埼玉県越谷市御殿(ごてん)町の地名は慶長時代、徳川家康の御殿があったことに由来します。
この町に暮らす會田眞理子さんは、吊るし雛制作者として活動しながら、自ら語り部となり越谷の歴史を若い世代に伝えています。

公開 2022/02/09(最終更新 2022/02/08)

チクチク縫いながらおしゃべりを楽しむ
長年の茶道経験からお仕覆(※)を作って楽しんでいた時、吊るし雛に出合い魅了され、ほぼ独学で制作を始めた會田さん。※茶入れなど茶道具を入れるための袋
15年ほど前、御殿町の婦人会で「何か新しい事をしてみない?」と提案。
自宅に眠っている雛段飾りを自治会館に持ち寄り、そこに婦人会の仲間で制作した吊るし雛を一緒に展示し、皆を驚かせました。

その評判から「吊し雛の作り方を教えてほしい」と声が上がり、市内外で教室「ちりめんじゃこ」を主宰。
毎年3月から受講者を募り、1年掛けて日本古来の手芸を楽しみます。
夢中でチクチクするもよし、おしゃべりしながらでもよし。
季節を通して穏やかな時間を過ごしています。

越谷は雛人形作りで有名な宿場町だった
雛人形作りでも有名な越谷。
會田さんは「私が子どもの頃は近所に雛人形作家さん、工房も多くあり、分業だった技術は世界に称賛されています。他にも越谷には時代に残る大きな功績、歴史がある。それを子どもたちにもっと伝えていきたい」と語ります。
宿場町の面影残る旧日光街道。
最近では古民家や蔵を再生した「はかり屋」「糀屋」などに若者も多く訪れています。
2月27日(日)〜3月3日(木)には、両店を中心に旧道沿いの民家や商店に吊るし雛を飾る「雛めぐり」を開催予定。

吊るし雛のモチーフの花や動物には、一つ一つ意味があります。
着なくなった着物を生まれ変わらせることはSDGsにもつながります。
春待ち遠しい季節、「今と昔」を感じに足を運んでみてはいかがでしょう。(取材・執筆/トモ)

※問い合わせ
電話/ 090-8105-0081
ちりめんじゃこ 會田