1959(昭和34)年に千葉県初の登録博物館として開館した野田市郷土博物館が2月26日、千葉県内295件目となる国の有形文化財(建造物)に登録されました

野田市郷土博物館が国登録有形文化財に
▲外壁の横目地に竪格子が印象的な外観

公開 2021/05/11(最終更新 2021/05/12)

編集部

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随所に施された工夫、その意図は

野田市郷土博物館は日本を代表する建築家、山田守氏が設計した唯一の博物館です。

外観は正倉院の校倉造をイメージしたものですが、レトロなガラス戸を開け館内に入ると一転モダンな雰囲気に。

大きな絵画が飾られた中央の階段は、踊り場で左右に分れ、赤系の床はまるでレッドカーペットのようです。

よく見ると中央に向かって緩やかなカーブが描かれ、それに相対するように2階の手すりにもカーブが設けられています。

また、自然光を間接照明のように取り込み、展示室を明るく見せたり(現在は展示物保護のため一部のみ)、光が反射しないように展示ケースのガラス戸を傾斜させるなど、随所に細かな工夫が施されています。

「環境設計も秀逸であり、造形の規範となっているものと評価されました。野田市の国登録有形文化財の数は県内で群を抜いて多いので、これを機に文化財巡りを楽しんでもらえれば」と星野保則学芸員。

同館には、野田市指定文化財である「野田醤油醸造の図」をはじめ、全国でも珍しいしょうゆ関連の資料が豊富に展示されています。

野田市郷土博物館が 国登録有形文化財に
▲1階では企画展が行われ2階の展示は常設

敷地内の市民会館は皇族も訪れた旧邸宅

敷地内の野田市市民会館主屋も1997(平成9年)年に茶室とともに国の有形文化財に登録され、2008年には庭園も県内初の国登録記念物となりました。

しょうゆ醸造家、茂木佐平治家の邸宅として1924( 大正13)年頃に建てられた純和風の主屋には、台所や風呂場、照明や格子入りの障子などぜいを尽くしたインテリアが当時のまま残され、ドラマやCM、将棋の名人戦にも利用されました。

 
野田市郷土博物館が国登録有形文化財に
▲庭園から市民会館を望む

茶室「松樹庵」は3月に屋根のふき替えを終えたばかり。

野田市郷土博物館が国登録有形文化財に
▲釘(くぎ)も樋(とい)も竹製で美しい茶室

薄い板を何枚も重ねていく杮葺の工法は、修繕期間中にユネスコの世界無形文化遺産に登録されたほど貴重な技術です。(取材・執筆/琉)

野田市郷土博物館・市民会館

住所/千葉県野田市野田370-8
開館/午前9時~午後5時、火曜(祝日は開館)・年末年始休館
料金/見学は無料
問い合わせ/04-7123-1366  野田市教育委員会 生涯学習課