホテルでは結局20人ほど死者が出て、本当に生きるか死ぬかの瀬戸際にいたのだなと恐怖を感じた。

オベロイホテルの吹き抜け。脱出できて本当によかった