首都高速湾岸線沿いに広大な緑地があります。
行徳駅から徒歩25分。
周辺には住宅地と倉庫群という不思議な空間を訪ねました。

公開 2021/09/05(最終更新 2021/09/02)

野鳥の楽園になった元埋立地
56ヘクタール。
東京ドーム約12個分の緑地が千葉県行徳鳥獣保護区です。
隣接する宮内庁新浜鴨場とともに「野鳥の楽園」の愛称で親しまれ、野鳥や水辺の生き物が多く生息しています。
都市部に残された貴重な自然…ではありません。
実は、ここは埋立地に造成された人工の場所なのです。

かつてこの一帯には干潟が広がり、水鳥が飛来する世界的に有名な湿地帯でした。
高度経済成長期に埋め立てが進みましたが、自然保護運動が起き、保護区ができたのです。
当初は草もまばらな荒地。それが40年以上かけて今の姿になりました。
野鳥の楽園は生き物ファースト
保護区の管理運営を行う「NPO行徳自然ほごくらぶ」職員の野長瀬さんの案内で保護区の中へ。

松、竹、シュロ、さまざまな草木が茂っています。
森の中に入ったような印象。中には樹齢50年近いクロマツも。
「大半は鳥が運んできたもの。植林はほとんど行っていません」という言葉に驚きます。
少し歩くと水辺に出ました。
干潟で何か跳ねた!
トビハゼです。

水辺から陸地に続く地面には多数の穴。

クロベンケイガニのすみかでした。

さらに進むと人工池があり、たくさんのサギの姿が見えました。
保護区には普段立ち入ることができません。
ここは生き物や自然環境の保護が最優先の場。
現在、職員を悩ませているのが保護区への無断侵入やごみの投げ入れです。
湿地環境の復元を目指し、「生き物がすみよい場所を作ろう」と管理作業を続けた結果、水鳥など、さまざまな生き物が戻ってきました。
人間ファーストでは本末転倒。
「本当は多くの方に保護区を見ていただきたいのですが」と野長瀬さん。
中に入れる貴重な機会が自然観察会。
定期開催されていましたが、新型コロナの影響で中止中。
目下、定例観察会の再開の機会を模索しているところです。(取材・執筆/ヒロ)
行徳保護区管理事務所
電話047(397)9046
NPO行徳自然ほごくらぶ
https://gyotokubird.wixsite.com/npofgbo
suzugamo9898@gmail.com