自然豊かな千葉県には、江戸時代から続く酒造りの長い歴史があります。河川改修された利根川の水運や江戸湾の海運で江戸との取引が活発になり、房総の各地で酒造を営む豪商が誕生しました。千葉県産の米や自然が生み出すおいしい水からできた、個性豊かな千葉の日本酒。

今回は千葉で有名な老舗酒蔵がおすすめする、ひんやりおいしく飲める夏酒をご紹介します。すっきりした味わいの辛口、しゅわしゅわ微発砲の爽やかなもの、ロックで飲める珍しい日本酒など、暑い夏にぴったりの銘柄ばかり。ぜひ飲み比べて好みのものを見つけてください。

※内容は取材時点のものです。最新情報は公式HPまたはSNSでご確認ください

公開 2023/06/20(最終更新 2023/12/26)

編集部

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千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

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【酒々井町】「飯沼本家」水に恵まれた地で伝統を守りつつチャレンジし続ける老舗酒蔵

酒が湧く井戸の伝説「酒の井伝説」が今も残る酒々井町は、昔から水に恵まれた地域。そんな町に400年ほど前から暮らし、日本酒造りを続けてきたのが飯沼本家です。

飯沼本家 酒蔵
千葉県内でも数少ない精米工場を備えた酒蔵

酒の原料となる米から作り、その米を精米してお酒造りをしています。自社の精米工場で時間と手間をかけて「へん平精米(効率的に米のたんぱく質を除去する精米法)」をすることで、雑味が少ないクリアな味にこだわっています。

甲子 純米吟醸 はなやか 匠の香 飯沼本家
甲子 純米吟醸 はなやか 匠の香 300ml 770円、720ml 1,760円、1.8L 3,190円

飯沼本家の定番「甲子(きのえね) 純米吟醸 はなやか 匠の香」はフルーティーな香りで、爽やかな酸味と甘みが特徴。瓶詰め後にパストライザーを使って火入れするという最新の方法を使い、生酒のようなフレッシュなテイストと発酵によるガス感を残しています。

【飯沼本家おすすめの夏酒】「純米吟醸生酒きのえねアップル」

純米吟醸生酒きのえねアップル 飯沼本家
純米吟醸生酒きのえねアップル 720ml 2,200円、1.8L 3,520円

夏におすすめのお酒は「純米吟醸生酒きのえねアップル」。白ワインに多く含まれるリンゴ酸を作る酵母を使用して醸した純米吟醸酒です。その味わいは日本酒でありながらフルーティーなワインのようで、日本酒ビギナーや女性にもおすすめ。キリッと冷やして飲んでみてください。微発泡でフレッシュな口当たり。揚げ物やチーズなどの洋風の前菜などがよく合います。

飯沼本家

また、飯沼本家がミッションとして掲げているのは「おいしい酒づくり、たのしい場づくり」。伝統を大切にしながら、カフェやキャンプ場、レストラン、ブルーベリー農園などの観光施設の運営や、試飲会、朝市などのイベントにも力を入れています。

酒蔵の敷地内にある「きのえねまがり家」は、甲子のお酒や酒蔵ならではの食品、グッズ類を購入したり、軽食やデザートでほっとひと息ついたりできるカフェ。

酒かすアイスクリーム きのえねまがり家 飯沼本家
酒かすアイスクリーム 350円

日本酒の香りがふわっと香る酒かすアイスクリームには、自家果樹園で収穫されたブルーベリーを使ったソースがたっぷりトッピングされています。うどんやカレー、パフェなども人気です。

酒蔵の見学も可能(要予約)なので、酒蔵の見学をしてからカフェでひと休みして、お目当てのお酒をお土産にするというコースもおすすめです。試飲会や朝市などのイベントに興味がある方は、ぜひ飯沼本家のSNSをフォローしてみてください。

「飯沼本家」の詳細

住所/千葉県印旛郡酒々井町馬橋106
電話番号/043-496-1111
定休日/土曜日・日曜日(きのえねまがり家は年末年始をのぞき無休)
営業時間/8:00~17:00(きのえねまがり家 10:00~18:00 ラストオーダー15:30)
アクセス/JR「南酒々井駅」徒歩12分
駐車場/あり
ホームページ/https://www.iinumahonke.co.jp/
Instagram/@kinoene_sake

【成田市】成田山表参道にある唯一の酒蔵「滝沢本店」長命泉の夏吟で暑い季節も楽しく!

