【埼玉県】吉川の民話が再び絵本に!『吉川むかしばなし』第2集刊行

吉川市市制施行25周年を記念して刊行された、絵本『吉川むかしばなし』第2集。
制作テーマは「市民との協働」です。
「吉川の再発見」「郷土愛を育むこと」を目的に、協力団体や市民と共に後世に残る絵本作りを目指しました。
その裏話を、吉川市教育委員会生涯学習課の山﨑功二さんに聞きました。

吉川市教育委員会生涯学習課の山﨑功二さんと花木優子さん

▲吉川市生涯学習課の山﨑功二さん(左)と花木優子さん。「お話に出てきた名所に足を運んでみてください」

公開 2021/04/15(最終更新 2023/03/29)

かなえ

かなえ

娘2人の母。犬(チワポメ)の散歩と晩酌が日課です。結婚後、兵庫県→埼玉県吉川市に。移住から10年、すっかり埼玉人のつもりですが娘たちが最近変な関西弁を喋るのが心配です。

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土地を訪ね、語らい、歴史をたどる

山﨑さんは、文や絵の制作協力者と一緒に現地に出向いて史跡を見たり、地区の住民に話を聞いて構想を練り、完成まで何度も意見を交わしました。

そのかいあって、半世紀以上前の吉川の風景や人物が、絵本の中に生き生きとよみがえりました。

「大人にも年配の人にも読んでほしい。懐かしさを感じ、昔を思い出す人もいるのでは」と山﨑さん。

第1話「中井沼のカッパ」で活躍する「大上の主」は、なんと実在する市民の先祖です。中井地区在住の飯島輝男さんは、幼い頃に「大上の主」の家の人から聞いたカッパの話と、中井沼の美しさを今も覚えていて、その記憶が話に生かされました。

出典の自治体史『吉川市史民俗編』と照らし合わせて読むのも面白そうですね。

また、第3話「耳だれ様」に描かれたお堂には竹筒がぶら下がっていますが、現在のお堂にはありません。「昔はこういう風習があったようです」という峯健二さんの助言があり、当時の様子が垣間見える描写になりました。

原画展や「吉川むかしばなし」ツアーも

絵を手掛けた金澤美智子さんの提案で、表紙には「なまず」が採用されました。ひげと口元は金色の貝絵具で描かれ、原画で見ると彩りが際立っています。

金澤美智子さんが描いた絵が採用された『吉川むかしばなし』第2集の表紙▲「なまず」を描いた絵が採用された表紙

絵の力強さが目を引く第2話「石仏大威徳明王」は、埼玉県立吉川美南高等学校美術部の部員が切り絵で制作。話の雰囲気と合ったダイナミックな絵になっています。

『吉川むかしばなし』第2集は1冊500円(税込)で、吉川市生涯学習課と中央公民館で頒布中です。4月20日(火)から吉川市中央公民館で原画展、6月には「吉川むかしばなしツアー」も実施予定とのことです。(取材・執筆/かなえ)

 

「吉川むかしばなし」第2集原画展

日時/4月20日(火)~5月5日(水・祝)、午前9時~午後9時

場所/吉川市中央公民館(埼玉県吉川市保577)

料金/無料

問い合わせ/048-984-3563(吉川市役所生涯学習課)

 

2021年3月に吉川市役所で開かれた『吉川むかしばなし』第2集原画展の様子

2021年3月に吉川市役所で開かれた『吉川むかしばなし』第2集原画展の様子▲2021年3月に吉川市役所で開かれた『吉川むかしばなし』第2集原画展の様子。4月20日(火)からは、場所を中央公民館に移して開催されます

第1集は5年前に20周年記念で刊行

『吉川むかしばなし』第1集は、5年前の2016年に、吉川市市制施行20周年記念事業の一環として刊行されました。

その20年前に吉川市誕生を記念して発行された市制記念誌『吉川むかしばなし』と『よしかわ地方の方言と話言葉』の2冊を1冊に再編集したものです。

2016年に刊行された『吉川むかしばなし』第1集の表紙▲2016年に刊行された『吉川むかしばなし』第1集

※以下の内容は、2016年に「ちいき新聞」吉川松伏版に掲載した記事の一部の再掲です。

すべてのお話が 「吉川オリジナル」

絵本『吉川むかしばなし』は、吉川にまつわる伝説や伝承などの話を、地元の人たちから直接聞いて編集、創作を交えて昔話としてまとめたもの。収められている全ての話が、この絵本でしか読むことができない「吉川オリジナル」です。

吉川の魅力の一つは、恵まれた自然環境。そうした自然を基にした話や、清浄寺、密厳院などの寺社仏閣が登場します。

5話目に収録されている「力石」の話に出てくる力石は、吉川市中井の東岸寺隣にある稲荷大明神御嶽神社で今でも見ることができます。

吉川市の稲荷大明神御嶽神社にある「力石」▲「力石」には伝承通りの文字が膝まれている(吉川市中井の稲荷大明神御嶽神社)

知っていましたか? 吉川の方言再発見しよう!吉川の魅力

「かたっけ」という言葉を知っていますか。烏貝のことを吉川では昔、そう呼んでいました。このように、今では耳にすることも少なくなりましたが、実は吉川には方言があり、今回の再編集に当たり、その一部を抜粋して掲載しています。

また、20年前の『吉川むかしばなし』を制作した「手づくり絵本サークル ピーターラビット」代表の話や、当時の写真も新たに掲載されました。
A4判、オールカラー印刷、全86ページ。

「子どもも大人も楽しめる内容になっています。絵本の舞台になった吉川の名所にも足を運んでもらえたらうれしい」と、吉川市生涯学習課の担当者は話しています。

舞台になった名所を訪ねてみよう!

第1集(4話収録)、第2集(4話収録※うち1話は創作)のお話の舞台になった、吉川市内の名所をマップで紹介します。ウオーキングがてらに巡ってみませんか。
※第1集のピンはピンク、第2集のピンはパープルです。

マップURL/https://www.google.com/maps/d/edit?mid=1r8mtfV0-onCIKp5vDoQRpz1bOMy1Ne2R&usp=sharing