埼玉県越谷市、大成町(たいせいちょう)の中村家は900年ほど続く市内最古の名家。
27代目当主の穎司(えいし)さん(86歳)は、600点以上の古書画のコレクションを無料で公開展示するサロンを主宰し、詳細丁寧な解説で訪れる人たちを楽しませています。

公開 2022/12/27(最終更新 2022/12/26)

大相模氏から中村へ 約900年続く歴史
中村家の先祖は、平安時代末期の武士団・野与(のよ)党の一つ、大相模郷(おおさがみごう)を開拓した「大相模氏」です。
2代目が1221年の承久の乱で戦功を挙げたことにより、家紋に北条紋(三つ鱗)を授かっています。
江戸時代中期に中村に改姓。
23代目は幕末に門弟1000人ほどを抱えた剣豪、神道無念流・中村萬五郎。
25代目の重太郎は大相模村の初代村長で、レイクタウン湖畔の森公園内に胸像もあります。重太郎は太平洋戦争勃発の翌日に「馬鹿なことを始めおって」と言い、息を引き取ったそうです。
心の交流とささやかな語らいの場に
現当主27代目の穎司さんは、都内の国立大付属高校で副校長を務めた元教師です。
23代目から約200年間に収集した600点以上の古書画の内、主な書画を軸装・額装し、母屋や客間を改築して2002年4月10日にサロンを開設しました。

江戸時代の絵師・狩野梅雲(かのう ばいうん)の襖絵や、池大雅(いけの たいが)「山水図」、橋本雅邦(はしもと がほう)「松月図」、さらに関思恭(せき しきょう)や巻菱湖(まき りょうこ)の書を含む約50点を常設で展示。

さらに2月は「七福神」、10月は「山水画」など、テーマを設けて入れ替える各月展示があり、穎司さんが一部屋ずつ丁寧に解説して回ってくれます。

「先祖が収集した古書画を多くの人に見ていただければ」と穎司さん。
サロンと冠したのも「人と人とのささやかな心の交流や語らい、安らぎが生まれる場所を提供できれば」との思いから。実際、毎月訪れては歴史談義を楽しむ人も少なくありません。
教科書や鑑定番組で有名な人物たちの息遣いさえ感じる、ぜいたくな時間が過ごせるサロンです。
また、庭には推定樹齢500年を超す越谷市指定天然記念物のクスノキもあり、こちらも必見です。
サロン中村古書画コレクション
住所/埼玉県越谷市大成町2-331-1
開室日/水曜、第2土曜、第4日曜の午前9時~午後5時(入室~午後4時)
※前日までに電話かファクスで申し込みが必要です
※12月30日~1月5日は閉室
対象/個人または10人以内の団体。1日2組まで
入場料/無料
問い合わせ・申し込み/048-988-0338(ファクス同じ)
ホームページ/https://www.ne.jp/asahi/ohsagami/salon-koshoga/