千葉県内唯一の女子サッカーのプロチーム「ジェフユナイテッド市原・千葉レディース」で活躍する千葉市出身の3選手、安齋結花選手・市瀬千里選手・藤代真帆選手の特別インタビュー。

子どもの頃のことや昨年発足した女子のプロリーグ「WEリーグ」についてお聞きしました。

ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの選手たち

安齋結花選手(MF)

ジェフユナイテッド千葉・市原レディースの安齋選手

公開 2022/10/19(最終更新 2022/10/19)

編集部 モティ

編集部 モティ

編集/ライター。千葉市生まれ、千葉市在住。甘い物とパンと漫画が大好き。土偶を愛でてます。私生活では5歳違いの姉妹育児に奮闘中。★Twitter★ https://twitter.com/NHeRl8rwLT1PRLB

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一番得意なサッカーだから頑張ろうと踏ん張れた

兄がサッカーをやっていて、なんとなく練習に付いて行ってボールを蹴り始めた。それがサッカーとの出合いです。チーム(※FCリべレオ)はもちろん男子が中心のメンバーでしたが、兄がいたこともあって特に抵抗はありませんでした。

兄が途中で同じクラブ内の選抜クラスに行ったので、私も当然のようにそこを目指すようになりました。絶対に(選抜クラスに)入りたかったので努力もたくさんしましたが、特に頑張ったのはリフティング。これだけは絶対誰にも負けたくない!という気持ちで、毎日自分で目標回数を決めてそれを必ず達成する…というのを続けていました。途中であきらめるのは自分でも気が済まないので、負けず嫌いな方かもしれません(笑)。

そんな中、小学5年生くらいの時に地域の女子チームでプレーをする機会がありました。私はずっと男子の中でやってきていたので、スピード感などがやはり他の子よりもあるな、と感じて…。
そこで初めて「もしかしたら、自分はサッカーが得意なのかも」と自信が付いたんです。中学生に上がるタイミングで、その女子チームに行くか、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースのU-15に行くかで悩みました。環境的に慣れたチームでプレーするのも一つと思ったんです。ですが、より高いレベルで力を付けたいとジェフの方を選びました。

2021年シーズンでプレーするジェフレディースの安齋選手

比較的早い時期(※高校1年)に2種登録をして、なでしこリーグに出場もさせてもらいました。それまでは無心で技を仕掛けていたのですが、トップリーグとなると相手チームに分析されてしまってうまくいかないことも多くて。自信も失いかけて、どうしたらいいのか分からず、その時期は苦しかったですね。
それでもサッカーを辞めずに続けてこられたのは、周囲の期待と応援があったから。それに自分からサッカーを取ったら何もなくなってしまう気がしたんです。自分が一番得意なものだったので頑張ろうと踏ん張りました。

2019年に「伊賀FCくノ一三重」に移籍し、2021年から再びジェフユナイテッド市原・千葉レディースでプレーをしています。若い選手も増えましたが、上下関係があまりなく明るい雰囲気は変わらず。
普段は仲よく、やるときはやる。きつい走り込みの日もお互いに励まし合って乗り切っています。試合でもそんなメンバーの関係性が生かされていると感じています。

チームメイトとも仲良しのジェフレディース安齋選手

今シーズンの目標は、チームとしてはタイトル獲得、個人としてはスタメンに定着して結果を残すことです。私は中学生の時からずっとジェフでやらせてもらっていて、たくさんの指導者の方から多くのことを学ばせてもらいました。だからこそ、プレーで恩返ししていきたいと思っています。


市瀬千里選手(DF)

ジェフユナイテッド千葉・市原レディースの市瀬選手

チームの魅力はなんといっても選手同士の仲の良さ

小さい頃は近所の公園でザリガニ釣りをするなど、外で活発に遊ぶ子どもでした。
サッカーは6つ上と9つ上の兄がやっていて、兄の試合を見に行ったことをきっかけに興味を持ちました。足でボールを操るなんてすごい、私もやりたい!って兄たちが通うチーム(※FCリベレオ)に年長の頃から交ぜてもらうようになったんです。
そこに現チームの先輩である安齋選手も在籍していて色々と教えてもらっていました。サッカーを始めた頃はとにかくボールを蹴ることが楽しかったです。周りから「(女子でサッカーやってて)すごいね」と言ってもらえることも多くて、それがやりがいでした。

 印象に残っているのは、小学校高学年の時。ある大会に出場したのですが、300人くらいの出場者の中から優秀選手に選ばれて、ヨーロッパに遠征に行かせていただいたんです。自信につながりましたし、そこで出会ったコーチが「このままサッカーを頑張ってくれ」と私の可能性を信じてくれたことで続けていく気持ちが固まりました。
小学校卒業を機に、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースの下部組織に入りました。やはり「千葉といえばジェフ」というイメージが強かったのと、安齋選手も活躍していたので私も行きたいな、と思って。セレクションを受けたのですが、実は落ちた場合のことを全く考えていなくて…今考えると恐ろしいですね(笑)。

