「ペップトーク」をご存じですか?
アメリカ発祥の励ましの言葉がけの手法で、子どもやパートナー・友達・職場の人などあらゆる人間関係において、相手に元気や勇気・活気を与えることができる言葉がけです。
9月 25 日(日)にあびこ市民のチカラまつりでペップトークの講座を企画した、新真由美さんと吉羽康子さんに詳しいお話を伺いました。

目次
スポーツや教育現場・家庭でも活用できる、
シンプル・ポジティブな言葉がけ
ペップトークとは、アメリカのスポーツの試合前に監督やコーチが選手に対して行う「短く」「分かりやすく」「肯定的な」「魂を揺さぶる」激励のショートスピーチです。
近年スポーツ現場だけではなく、家庭や学校・職場などで幅広く活用可能なコミュニケーションスキルとして注目されています。
新「たとえば子どもがテストで簡単な問題を間違えたとき、『これくらいのこともできないで!!』と感情的な言葉遣いをするのではなく、『この問題、難しかったかな?』と問題ができなかった事実をお母さんが受け入れ、『ここまではよくできているね』とできているところに目を向ける。そして『間違えたところを理解できるように、もう一回復習してみよう!』と、してほしい行動を伝えます。最後に『お母さん応援してるよ』と背中を押します。この4ステップからなるのがペップトークです」
公開 2022/09/16(最終更新 2024/01/04)

野中真規子
フリーライター歴20年。取手市出身。2021春に東京から我孫子市に移住し、手賀沼周辺の水辺や豊かな緑、遺跡、史跡、ユニークな個人商店などに囲まれた生活を満喫中。スパイスと魚影、日本語ROCK、RAP、民族的デザイン、音楽、祭り好き。https://makikononaka.com/
記事一覧へ相手がやる気を出すペップトークの4ステップ
1)受容(事実の受け入れ)
本番前は緊張したり不安になりがち。相手の状況や感情をまずは受け入れることで信頼を得る。たとえば強豪校と対戦するとき「相手は全国大会の常連校だ」など状況を受容し、さらに「緊張するのも分かるよ」など相手の感情も受容する。
2)承認(とらえ方変換)
本番前は不安から「ないもの」にフォーカスしがちだが、相手に「あるもの」にフォーカスしてもらうことで、ものの見方を変え、やる気に火をつける。相手が緊張していたら「本気の証拠だね」などとらえ方を変換し、「今まで誰よりも頑張ってきたよね」など相手に「あるもの」にフォーカスする。
3)行動(してほしい変換)
「失敗するな」など「〇〇+否定型」でしてほしくないことを伝えると、脳は「〇〇」の部分だけを認識するため逆効果に。「ミスするな」なら「自分のチカラを出し切れ」などと肯定型で伝えると、相手は成功のイメージを持って行動しやすくなる。
4)激励(背中のひと押し)
最後に「君ならできる!」「みんなついているから」など、相手に合わせた熱い言葉、温かい言葉、優しい言葉で相手の背中を押して本番に送り出す。
吉羽「学校でも『ちくちく言葉をふわふわ言葉にしよう』など、ネガティブな言葉をポジティブに変換する方法は教えてくれますが、ペップトークはその前後で、相手を受容し、とらえ方変換をしてから、してほしいことを伝え、背中を押すというステップを踏みます。そうすることで、より気持ちが相手に伝わり、相手はポジティブな気持ちで行動しやすくなります」
新「とはいえ、子どもは全部のステップを踏むことは難しいので、まずは言葉の変換だけを教えるのでも十分。また、ペップトークでは、ネガティブな言葉も悪者にはしません。人間だからつい感情的になったり、きつい言葉を言うことはあります。そんなときは、『さっきはごめんね』と伝えればオッケー。相手に対する言葉がけがポジティブになるので関係性が変わっていきます」
学校教育の現場や家庭でも、素晴らしい効果が現れている
もともとは新さんと吉羽さんも、自身の子育てや保育園・親子教室の職員として働く中で、ポジティブな言葉がけが子どもたちにおよぼす影響の大きさを感じ、ペップトークを広めたいと考えたのだそうです。
新「5年前に、初めて自宅に友達を集めてペップトークの講座を開催したところ好評でした。保育士経験があり、現在親子教室の仕事に携わっている吉羽さんも『子育てに悩むお母さんの力になりたい』という共通の思いがあり、2人でペップトークを普及する活動を開始して4年になります。周囲のご協力もいただきながら、教育委員会にも講座のご提案をさせていただいたり、家庭教育学級などでも講座を開催できるようになりました」