関東のパワースポットとして高い人気を誇る成田山。1872(明治5)年創業の「滝沢本店」は、成田山表参道にある唯一の酒蔵です。江戸時代末期、初代蔵元が成田詣でに訪れた際、枕元に立たれたお不動様より「ここでお酒を造りなさい」とお告げを受け、この地での酒造りが始まりました。当時御影石の大鳥居が立っていたこの場所は町はずれでしたが、のちに駅が開業したことにより現在の成田山までの参道となったそうです。

滝沢本店

滝沢本店を代表する「長命泉 吟醸辛口」は、千葉県産の酒米「総の舞」「ふさこがね」を使用して造られたとても素直な飲みやすいお酒です。蔵元の毎日の晩酌はこちらなのだとか。今の時期は冷ややロックで、冬にはかんにして…どんなお料理にも合う、オールマイティーなちょっと辛口の食中酒として長く楽しんでほしい銘柄です。和食はもちろん、パスタとの組み合わせもおすすめ。日本酒がちょっと苦手な方は炭酸割り(1:1)を試してみてください。アルコール度数が下がって飲みやすくなりますよ♪

長命泉 吟醸辛口
長命泉 吟醸辛口 1.8L 2,830円、720ml 1,371円、300ml 760円、180ml 561円

「長命泉」は四季の吟醸として季節ならではの限定酒も展開しています。

春はピンク色、

長命泉 春吟醸

秋は茶色、

長命泉 秋吟醸

冬は白色のすりガラス、

長命泉 冬吟醸

その味わいとともにボトルカラーやラベルにもこだわり、日本の四季をあしらったデザインが特徴的。目でも舌でも楽しませてくれるシリーズです。

【滝沢本店おすすめの夏酒】「成田霊水 夏吟生貯」

夏のおすすめは、長命泉の四季の吟醸から「成田霊水 夏吟生貯」。

スカイブルーの瓶が清涼感を引きたてます。

成田霊水 夏吟生貯 長命泉 滝沢本店
成田霊水 夏吟生貯 720ml 1,610円、300ml 810円

夏らしく華やかで強めの香りが特徴的なこちらは、ぜひキリリと冷やして楽しんでください。爽やかにくいっと飲めるお酒です。こちらのお酒に合う滝沢本店スタッフ一押しのおつまみは、炙り締めさば! パスタのアマトリチャーナにもよく合います。酸味のきいた料理とキンキンに冷やした日本酒の組み合わせが暑い季節にぴったりですね。

※「成田霊水 夏吟生貯」は6月19日(月)発売予定です。数量限定品のため、無くなり次第終了となります。ぜひお早めに。

ご紹介したお酒は、蔵元直売店「長命泉」とオンラインショップにて購入できます。

滝沢本店

「長命泉 吟醸辛口」は通常ラベルの他に、お客さまからの声をヒントに誕生したという「吟醸辛口成田ラベル」もあります。成田を訪れた記念にも、お土産にもぴったりですね♪

滝沢本店ではスタッフみんなでラベルや商品について日々アイデアを出し合い、試食・試飲を行っています。日本酒が苦手な若い世代や女性の方にも楽しんでいただきたい!という強い思いが、店頭に並ぶ色とりどりの商品から感じられます。

滝沢本店

「日本酒の味や高い度数が苦手な若い方にも自分の好きな飲み方を見つけて楽しんでいただけたら。日本酒は嗜好品なので、あまり難しく考えずにみんなでわいわい食べながら楽しく飲んでほしいですね」と蔵元の滝澤千香子さん。炭酸で割ったり、すだちを搾ってみたり、おいしく飲める温度を試したり…人を楽しくさせるのが日本酒の魅力だと言います。

店頭のスタンドでは、お店でも購入できる「空のサイダー」と割った日本酒カクテルを販売しています。甘くて冷たい、ちょっと飲みやすい日本酒。お酒にあまり強くない女性や日本酒ビギナーにおすすめです! 他にもフレーバーが豊富にそろう「麹甘酒」や、スタッフにも好評な「酒蔵のカレーライス」など気になるメニューがたくさん。散策のひと休みにぜひ立ち寄ってみてくださいね。

滝沢本店 長命泉

また、店頭では毎月最終土日恒例「蔵元限定酒量り売り」のイベントを開催。蔵元でしか味わえないお酒が堪能できるチャンスです!  詳しくはSNSなどをご確認ください。

「滝沢本店」(蔵元直売店「長命泉」)の詳細

住所/千葉県成田市上町540
電話番号/0476-22-8417
定休日/無休
営業時間/10:00~18:00
アクセス/JR「成田駅」から徒歩7分
駐車場/3台
ホームページ・オンラインショップ/http://www.chomeisen.jp/
Facebook/https://www.facebook.com/chomeisen
Instagram/@narita_kuramoto_chomeisen