プレー中のジェフレディース市瀬選手

女子サッカーのプロ化で率直に驚いているのは、こちらが発信しなくても、知人や友人が情報をキャッチして試合を見に来てくださること。とてもうれしいです! 
あとは自分の時間を確保できるようになったので、セルフケアや自主トレに使えることが大きいです。疲労からのケガもなくなりましたし、機会が増えた分だけレベルアップしたいという意識が生まれました。
仕事をしながらサッカーをプレーしてきた先輩たちがいたからこそ、今の環境があると思うので、きちんと結果を残してWEリーグを存続していかなければという使命感もあります。

ジェフレディースの魅力はなんといっても選手同士の仲の良さ。下部組織から在籍している選手はもちろん、外部から入って来た選手もすごくジェフを愛してくれてます。メンバー全員が「チームのために」と考えているので、そこは本当に強みです。昨シーズンは悔しい結果となってしまったので、今シーズンはそれ以上の結果を出すのは当然で、優勝を狙っていきたい。
あと、サッカー選手である以上はなでしこジャパンを目指すべきなので、そこで活躍できるような準備を日ごろの練習や試合で表現したいと思っています。

チームメンバー全員と仲良しというジェフレディースの市瀬選手

私は、ユースのときからアンカー(※守備を主にする中盤の選手)をやらせてもらっていて、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースはずっと目指してきた場所でした。
ですが、女子でプロサッカー選手を目指す人は男子と比べてまだまだ少ないと感じています。プロである私たちが目標にしてもらえるプレーをすることで、彼女たちに道を示していけたら。

 

藤代真帆選手(DF)

ジェフユナイテッド千葉・市原レディースの藤代選手

皆さんからの期待や注目を力に代えていきたい

小さい頃から体を動かすことが好きで、いろいろな習いごとをしていました。
水泳、体操教室…小学生の頃は夏休みの間だけバレーボール教室に通ったことも。サッカーはそのうちの一つとして始めたのですが、きっかけは単純で体操教室の先生がサッカーの指導もしていたから。渡辺コーチという方なんですけど、かっこよくて優しくて大好きだったんです。年中からスタートして、小学校卒業まで渡辺コーチにはお世話になりました。サッカー自体が楽しかったのはもちろんなのですが、ずっと続けてこられたのはコーチの存在がやはり大きいですね。

はじめは足でボールを扱うことが全くできなかったのに、続けるうちにできることがどんどん増えてきたのがとにかく面白かった! 
チームには男子しかいなかったのですが、そんな中でも楽しくプレーしていました。男子の中で女子がサッカーをしていると、周囲の人が応援してくれることも多くて。実はバレーボールと迷った時期もあったのですが、そういう周りの期待や応援を感じたのもあり、おのずとサッカーを選んでいました。

プレー中のジェフレディースの藤代選手

小学校の高学年から友人に誘われて女子チームとも掛け持ちをするようになり、そこでジェフユナイテッド市原・千葉レディースのことを知りました。
セレクションには1度落ちてしまったのですが、スクール(※ガールズスクール)に誘ってもらえて。そこで尊敬できる女子の選手とも出会え、「この人とサッカーがしたい」という気持ちを原動力にますますのめり込んでいったんです。
なので正直「サッカーを辞めたい」と思ったことはありません。中高生の頃は放課後もずっと練習だったので、遊びに出かける同級生をうらやましく思いましたが、「だから辞めよう」とはなりませんでした。もちろん辛いことも多かったのですが、その辛い練習から身に付いたものがたくさんあるから乗り越えることができました。だから今、サッカーをやっていて悩んでいる子がいたら、その経験から得られるものが絶対あるからくじけずに頑張って!と伝えたいです。

ジェフレディースはチームの雰囲気もばっちり

昨年女子のプロリーグ「WEリーグ」が発足して、周囲から向けられる期待や視線をより感じています。それに伴ってプレッシャーも大きくなっていますが、今シーズンはそれを力に代えて、結果を出していきたいです。
スクール時代からずっと在籍しているチームなので、スタッフも知っている方が多いので愛着もあります。GMの三上さんは実はスクール時代のコーチなんですよ。

ユースからの選手も増えてきているので、いい意味で上下関係がなくチームの雰囲気はとてもアットホーム。
ただ、昨シーズンはあと一歩届かなかったので、今シーズンはその一歩を伸ばすことが課題であり目標です。WEリーグの知名度もまだまだな部分があると思うので、個人やチームでの発信、地域に向けた活動などにも積極的に取り組んでいきたいですね。