ペップトークを学んだ受講者からは、喜びの声もたくさん寄せられています。
新「あるお母さんは中2の娘との距離を感じていましたが、コロナ禍で家に一緒にいる時間が増える中、ペップトークを実践し、娘の気持ちを受け入れながら話すようにしたところ、娘から自分の気持ちを語りだしたそうです」
吉羽「別のお母さんは、子どもが『〇〇をしたい』と言ったことに対して、内心無理ではないかと思いつつ、ペップトークを思い出し『いいんじゃん!』と言ってみたところ、子どもがとても前向きになり、やりたいことに向かって頑張り始めたそうです。『私って今までそんなにダメ出ししていたんだ』と少しショックも受けたそうですが(笑)、それからは前向きな言葉がけを意識しているそうです」

千葉県内の中学校で教師・生徒・保護者向けに開催された講座でも、教師からは「学級通信や掲示物の言葉が変わった」「職場が明るくなった」「職員会議がスムーズに運営できるようになった」、生徒からは「自分の周りに対する言葉がけを振り返れるようになった」「授業中、教え合い学習の場で助け合えるようになった」「体育の授業や部活動で、高め合う声かけができるようになった」、保護者からは「子どもが素直になった」「親子の会話が優しくなった」「自分の笑顔が増えた」などの感想が寄せられています。

新「私も、吉羽さんとペップトークを一緒に学ぶ中で、お互いに同じ前向きな方向に歩んでいることを確認できるようになり、つい感情的な言葉を言ってしまってもお互いに気づき合い、後で訂正しやすくなりました。ペップトークを学ぶと相手を受容する習慣がつき、お互いの気持ちも楽になります。また言葉は発している自分が一番聞いているもの。相手にポジティブな言葉をかけることで、自分自身も元気で前向きになれますよ」
9月25日(日)には、我孫子で「ペップトーク」の無料講座を開催!

9月25日(日)午後1時からあびこ市民のチカラまつりの中でも、ペップトークの無料講座が開催されます(ペップトークにご興味を持った方で、時間の合わない方は新さんまでご連絡ください)。
講師は西山崇子さん。スポーツトレーナーとして働く中でペップトークに出合い、月間 100セッションを超す超人気トレーナーに。
現在は子どもからシニアまでの運動指導や青少年育成、ママサポートを手掛けるほか、行政・教育・医療・企業とともに、地域に根付いたペップトークの普及を行っています。
新「座学だけではなく、書き込みワークをしたり、実際にペップトークをして心や体の反応を感じ取ってもらったりなど、ペップトークを体感していただけます」
吉羽「1回の講座だけでは全部を身に付けることは難しいですが、受容の大切さや言葉の変換の仕方など、どれか1つだけでも持ち帰っていただけると、家庭や職場などでの言葉がけも変わってきますよ」
子どもとの対話や、職場・地域の人間関係に悩む人に
「今回の講座は、子どもとの対話や周囲の人間関係に悩んだり、もっと良くしたいお母さんをはじめ、ジュニアアスリートの保護者・地域の子どもや関わり方を知りたい人、仕事のコミュニケーションを円滑にしたい人など、さまざまな人に聞いてほしい」と、お二人。
気になる方は、ぜひ足を運んでみてください!
『ペップトーク』無料講座
日時/2022年9月25日(日)13:00〜15:00
場所/けやきプラザ8階 第1会議室
住所/〒270-1151 千葉県我孫子市本町 3-1-2(けやきプラザ内)
アクセス/「電車」JR常磐線 我孫子駅南口 徒歩1分
「駐車場」けやきプラザ駐車場 92台30分無料、以降30分100円
定員/20人(当日参加あり)
対象/小・中学生までの保護者(それ以外も可能)
参加費/無料
持ち物/筆記用具、飲み物、ワクワクした気持ち
問い合わせ
FLOWER PEP 新
メール/suntrap.love.mf@gmail.com
※同日の午前中には、子育てインストラクター&ベビーサインマスター講師の市川ちづさんによる、生年月日をヒントにした子どもの関わり方のヒントが学べる講座もあります。