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【船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密とは

こんにちは、歴史好きの大学生・明里(あけさと)です。今回取材したのは、千葉県船橋市にある銭湯「クアパレス」。メディアでも度々取り上げられている人気スポットです。

銭湯とは思えないゴージャスな外観は目を疑ってしまうほど…しかし、実は戦後間もなくから「富士見湯」として愛され続けてきた老舗銭湯なのです。そんなクアパレスの歴史、そして人気の秘密を紐解きます。

ベルサイユ宮殿のようなアミューズメントスパ「クアパレス」は内装も想像以上!

船橋市薬円台4丁目にある「クアパレス」。最寄り駅の新京成線「習志野駅」からは徒歩7分ほどです。住宅街の中で輝く、ベルサイユ宮殿のような建物。ここが「クアパレス」です。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密

初めて見た人は、きっと銭湯とは想像もつかないと思います。建物の外にはイタリア製で大理石調のライオンや女性の像が並び、白亜の宮殿の存在感を際立たせています。

クアパレスのすごさは外観だけではありません。内装は想像を上回ります。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密

入り口には黄金の柱、輝く下足入れ、ロビーに入るときらびやかなシャンデリアにヨーロッパ調の家具で統一された空間…船橋市にいるとは思えません。プチ旅行気分が味わえますね。

フロント式の受付で料金を支払い、脱衣場へと向かいます。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密

以前から銭湯マニアの間では話題になっていましたが、最近はテレビ番組にも取り上げられ、全国的に有名になってきているようです。

ベルサイユ宮殿のような佇まいから、比較的新しい銭湯と思っている方も多いかもしれませんが、実は地域の歴史と密接に関わっている老舗銭湯なのです。今回は、普段はあまり注目されないクアパレスの歴史について、店主の奥様、水野さんに話を伺いました。

戦後の「習志野原」で開拓者を癒やしたクアパレスの歴史

クアパレスが創業したのは、昭和21(1946)年。今から75年前のことです。当初は、「富士見湯」という屋号でした。その名の通り、ここから富士山がよく見えたそうです。

先代の店主が、当時の二宮町の町長から「地域振興のために銭湯をつくってほしい」と依頼されたことがきっかけだったといいます。

戦後、クアパレスがある薬円台4丁目を含むこの辺り一帯は、「習志野原」と呼ばれていました。江戸時代末期には広大な幕府直轄の馬の放牧地として、明治時代以降は陸軍の演習場として利用されていた場所。船橋市なのに新京成線に「習志野駅」があったり、習志野という地名が残っていたりするのは、そういう背景があったからなのですね。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密
浴室をよく見ると、昔ながらの高い天井

そして終戦後の昭和20(1945)年12月から習志野原の農地開拓が始まり、全国から入植者が集まりました。しかし、「風が吹けば砂嵐と化し、雨がふれば歩くことも困難な泥土となり、真冬の寒さではカチンカチンに凍り付く土地は農地として適さず、過酷な労働が待ち受けていた。」(船橋市ホームページより)と表現されているように、古くから馬によって踏み固められた土地を開拓することは過酷なものでした。そのような環境の上、自宅にお風呂がない開拓者の方々にとって、銭湯「富士見湯」は欠かせない存在だったのです。

戦後間もない頃から人々を癒やしてきたクアパレスは、この辺りで一番古い銭湯です。現在、船橋市で営業している銭湯は6軒。以前は、50軒以上もの銭湯があり、クアパレスの近くにも数軒存在したそうです。

「富士見湯」から現在のクアパレスへ転換した訳

「富士見湯」から現在の「クアパレス」に改装したのは平成元年。今から33年前です。時代の変化に合わせて転換を図ろうと「お風呂が家にあっても来ていただけるような入浴施設」を目指し、銭湯のイメージを払拭したアミューズメント・スパ「クアパレス」に名前を変更しました。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密
男湯

クアパレスの「クア」はドイツ語で「療養」、「パレス」は「宮殿」といった意味があります。「リラックスして身体をほぐしていただける、目でも楽しんでいただける施設に」との思いが込められています。

昔ながらの番台からフロント形式へ。若い人や女性も親しみやすいよう洋風なつくりに改装してから33年。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密
女湯のサウナ室

