天笙株式会社は世界で唯一、竹を原料とした蒸留酒を製造・販売している会社です。

なぜ竹でお酒を、それも市原で?

同社CEOの大澤和央さんに話を聞きました。

公開 2023/02/04(最終更新 2023/01/31)

ちいき新聞ライター

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きっかけは廃棄されていた竹のかんなくず

都内で建築業に携わっていた大澤和央さん。

竹を多く使用する上海で仕事をしていた時に、竹のかんなくずが大量に焼却処分されていることが気になりました。

何かに有効利用できないかと研究した結果、家畜の飼料の開発に成功。

そして、竹に含まれている糖質に着目した和央さんは、竹による蒸留酒の製造に着手し、製品化にこぎ着けました。

【市原市】世界で唯一!竹を原料とした蒸留酒を製造・販売。循環型の地産地消を目指して
巨大な粉砕装置。写真は和央さんの次男で取締役の大澤俊之さん

1年〜1年半の青竹はお酒に、5年以下の竹は飼料に利用。

それまで使い道のなかった5年、10年以上の竹も、天然酵母を厩舎の敷床に利用することで、全ての竹の利活用を可能としました。

「竹のお酒を飲んでいただくことで竹林公害に少しでも興味を持ってほしい。現在は休止しているが、今後は伐採竹材の有料引き取りも視野に入れ、放置竹林の環境整備に尽力したい」と和央さんは話します。

【市原市】世界で唯一!竹を原料とした蒸留酒を製造・販売。循環型の地産地消を目指して
竹から作られた竹焼酎。ラベルにもこだわりが

竹林面積が上位の千葉県に着目

10年前、当時竹林面積が7位と上位で、アクアラインを利用すれば都内から1時間というアクセスの良さから千葉県に着目。

廃業したガソリンスタンドを利用して粉砕装置と培養器を設置、隣接したコンビニエンスストアの跡地を事務所に、2017年11月、同社を設立しました。

その後方には約6000平方メートルの竹林が。

【市原市】世界で唯一!竹を原料とした蒸留酒を製造・販売。循環型の地産地消を目指して
元コンビニエンスストアと元ガソリンスタンドの店舗を利用

諸事情によりこの場所での酒造がかなわなかったため、千葉県の蔵元とOEM(他社ブランドの商品を製造)契約を結び販売を開始。

今では、市原市のふるさと納税の返礼品に選ばれるなど地域の名産品としても知名度が高まっています。

放置された竹林は各地でも問題視され、伐採したり、工芸品に活用したりしていますが、それでも使われなかった竹は焼却処分されているのが現状です。

伐採した竹を利活用することで、これからの環境保全、伐採整備の改善が促進されると和央さんは言います。

伐採竹林の有料買い取りが開始されれば、地域の雇用促進に伴う活性化、産業の拡大、地方創生も期待できます。

これからの同社の活動と活躍に注目を。(取材・執筆/案山子)

【市原市】世界で唯一!竹を原料とした蒸留酒を製造・販売。循環型の地産地消を目指して
子どもたちに生の音楽を届けるために作ったステージ

天笙株式会社
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