船橋市在住の木村尚希さん(23)は、すてきな笑顔と朗らかな雰囲気で人を引き付ける、世界へ挑戦するダウン症のスイマーです。
泳ぐ楽しさに魅了されて
尚希さんが水泳を始めたのは、小学4年生の時です。
3歳年下の弟が通う水泳教室「メディカルスポーツプラザ」に同行した際、楽しそうに泳ぐ姿を見て、「僕もやりたい」と母、安紀子さんに訴えたという尚希さん。それまで水泳の経験はほとんどありませんでしたが、水に浮く不思議さや魚のように泳げる楽しさを覚え魅了されていったそうです。
小学6年生までは健常の子どもたちと同じクラスで練習をしていた尚希さん。中学生になると、谷宗治コーチが担当する知的障害のある子どもや大人が所属する「ひまわりコース」へ移りました。大会に出場し、タイムを意識し始めたのは特別支援学校高等部卒業後からのことです。
谷コーチによる、尚希さんの特性を理解した熱心な指導と、尚希さんのやる気でめきめき上達していったそうです。好タイムが出るたび「周りの人が喜んでくれてうれしい」という素直な気持ちも原動力になったと話します。
▲飛び込む姿も華麗
泳ぐ楽しさに魅了されて次の世界大会を目指して羽ばたく
社会人になった今も同スポーツクラブで練習を重ねています。週5の八千代市のクリーニング店での仕事と、水泳練習との両立に精を出す尚希さん。練習は週3回、大会前は4回クラブに通っているといいます。
昨年3月、トルコで行われる予定だった「第10回ダウン症世界水泳選手権」の初出場が決定していました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で同年10月に延期になり、ついには中止に。コンディショニングトレーナーと両親らで「チーム木村」を結成し、金メダルを目指し励んでいただけに悔しさは隠せませんでしたが、尚希さんは次の目標に向かっており、「2022年のポルトガル大会が目標」と意気込みます。
現在も、感染予防に努めつつ、やるべきことは変わりません。「水泳に出合えたことで健康を維持し世界が広がった」と感慨深く話す尚希さんでした。
逆境にも前向きに進む尚希さんにエールを送り続けたいですね。
▲筋トレの成果で体はがっしりとたくましい