学習塾の現場でAI活用が広がっています。学び方や指導は、今どのように変わり始めているのでしょうか。長年指導に携わってきた塾長に聞きました。
教えてくれたのは…

| 河野 瑛さん |
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| 進学個別 atama+塾 四街道校 校舎長 |
公開 2026/03/04(最終更新 2026/03/02)
どこが分からないかを素早く特定

塾での学習では「生徒がどこにつまずいているか」をいち早く見つけることが重要です。
AIがなかった頃は原因を客観的に捉える手段が限られており、講師の経験や感覚に頼る部分が少なくありませんでした。
講師が良かれと思って説明しても生徒が本当に聞きたいことは別にある、でも生徒はそれをうまく言葉にできずにモヤモヤが残る…。
現場へのAI導入は、そんなストレスから解放してくれるものとして期待されています。
AIを使った学習システムでは、生徒の解答履歴や解答時間などのデータから、つまずきの原因をさかのぼって分析。
理解度に合わせてAIがカリキュラムを組み、出題する問題を変えていきます。
例えば中学生理科の「光」についての凸レンズの問題を間違えたとしましょう。
生徒は「作図が難しい」と思いがちですが、真の原因は「光軸」や「焦点」といった用語の理解があやふやだから…という場合があります。
AIは生徒の解答傾向から、「そこに課題がある」と判断。
用語の確認に戻り、理解するまで次に進ませません。
人間だと「ここは飛ばしても大丈夫だろう」と省きがちな基礎部分も、必要なら何度でも出題します。
それでも理解が進まなければ「演習の前に解説動画を見せよう」という選択に至ります。

AI時代に人が担うべきことは?

とはいえAIにも難しいことはあります。
AIは学習の分析や設計を支える道具に過ぎません。
「なぜ勉強するのか」を腹落ちさせ、モチベーションを高めるのは人の役割です。
将来何になりたいのか、それを実現するにはどんな進路を選ぶべきか、その進路に向かうために今何をすべきか?
これらを逆算して考えるように指導することが講師には求められるでしょう。
もう一つ大切な役割として、道具であるAIの正しい使い方、向き合い方を教えることがあります。
AIに宿題をしてもらえば簡単ですが、それをしないのは頭を使うことが大切だから。
間違った道具の使い方をしていたら、「それは違うよね」と教えてあげるのも講師の務めです。
また、AIを使った場合の懸念点として、問いに対する答えが均質化しやすいと感じています。
AIの出力を唯一の正解とするのではなく、自分の考えを持つことが重要ではないでしょうか。
AIに流されずに主体性を持って生きていくには、体験や読書などを通じて自分の内側から言葉を生み出す力を育むことが欠かせません。
AIは人の代わりになる存在ではなく、あくまで判断を支える便利な道具。
その前提でどう向き合うかが、これからの学習を左右すると思います。
AI時代における塾の役割

■勉強へのモチベーションを高める
■集中できる場の提供
■学習時のAIの使い方、向き合い方を教える