県立千葉南高校(千葉市中央区)の美術部・宮澤晴美さん(3年)が記憶の支配と自由をテーマに、1年がかりで制作した立体作品「Recollection(リコレクション)」が、第26回高校生国際美術展美術の部で最優秀賞(キングズ・ファウンデーション賞)に輝きました。

(写真はすべて千葉南高校提供)

公開 2025/12/25(最終更新 2025/12/22)

ちいき新聞ライター

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高校生国際美術展 1464作の頂点

宮澤さんは以前から「ゲームの影響か、幼い頃に見た悪夢の世界観を形にしたい」と考えており、頭部を輪切りにされた無表情の人がまず思い浮かんだといいます。

作品の支配の面
作品の支配の面

その上に記憶という名の建物が二重三重にひしめき、背面から出た左手の指と糸でつながれています。

これらはコントロールされた記憶を表現しているそうですが、不気味さを色濃く感じさせます。

反対側は大切な思いが入っている「固く閉ざされた本」を表現。

作品の記憶の面
作品の記憶の面

作品はこのように完成し、このたび受賞の運びとなりました。

受賞作「Recollection」の支配された人の面を前に表彰状を披露する宮澤美晴さん
受賞作「Recollection」の支配された人の面を前に表彰状を披露する宮澤美晴さん

部員同士の楽しい会話でリラックス

厳しくも楽しい美術部の合宿
厳しくも楽しい美術部の合宿

部活動は1日2時間、土曜4時間。部員同士の楽しい会話でリラックスしながら、井口好司顧問(60)が言う「いつでも作品のことを考えていると、神様がポンッとアイデアをくれるよ」の「ひらめき」を重ねながら制作を続けました。

宮澤さんの制作風景
宮澤さんの制作風景
作品の頭部にブラッシングする宮澤さん
作品の頭部にブラッシングする宮澤さん

苦労したのは顔と手の造形と色彩。

作品の大きさは高さ約80cm、幅約45cm、奥行き約25cm。

合宿最終日に作品がようやく完成した時、なぜか「これが始まり」だと思ったと話します。

最後まで作品の色彩に悩む宮澤さん
最後まで作品の色彩に悩む宮澤さん

全国1464点の作品の頂点に立った宮澤さんは最後に「美術に関われる仕事に就きたい。ゲーム作りにも興味があります」と夢を語りました。

(取材・執筆/マット)

宮澤晴美さんに聞きました

Q どのような少女時代でしたか?
絵やイラストが得意で、学校ではよく掲示物を任されていました

Q 千葉南高校を選んだ理由は?
中学校の時、学校説明会で南高の美術部の活動を見学し、高校生の制作の様子に憧れました

Q 親子関係を表現したと聞きましたが、それが不気味な関係ということですか?
私の両親は優しく、好きなことをやらせてくれましたが、私が影響を受けたゲームや漫画や物語での親子関係を考えた時に、そういう一面もあるかなというイメージです

Q 幼い頃に見た悪夢の世界観とは?
怖いゲームの影響です。不気味な内容なのですが、背景やデザインがとてもきれいで魅力的でした。その違和感に引かれました

Q 頭の上半分を切るというアイデアはいつごろ出てきましたか?
一番最初にあったアイデアです。そこからすべてが始まりました

Q 制作で苦労したことは?
顏と手の造形と色彩です

Q 完成した時の感想は
合宿の最終日に完成しました。こんなに長い時間をかけて制作したのは初めてでしたが、完成した時はなぜか「これが始まり」と思いました

Q 最高賞受賞を知った時の思いは
ビックリ。一番初めに名前があったので

Q 見る人たちに伝えたいことは
作品はいろいろな思いと物語を詰め込んだつもりです。鑑賞する人が自由にイメージしてくれたら、と思います

Q 将来の夢や計画は
美術に関わる仕事に就きたい。ゲーム制作にも興味があります

ありがとうございました。

美術部全員で宮澤さんの受賞を喜ぶ
美術部全員で宮澤さんの受賞を喜ぶ