四街道市内の1000 坪の竹研究分園に、400 本ほどの白い葉の竹(ハチクが変種した黒竹(くろちく))が林立する美しい光景は、幻想的な雰囲気を醸し出しています。
これこそが、四街道市旭ケ丘在住の、NPO法人竹研究会理事長 田代武男さん(78歳)の生み出した、世界でここにしかない「白い竹林」です。
▲さらに白さを増す白い竹林と田代さん
優美な竹に魅せられて
田代さんと竹との出合いは、高校生の時。
当時、福岡県久留米市に住んでいた田代さんは、孟宗竹の変種とされる「孟宗金明竹」の価値を見い出し、数株を購入し、育て始めました。
この竹はその後の1974年に国の天然記念物に指定されたというから、田代さんには先見の明があったと思われます。
育てた「孟宗金明竹」のうち35株は、成田空港開港時に寄贈したのだそう。
東京地方裁判所に勤務するようになってからもプライベートな時間は全て、竹の研究に費やしました。
奥さんも「自分の好きな道ですから…」と温かく見守っています。
▲見事な白い竹林
自慢の「白い竹林」について田代さんは、「なぜ、緑色の葉が白くなるのかということについては、米国のバーバラ・マクリントック博士提唱の『動く遺伝子(トランスポゾン)』の介在によるものではないかと考えています。
また、白い竹林の育成・管理に当たっては、『なぜそうなるのか』を念頭に置き、さまざまな条件下で育てた結果、地下茎を通じて養分補給者となる緑葉の多い竹を一定数育てることが必要だと分かりました。
そして適宜、間引いたり、伐竹にも工夫があります。この『白い竹林』には癒やしの効果もあり、6〜9月ごろの見頃には観光資源としての活用もふさわしいかもしれません。秋には5万本植栽したヒガンバナの赤とのコントラストも見事ですよ」と話します。
竹の持つ可能性に迫る
「孟宗金明竹」を長年観察し続けた田代さんは、自宅の斑入りのみずきの葉からヒントを得て、竹稈(樹木でいう幹に当たる部分)の三層構造を発見し、品種改良にまでこぎつけました。
「白い竹林」の成果に加えて、成田市内に保有する1万坪の竹研究園には「黄金孟宗竹」700本と、緑の竹稈に黄金色の線の入る「銀明孟宗竹」100本が育っています。
これは、田代さんの熱意によるもの。
田代さんは、3層すべてが黄色になったものを「黄金孟宗竹」、そのたけのこを「黄金たけのこ」と名付けました。このたけのこは、えぐみがなくて、柔らかくてとてもおいしいと評判なんです!
春先には、1000本程度の収穫ができればとのこと。
「白い竹林」「黄金たけのこ」は、ともに商標登録済み。田代さんの長い年月を要する竹の謎に迫る研究はまだまだ続きます。 (EKO)
▲まぶしいほどの黄金の竹林