水辺を軸に、人が集い、思いが交差する場が手賀沼に生まれています。「市」や「町」という枠を越え、「手賀沼に関わっている」「手賀沼に引かれる」という共通点だけで人がつながる「手賀沼100人カイギ」。その場で起きている出会いと変化は、静かに、しかし確かに新しい物語を動かし始めています。実行委員の中澤洋一さん、油原祐貴さん、布田あゆみさんにお話しを伺いました。
公開 2026/01/31(最終更新 2026/02/02)
目次
「手賀沼」区切りで人が集まれたら、沼はよくなるし、もっと楽しい
「この会、もっと続けばいいのにね」。
2024年に「我孫子市100人カイギ」が終わったあと、そんな声があちこちで聞かれました。
そして2025年9月、新たに始まったのが「手賀沼100人カイギ」です。
全国各地で行われている「100人カイギ」は、地域で活動する人が5人ずつ登壇し、累計100人に達したところで終了するコミュニティーイベント。
肩書きや立場を超え、「どんな人が、どんな思いで、どんな活動をしているのか」を知り、つながることを目的としています。
これまで我孫子市や柏市など周辺地域でも開催されてきましたが、なぜ今、「『手賀沼』100人カイギ」なのでしょう。
「手賀沼は我孫子市、柏市、印西市など複数の自治体にまたがる場所。自然環境や水辺の活用について活動している方々とお話しをすると、『行政の境界があることで連携が難しい場面がある』という声を聞くことも少なくありませんでした。また市などの地域で限定するのではなく、『手賀沼』いうテーマを軸に人が集まる場をつくったら、単純に面白そうだなという感覚もあり『手賀沼』をテーマにしてみたんです」と中澤さん。

登壇者は「実際に手賀沼に関わり、肌で感じた経験を持っている人」

登壇者のジャンルは実に多彩です。
自然環境に関わる人、観光や地域づくりを担う人、飲食やものづくりに携わる人、文化や表現に関わる人。
それぞれ立場は違いますが、共通しているのは「手賀沼と実際に関わり、肌で感じた経験を持っていること」と油原さんは言います。
「手賀沼のことを『語れる人』ではなく『関わっている人』に話してもらいたかったんです。何をしているか以上に、どんな関わり方をし、どんな思いで続けているか。その手触りがあるからこそ、聞き手の心にも、次の行動にも火がつくと考えています」(油原さん)
登壇してほしい人には、実行委員それぞれが熱い思いを伝えているそう。
油原さんは、タナゴ釣りに特化した専門店「淡水小物釣具工房 たなきち」の田中育男さんに登壇してもらうため、何度もお店に通い、当日のイメージなどを伝えてようやくOKがもらえたとか。
「それまではお店に行くのはちょっと敷居が高いと思っていた方も、 実際にご本人と会ってみると、とてもユーモアがあって楽しかったという声も聞かれ、本当に登壇いただいてよかったです。当日、田中さんはたなご釣りの貴重な道具もたくさん持ってきてくださり、会場がとてもにぎわいました」(油原さん)
我孫子や柏を中心に、中には茨城県や東京都など遠方からの人や、高校生や大学生も。
回を重ねるごとに「手賀沼に惹かれる」という共通点から、地域を越えたつながりが少しずつ広がっています。
行政区分を越えるのは、何かを「解決するため」だけではなく、手賀沼という場所を介して、ふだんは交わらない人たちが自然に出会い、話し、次の一歩がふわりと生まれるきっかけになっていました。

水辺でのガサガサや遊覧船乗船体験も! 会場そのものが体験に

手賀沼100人カイギをもうひとつ特徴づけているのが「会場そのものが体験になる」ことです。
一般的な100人カイギでは会議室や公共施設で開催されることが多いのですが、ここでは会場が毎回変わります。
フィッシングセンターやアビスタなど、水辺を間近に感じられる場所、景色を楽しめる場所、手賀沼を体感できる空間が選ばれ、回によっては魚取りを楽しんだり、遊覧船に乗ったりする体験型の回もあります。
「会場に来るまでの時間も含めて『もう会が始まっている感じがする』『景色を見ながら話を聞くと、内容の入り方が全然違う』、そんな感想も寄せられています」と布田さん。
自身も手賀沼の四季折々、さらに1日の時間によってもうつろう美しい風景が大好きだそうです。

まだ5回目、でも確実に生まれている「その後」のストーリー

手賀沼100人カイギは、まだ5回目。
始まったばかりですが、すでに「その後」が動き始めています。
初回で出会った人同士が別の場で再会し交流が深まったり、登壇者の話をきっかけに具体的なプロジェクトが芽吹いたり。
参加者の中には、この場のご縁から地域を紹介する新たな取り組みを始めた人もいます。
たとえば手賀沼周辺の、沼に「佳い」ヒト・コト・モノを紹介するマッピングサイト「TEGA-NUMAP」も、手賀沼をめぐる出会いの連鎖の中でチームが集まり、動き出した一例。
主宰の渡辺れいさんは、オンラインで手賀沼について話し合う「手賀沼ミライ会議」でマップの着想を得たあと、手賀沼100人カイギに登壇。参加した際のつながりに助けられて、取り組みを実現しつつあるそうです。
「人それぞれでやりたいことは違っても、『手賀沼をよくしたい』という思いは同じ。そのつながりで展開していくのがとっても面白いです!」(渡辺さん)

ゴールはあえて決めず、その時々の流れや出会いを楽しみたい
手賀沼100人カイギの開催は、あと15回(26年2月時点)。
終了までに、運営側はあえて明確なゴールを置いていないのだそうです。
「手賀沼100人カイギは仕事ではないし、何かを成し遂げなければいけない場でもありません。だからこそ、その時々に生まれる自然な流れや出会いを楽しみたいと思っています」と中澤さん。
数値や目標より、「どんな人が出会い、どんな空気が生まれたか」を大切にする姿勢が、場をしなやかに保っています。
手賀沼周辺の地域活性化に長く携わってきた油原さんは、「手賀沼周辺のことを知るにつれ、過去の偉人も含め、本当に多様な活動をされている方々が存在している場所だと気づかされてきましたが、手賀沼100人カイギを通してその思いはさらに強まりました。手賀沼って、本当に『キャラクター』が豊富な場所なんです(笑)」。
自然、歴史、文化、暮らしーー過去にこの地を訪れた人々の営みと、今を生きる人たちの活動。
それぞれ点として存在していたものが、100人カイギという場で少しずつ線になり、面になっていくその過程を、参加者も運営側も、同じ目線で楽しんでいるように見えました。

手賀沼100人カイギ Vol.6
場所/ 染谷家住宅(千葉県柏市鷲野谷24)※会場は回によって異なる
日時/2026年2月28日(土)午後2時~午後4時30分
料金/ 1,000円(学生500円)
ホームページ/https://100ninkaigi.com/area/teganuma
問い合わせ・申し込み
上記ホームページ → Vol.6「More Info」→「主催者へ連絡」から申し込み
インスタグラム/https://www.instagram.com/teganuma_100