離婚か別居かで悩んでいる…、貸したお金を返してもらえない…。
夫婦や親子、親族間の争いには家事調停が、民事の争いには民事調停があります。
越谷調停協会副会長で民事調停委員の小宮山一夫さんに話を聞きました。
公開 2022/09/30(最終更新 2022/09/29)

調停制度の特徴 裁判との違いは?
争いごとがあって話し合いを進めても、感情的になって互いの主張が食い違い、解決がより困難になることがあります。
調停は、裁判のように白黒をつけるのではなく、当事者の話し合いにより双方が納得のいく結論を得ることを目的としています。
調停では、裁判官と調停委員が当事者双方の話を聞き、合意に向けて意見や助言を行います。
公平公正で利害関係のない第三者が仲介することで、冷静に話し合いを進められます。
また、調停は非公開で行われ秘密が守られるので、他人に知られたくない場合にも安心して事情を話すことができ、実情に合った円満な解決ができます。
当事者双方が納得のいく結論に至った時は、合意がなされたとして調停調書が作成されます。
調書に書かれた内容は、裁判の確定した判決または審判と同一の効力があり、当事者双方が守らなければなりません。
裁判では最終的に裁判官が結論(判決)を下すのに対し、調停では双方が合意した結論なので、不満や感情のしこりが残りにくいといわれます。
調停の申し立てには特別な法律知識は必要なく、裁判所の窓口にある用紙を使って申し立てができます。
訴訟に比べて手数料が安く、ポイントを絞って話し合いをするので解決までの時間が比較的短く、手続きも簡単なので、当事者一人での対応が可能です。
調停委員は、豊富な知識や経験を持つ一般市民から選ばれた非常勤の国家公務員です。
裁判官同様に守秘義務が課せられ、調停の場で知った内容や閲覧した資料などの口外が禁じられています。
民事調停と家事調停 そして「調停前置主義」とは
民事調停は、金銭の貸借や物の売買、交通事故、借地借家、農地の利用関係、公害や日照の阻害を巡る紛争などを取り扱います。
医事・建築・知財関係、賃料の増減、騒音・悪臭など近隣公害などの解決には、専門的な知識と経験を有する医師、建築士、弁理士、不動産鑑定士など専門家の調停委員が関与することにより、適切かつ円滑な解決を図ることができます。
家事調停は、離婚や夫婦関係の円満調整、親権者の変更、養育費の請求、婚姻費用の分担、遺産分割、協議離婚の無効確認、親子関係の不存在確認、嫡出否認・認知などを取り扱います。
裁判所で調停を行うことができる事件については、訴えを提起するより先に調停を申し立てなければならないとする「調停前置主義」があります。
家事調停では、離婚や離縁の訴え、婚姻・縁組みの取り消し、認知の訴え、嫡出否認の訴えなど、基本的身分関係の存否を巡る紛争など人事に関する訴訟事件や、一部を除く家庭に関する事件が「調停前置主義」の対象となります。
また民事調停にあっても、土地や建物の借賃額の増減の請求・訴訟に先立ち、調停の申し立てが必要とされます。
調停制度に関して、より詳しく知りたい時は、日本調停協会連合会ホームページも参照ください。
なお、越谷調停協会は10月5日(水)に「無料調停手続き相談会」を開催します。
調停制度の手続き・利用方法について裁判所の調停委員(弁護士を含む)に無料で相談できます。
(取材・執筆/コラてつや)
越谷調停協会主催
「無料調停手続き相談会」
日時/10月5日(水)午前10時~午後3時(午前9時40分~受け付け開始)
会場/越谷市中央市民会館4階会議室
住所/埼玉県越谷市越ヶ谷4-1-1
申し込み/予約不要(当日会場で受け付け)
問い合わせ
TEL/048-865-7013
調停相談会事務局
※祝日を除く月・水・金曜の午前10時~午後4時