現在日本の吹奏楽人口は120万人ともいわれ、全日本吹奏楽連盟に加盟する小学生の団体は千を超えます。
酒井根東小学校の吹奏楽部は本年度の東日本学校吹奏楽大会で金賞、日本管楽合奏コンテスト全国大会小学校部門で最優秀グランプリ賞、文部科学大臣賞と観客投票最多賞に輝きました。

公開 2022/02/19(最終更新 2022/02/14)

高い目標を掲げてやり遂げる力
演奏したのはイギリスの作曲家グレイアムがジュール・ベルヌの同名小説をモチーフに作曲した「地底旅行」。
物語の各場面が時系列で音楽として表され、成人一般バンドがコンクールで演奏するような難曲ですが、本校吹奏楽部は小学生離れしたテクニックとサウンドで見事に曲の世界を表現しました。

最初に楽譜を渡された時の驚きを「BPM(曲の速さ)が170の曲なんて見たことなかったから、ちゃんと吹けるのかなと正直心配になりました」と話す副部長の鈴木貫太君は、それでも「難しい曲の方が楽しいし、やりがいがあります」と力強く語りました。
部長の染谷心葉さんも「メンバーの一人一人が頑張って協力し合い、良い結果につながったのだと思います」とうなずきました。
顧問の戸塚先生は吹奏楽を通じて子どもたちに「努力し続ければ、どんなに困難なことでも乗り越えられる」ことを知ってほしいと話します。
そのため、練習を積み重ねれば吹きこなせる難易度の曲を提示するだそうです。
「いろいろな個性を持った子どもたちが、一つの目標に向かうことは難しいことですが、とても楽しいものです」とおおらかに笑います。

自分たちで考え行動する
元気なあいさつで出迎えてもらった取材当日は、体育館での全員練習の日。
感染対策のため十分な間隔を取りながらもメンバーは互いの音を聞き合い、4年生の演奏にすぐ6年生がアドバイスを送る様子が印象的でした。

コロナ禍や学校現場での働き方改革が進む中、練習時間は大幅に減少し、またコンクールも無観客になるなど、練習成果を披露する場も激減しました。
しかし染谷さんは「限られた時間の中でも、私たちが先輩から教わったことや自分たちで工夫してきたことはできるだけ後輩に伝えていきたい」と意気込みを語ってくれました。(取材・執筆/かすみ)
