重ねた指をタップして話す「指点字(ゆびてんじ)」や補助具の進化により、盲ろう者の情報入手や人との会話は、以前よりずっと容易になっています。

※盲ろう者…視覚と聴覚の両方に障害のある人

盲ろうの闇を救った「指点字」とは? 技術革新が開いた扉
重ねた指で点字を伝える「指点字」

公開 2022/08/14(最終更新 2022/07/25)

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東京生まれ。月の出ている日は必ず見つけて写真に撮りブログにアップする月大好き人間です。果物を食べながら、「この果物はどうやって生まれてきたのかな?」とすぐ考えるタイプ。ちなみにプロフィール写真は、以前記事作成のために撮影した栗の赤ちゃんです。

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盲ろうの闇を救った「指点字」とは

音も光もない闇の中、振動や触覚などだけが頼りの盲ろう者にとって、点字は外につながる貴重な扉。

しかし点字には、点を打ち出す紙や道具などが不可欠です。

そんな中、1981年に生まれた「指点字」が盲ろう者の会話の扉を大きく開きました!

全盲ろうの息子の両手に母が手を重ね、6本の指で点字の6つの点を軽くたたいて始めた指点字。

迅速で正確な会話が指だけで可能となった息子・福島智さんは、日本初の盲ろうの大学生となり、現在は東大教授。

多くの盲ろう者に希望の光を与えています。

盲ろうの闇を救った「指点字」とは? 技術革新が開いた扉
指点字では6本の指が点字の6点に対応する

盲ろうの闇を救った「指点字」とは? 技術革新が開いた扉

盲ろうの闇を救った「指点字」とは? 技術革新が開いた扉

NPO法人千葉盲ろう者友の会を訪ねて

千葉県内に約300人といわれる盲ろう者のために、NPO法人「千葉盲ろう者友の会」(加藤清道理事長)が「指点字」を含む勉強会やサークルを毎月開いていると聞き、サークルの行われていた千葉中央コミュニティーセンターを訪ねてみました。

盲ろうの闇を救った「指点字」とは? 技術革新が開いた扉
交流の様子

発症年齢や障害の程度などにより個人差があるため、1人の盲ろう者に1人の支援者が寄り添い、「指点字」「指文字」「触手話」などさまざまな方法で交流は進みます。

手のひら書き
手のひら書き(1)手のひらに字を書いて伝える(左が加藤理事長)
手のひら書き
手のひら書き(2)指に手を添えて字を書く

10分すると相手を交代。

目で確かめられない多くの人たちと知り合い、盲ろう者も支援者も共に会話のスキルを磨き合える楽しい集いです。

さまざまな機器で障害を乗り越える

「全盲ろうだった7年間は、指点字が『神の救い』だった」と話すサークル代表の星野さん。

8年前に人工内耳手術を受けて、聴力の一部を取り戻せたといいます。

盲ろうの闇を救った「指点字」とは? 技術革新が開いた扉
人工内耳をつけた星野さん

他の参加者も補聴器を使用し、耳の近くで話せば普通に会話できる人もいます。

全盲ろう者とも、「指点字」「触手話」を通訳してもらって話すことができました。

スマホに連動する補聴器やスマホ画面の点字変換が可能な機器の普及で、友の会の連絡も普通のメールや電話で行っているとのこと。

音声、通常の活字・点字間の変換も、今は無料アプリで簡単にできます。

盲ろうの闇を救った「指点字」とは? 技術革新が開いた扉
スマホ画面の情報が点字ディスプレイと連動して32マスずつ点字で表示される
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スマホと点字ディスプレイで頑張ると手話で伝えてくれた全盲ろうの村山さん

高齢になり盲ろうになる人も多いといいます。

日々改善される工夫や環境を活用し、障害の有無を超えて皆が共に豊かに暮らしていきたいものです。

※問い合わせ
電話番号/043-310-3008
千葉盲ろう者友の会 http://www.chibadb.com/