【佐倉市】酒蔵「旭鶴」おすすめの日本酒は「佐倉城」と「ROCKで飲む夏の生酒」

佐倉市馬渡の「旭鶴(あさひづる)」は1830(天保元)年創業の老舗。全国からお取り寄せが可能なネット販売や、地元イベントの出店など、さまざまな取り組みをしています。旭鶴は年間を通して販売している商品が15種類、季節品も含めると25種類ほどの日本酒を造っています。

旭鶴 
旭鶴の外観

創業当時から継承される伝統技術を用いて、長年地域に愛される味を守り続けている旭鶴。精米歩合60%と高精米の酒米のみを使用しています。旭鶴では時代に合わせた商品の開発にも力を入れており「地元酪農家とコラボした日本酒ベースのヨーグルトリキュールやお食事と合わせやすい日本酒カクテルなど、日本酒を若い女性にも飲んでいただく工夫をしています」と七代目の田中孝一さんは話します。

旭鶴
画像提供/旭鶴

旭鶴のおすすめは特別純米酒「佐倉城」です。佐倉城は千葉県産の酒米「総の舞」を使用しています。佐倉市老舗長寿商品認定のお酒で、すっきりとした辛口純米酒です。

佐倉城の720mlは化粧箱入りの価格で1,540円。1.8Lは3,080円で、化粧箱入りが3,520円です。人肌ほどのかんにつけると、よりいっそううまみが広がります。

佐倉城に合うおすすめのおつまみは「鍋がよく合います。あと餃子や春巻き、チンジャオロースなどの中華もおすすめです。熟成した香りが苦手な人は、熱かんにして飲むとおいしいですよ」と田中さん。

佐倉城 旭鶴 
化粧箱入り「佐倉城」

佐倉城は地元とコラボしたお酒で、佐倉「堀田家」十二代当主・元佐倉市長 堀田正久氏が「佐倉城」の文字を書き、市内の幼稚園で絵を教えていた画家の伊藤哲先生が春夏秋冬の四季を盛り込んだ佐倉城を描いています。ネーミングは佐倉市の一般公募で「佐倉城」に決まりました。地域に根付いた地元のお酒は贈り物に喜ばれています。

旭鶴 日本酒
旭鶴の日本酒

【旭鶴おすすめの夏酒】「ROCKで飲む夏の生酒」

夏におすすめの日本酒は「ROCKで飲む夏の生酒」です。千葉県産の飯米「ふさこがね」を使用しています。原酒を搾ってすぐ瓶詰めしている生酒のため、アルコール度数が20度ある強いお酒です。グラスに氷を入れて注ぎ、キリッと冷えた生酒の味が堪能できます。

ROCKで飲む夏の生酒に合うおつまみは「卵焼きや漬物、焼き鮭がおすすめです。洋食なんかも合いますよ」と田中さん。

ROCKで飲む夏の生酒の価格は1.8Lが2,860円、720mlが1,375円です。生酒は直売所と京成佐倉駅前にある酒屋「藤川本店」で購入できる限定品です。

ロックで飲む夏の生酒 旭鶴
ROCKで飲む夏の生酒

「旭鶴」の詳細

住所/千葉県佐倉市馬渡918
電話番号/0120-65-0002
定休日/日曜日
営業時間/9:00~17:00
アクセス/東関東自動車道「佐倉IC」から約7分
駐車場/あり
ホームページ・オンラインショップ/https://asahiduru.com/
Facebook/https://www.facebook.com/asahiduru/

【成田市本町】千葉の日本酒「不動」「仁勇」から夏におすすめのお酒を販売 鍋店の「鍋屋源五右衛門 成田門前店」

鍋屋源五右衛門 成田門前店

「鍋店」は、創業1689(元禄2)年の老舗酒造です。神崎町にある神崎酒造蔵では、千葉を代表する日本酒の「不動」や「仁勇」を醸造しています。

神崎酒造蔵 仕込み蔵 
神崎酒造蔵 仕込み蔵

酒造蔵では、平成9年より全ての工程を自社スタッフで行っているとのこと。各工程での酒の品質状況を常に把握することにより、多くの人から「おいしい」と感じてもらえる製品造りに尽力しているそうです。

人と人の間に酒があり、心と心の間に酒がある。そんな心に響く酒を造ることを使命に、酒造りを続けています。

今回は、鍋店創業の地、成田山新勝寺総門前に位置する直営店の「鍋屋源五右衛門 成田門前店」にて、おすすめの日本酒を伺ってきました。

鍋屋源五右衛門 成田門前店

一番人気は「不動 一度火入れ 純米大吟醸」1,815円(720ml )です。

不動 一度火入れ 純米大吟醸

こちらの日本酒は、フランス人トップソムリエたちが審査を競う日本酒コンクール「Kura Master」にて、2021年にプラチナ賞を受賞しています。秋田県産酒造好適米「酒こまち」50%精米歩合を使用し、香りが豊かで非常に飲みやすく、一度火入れで仕上げたまろやかな味わいが広がります。アルコール度数は15度。 軽く冷やして飲むのがおすすめです。

