
東山魁夷記念館開館15周年特別展「日本画と歌舞伎の世界」
日本画の巨匠・東山魁夷(ひがしやまかいい)を顕彰して市川に誕生した東山魁夷記念館。
2020年11月に15周年を迎え、歌舞伎座と明治座が誇る名画コレクションを公開しました。
▲市川市東山魁夷記念館
公開 2021/01/19(最終更新 2021/01/12)

ゆかりの地市川で東山魁夷作品に親しむ
中山の法華経寺を抜けて徒歩約10分。
木下街道沿いに、白い外壁のドイツ民家風の洋館が見えてきました。
市川市東山魁夷記念館です。
市川と深い縁がある東山魁夷。
亡くなるまでの半世紀の間、市川に住み、市川市名誉市民となりました。
記念館は2005年に開館しています。
▲東山魁夷の言葉が迎えてくれる
記念館内へは八角形の塔から。
入館前に塔の上を見上げてみましょう。
そこには風見鶏ならぬ風見馬が。
東山魁夷の「白い馬の見える風景」の馬がモチーフとなっているのです。
▲塔の上の風見馬
展覧会で歌舞伎と日本画の深いつながりを見る
2020年10月4日から開館15周年記念特別展を開催。
テーマは「日本画と歌舞伎の世界―東山魁夷と近代日本の名画―」です。
▲1階展示室前
戦後の復興期に歌舞伎と日本画が深く交わった時期がありました。
両者をつないだのは建築家・吉田五十八(よしだいそや)。
歌舞伎座と明治座の復興改築を手掛けた人物です。
「劇場は社交場。殺風景ではいけない」と、「幕間の美術館」を考案し、両劇場に名画収集を勧めました。
▲▼『徳川家康』道具帳(舞台場面画)
特別展では東山魁夷や山口蓬春(やまぐちほうしゅん)をはじめ、歌舞伎座と明治座の名画の数々を紹介。
絵画、歌舞伎衣裳、道具帳など、多彩な資料で歌舞伎と日本画の深いつながりをひもとく内容です。
▲歌舞伎ゆかりの作品が随所に
10月、早速記念館を訪ねました。
1階では歌舞伎の名優と日本画家の深い親交を実感。
特筆すべきは、六世中村歌右衛門ゆかりの作品の多さです。
▲橋本明治《六世歌右衛門[デッサン(部分)]》
名優の愛馬がモデルの東山魁夷の絵、クマ好きの名優に贈った山口蓬春作の白くまの絵など珍しい作品が続々と並んでいます。
その中にスピッツ犬の木炭画がありました。
「六世中村歌右衛門が描いた愛犬の絵で、東山魁夷に見せて褒められたそうです」と学芸員の石田さん。
他にも、橋本明治(はしもとめいじ)が美術監修した歌舞伎「徳川家康」の手描き美術資料なども大変貴重なものです。
▲『徳川家康』衣裳創案画
2階では、まず正面の白い着物に目が留まりました。
歌舞伎衣裳の裲襠(うちかけ)で、日本画家が揮毫(きごう=筆で描くこと)し、六世歌右衛門が舞台で着用したものです。
展示替えで東山魁夷を含む画家3人の裲襠が楽しめる構成。
▲広々とした2階展示室
2階展示室は歌舞伎以外のテーマの作品が多く、日本画中心に飾られていました。
▲鑑賞の後はミュージアムショップへ
(取材・執筆/ヒロ)
会期/3月21日(日)まで
開館時間/午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
会場/市川市東山魁夷記念館
観覧料/一般800円、65歳以上640円、高大生400円、中学生以下は無料
問い合わせ/047-333-2011
※感染症拡大に伴う変更の可能性あり
来館前に必ずホームページなどででご確認ください
https://www.city.ichikawa.lg.jp/higashiyama/