2月下旬、船橋市の北習志野第8号公園では、大きく枝を伸ばした河津桜が華やかに開花します。

公開 2023/01/26(最終更新 2023/01/24)

ふるさとの象徴 河津桜の移植に尽力
静岡県河津町出身の水元洋子さんが15年前、自宅の庭先から移植したものです。
当初は「ゴボウのようだった」というこの早咲きの桜は伸び伸びと育ち、毎年開花時季には「もうすぐ咲きますね」「楽しみですね」と地域住民が心を弾ませる存在となりました。

37年間小学校教諭を務めた水元さんは、退職時、最後の勤務先となった小学校に河津桜の苗を寄贈。
自宅にも植樹しましたが、将来、通りの景観を損ねることを危惧し、公園への移植を決めたといいます。
しかし実現への道のりは長く「1年近くかかりました」と振り返ります。
まず市の公園緑地課に移植を申請、正式に受入書が発行されるのを待って、次は町会の役員会へ。
そこで承認を得た後、同公園沿いの各戸を訪れ移植の報告に時間を費やしました。

いまも大切にする河津の風景と思い出
「ふるさとが大好きなんです」と目を細める水元さんが語る河津の街は、昭和30年代、新婚旅行といえば熱海か河津という時代の活気あふれる温泉街と、れんげや菜の花畑が広がるのどかな風景に彩られています。
旅館に滞在し執筆活動の合間にそぞろ歩く文豪の姿を日常的に目にした学生時代。
映画の撮影も行われ、人々の交流が盛んで「子ども心に勢いのある街だと感じていました」と話します。
そのふるさとを思い、趣味の絵手紙にもみずみずしい桜の姿を描きます。

近隣のカフェで作品の展示も始めました。
今年もカメラを携えた人が訪れ地域住民が足を止め、早春の公園は温かい雰囲気に包まれています。
北習志野第8号公園
住所/千葉県船橋市習志野台5-9