また、「仁勇 純米吟醸」1,320円(720ml)もおすすめの一つです。

仁勇 純米吟醸

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2023」にて、なんと最高金賞受賞! 控えめな吟醸香と適度なコクのある味わいが絶妙なバランスで、飽きのこない味を生み出します。ぜひワイングラスに注ぎ、香りも楽しんでほしいお酒です。

【鍋店おすすめの夏酒】「不動 夏吟醸 無濾過生 純米大吟醸」「仁勇 淡麗純米酒」

そして、この夏にぴったりのおすすめ日本酒も二つあります。一つ目は「不動 夏吟醸 無濾過生 純米大吟醸」。

不動 夏吟醸 無濾過生 純米大吟醸

不動の甘さとコクをしっかり感じつつも、すっきりとした味わい。爽やかさと適度なコクが、じわじわと暑さが広がる季節と相性抜群です。

おいしさの秘訣は秋田県産酒蔵好適米「酒こまち」50%精米歩合の純米大吟醸の醪(もろみ)を、薮田式機械しぼりで上槽し、無ろ過のままアルコール度数を15度台まで調整加水して瓶詰めしていること。そこから約2カ月間の低温熟成を経て、毎年5月から発売されています。

毎年6月頃には完売しているとのことなので、気になった方は早めの購入を検討してくださいね。

もう一つは、「仁勇 淡麗純米酒」1,100円(720ml)。

仁勇 淡麗純米酒

米のうまみを感じつつも、酸を立たせることでキリッとしたすっきり感があり、辛口派におすすめの夏酒です。こちらも5月頃から店頭にて販売している夏の人気商品。

その他、鍋屋源五右衛門 成田門前店では日本酒に合うつまみやその場で飲める甘酒なども販売しています。

江戸時代から続く老舗酒造が贈る日本酒を、ぜひ楽しんでみてくださいね。

「鍋屋源五右衛門 成田門前店」の詳細

住所/千葉県成田市本町338
電話番号/0476-22-1455
定休日/水曜日
営業時間/平日9:00~16:00、土日9:00~17:00
アクセス/「京成成田駅」徒歩15分
駐車場/なし
ホームページ/https://www.nabedana.co.jp/index.php
Facebook/https://www.facebook.com/nabedana/?locale=ja_JP

【君津市】「藤平酒造」の冷やしておいしい日本酒! 定番「福祝」と「夏の純吟」がおすすめ

JR久留里線「久留里駅」から徒歩5分ほどの場所に位置する酒蔵「藤平酒造」。2008年に千葉県で唯一「平成の名水百選」に選ばれた久留里の地にあります。町内に点在する井戸には、地元だけでなく県外からも多くの人がポリタンク持参で訪れています。

藤平酒造 久留里 名水
藤平酒造店前の名水

その水くみ場の一つが藤平酒造の店舗前にあります。おいしい酒造りに欠かせない水です。藤平酒造は1716(享保元)年に創業し、現在は後継ぎの三兄弟が伝統と技術を守り続けています。

藤平酒造 福祝
店内の様子

藤平酒造の店内には日本酒が30種類ほど並んでいます。一本一本を丁寧に仕込んでいるため、量産では出せないうまさにこだわっています。

福祝 山田錦50%磨き純米吟醸
福祝 山田錦50%磨き純米吟醸

藤平酒造のおすすめは純米吟醸「福祝(ふくいわい)」。アルコール度数は16度で、ほどよく香り、キレがある味わいです。精米歩合は50%、酒米の最高峰「山田錦」を使用しています。「福」と「祝」がつく縁起の良い日本酒は全国各地で親しまれています。720 ml は2,090円、一升瓶は4,180円です。

【藤平酒造おすすめの夏酒】「夏の純吟 福祝」

福祝 夏の純吟
北海道産米「彗星」55%磨き夏の純吟

夏におすすめの日本酒は「夏の純吟 福祝」です。アルコール度数は15度で、キリッとさっぱりした味わい。酒米は選び抜いた北海道産米「彗星」を55%磨きで使用しています。720 mlは1,595円、一升瓶は3,190円です。

「藤平酒造」の詳細

住所/千葉県君津市久留里市場147
電話番号/0439-27-2043
定休日/水曜日
営業時間/9:00〜18:00
アクセス/JR「久留里駅」徒歩5分
駐車場/4台
ホームページ/https://fukuiwai.com/
オンラインショップ/https://fukuiwai.com/ec/