「営業はしない」「仕事は1日4、5時間」と、野菜作りや売り方、働き方を一新。

タケイファーム代表の武井敏信さんに話を聞きました。

公開 2025/10/20(最終更新 2025/10/17)

ちいき新聞ライター

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「継ぎたくなかった」農業の道へ

「農家の生まれですが農業は継ぎたくなかった」と語る武井さん。

車の営業職を辞めて、やりたいことが見つからないまま、人生を諦めた気持ちで農業の世界へ足を踏み入れました。

「野菜の作り方も何も知らず、最初にしたことは、今までの農家が失敗したことをやらないと決めたことです」

「やることリストを作る」と逆なのがユニーク。

しかも、「やらないことリスト」はどんどん増えていったそうです。

作る野菜や販売方法もちょっと変わっています。

武井さんはアーティチョークなど珍しい野菜をメインに、年間約140種類も栽培。

そのほとんどをレストランやホテルに販売しています。

イタリアの丸ナス「フィレンツェ」。日本ではまだ珍しい
イタリアの丸ナス「フィレンツェ」。日本ではまだ珍しい

独自の野菜作りでブランド戦略

「スーパーなどで野菜を売ると規格という枠に縛られます。しかし、規格=正解ではない。私は野菜の一生を眺めて、規格ではないところに『大正解』を見つけようとします」

たとえば、赤オクラ。

武井さんはつぼみで収穫・出荷します。

いわゆる規格外ですが、その珍しさゆえ、シェフたちからは「新しい調理法に挑戦できる!」と好評。

オクラのつぼみ。ちゃんとオクラの食感と味がします
オクラのつぼみ。ちゃんとオクラの食感と味がします

市場に出回らないので値付けも自由です。

こうして自分なりのブランド作りを進めて、自ら宣伝しなくても、ひっきりなしの注文と確かな信頼を集める農家となりました。

早朝から日没までくたくたになるまで働くこともありません。

嫌だった仕事に自分なりのやり方で新しい風を吹かせた武井さん。

その姿勢は農家だけではなく、働き方に悩む多くの人の励みになりそうです。(取材・執筆/なかゆう)

「スーパーではいろいろな野菜を試して、お気に入りの農家を見つけてほしい」と話す武井さん
「スーパーではいろいろな野菜を試して、お気に入りの農家を見つけてほしい」と話す武井さん

ホームページ/https://takeifarm.com/