サウナ室は、改装の際に高温と中温を2つずつ設置。他の浴槽施設も充実させました。3:1の割合で、男性のお客さんが多いため、男湯の方が浴室が若干広いですが設備は大体同じです。

男性のお客さんが多いため、女性にも関心を持ってもらえるようヨーロッパ調に統一したのだそう。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密

特に男性は、ピンク色を基調としたゴージャスな雰囲気に最初は戸惑いを覚える方が多いそうですが、一度入れば居心地が良くなるのだとか。

以前は煙突も建っていましたが、東日本大震災をきっかけに取り壊したといいます。銭湯の目印である煙突がなくなっても、住宅街の一角にあるクアパレスは連日開店時間になると多くの人で賑わい、銭湯文化が廃れつつある時代とは思えないほど人気があります。

その見た目だけではない、「クアパレス」の人気の秘密

現在は、中高年の方はもちろん、女性同士、カップル、1人のお客さんも多いそうです。「みんな近所の人ばかりで、お互いの背中を流すといった裸の付き合いの昔の銭湯とは違った客層になっていますが、ここで顔を合わせているうちに知らないもの同士でも顔馴染みになり、交流が始まる。適度な距離を保ちつつ、この場だけでも和やかに過ごせるのが銭湯の良いところ」と水野さん。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密

船橋市では毎年のように銭湯が廃業している状況。その中でクアパレスは従来の銭湯のイメージを覆すような凝った装飾を施すなど、かなり努力をされています。「何かしら努力をしていかないと新しいお客さんも来ない。話題に上げていただくようになって、クアパレスは特殊な銭湯だと言われることもあるが、街道から奥まった条件の悪い立地でも、この場所を有効活用するやり方はあるのではないかと考えてきたんです」と水野さんは話します。

クアパレスの人気の理由は、宮殿のような佇まいだけではありません。

開店1時間前から待機している常連さんにも話を伺いました。その方は、改装する前の「富士見湯」の時代から40年ほど通っており、今はなんと、東京都から往復7千円をかけて毎週訪れているそうです。

その方によると、「テレビも大きく、駐車場もあって、サウナも、浴槽も充実したスーパー銭湯のような銭湯は唯一無二!」とクアパレスの魅力を語っていました。これだけ充実したクアパレスも、料金は銭湯価格の450円(大人の入浴料)。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密
男湯側の脱衣所

テレビは全部で24台、ジェットバスにゴールドのシャワー、人気の薬湯、日替わりアロマイベント風呂など、楽しいお風呂がたくさんあります。

昔ながらの銭湯が多く残っている東京都と比べても、非日常体験を味わえるクアパレスの魅力は際立っているようです。

銭湯の経営を続ける苦労、そして楽しさ

銭湯の仕事は休みがありません。クアパレスでは月曜日が定休日となっていますが、以前は年中無休で営業されていたそうです。「今は他にお風呂に入るところがないわけではないので、来られるときに来ていただきたい」と体調を優先しながら営業をしています。

そして、常に清潔感を保つため、衛生管理には特に神経を使います。毎日お二人のみでクアパレス内を抜かりなく掃除されています。また、毎日のように何かしら調子の悪い場所が出てくるのも大変。照明の電球を交換するにも、浴室の天井は昔ながらの高い天井なので、倉庫から脚立を出すだけでも一苦労です。

船橋市】まるでベルサイユ宮殿!豪華な銭湯「クアパレス」の知られざる歴史と本当の人気の秘密

それでも、お客さんと話すのは楽しい時間。「初めは緊張した面持ちで訪れるお客さんが、お風呂から上がるとにっこりして『良いお湯でした~』と言ってくださるのがうれしい。身体がほぐれるのでにっこりして帰る方が多い」と言います。

新しいお客さんからの感想を聞くことが楽しみとのことでしたので、足を運んだ際はぜひ感想を伝えてみてください。開店時間の15時は待機している方も多いので、17時~18時頃が比較的空いている時間帯だそうです。
皆さんも、船橋市のクアパレスで日々の疲れを癒してみてはいかがでしょうか?

クアパレス
住所/千葉県船橋市薬円台4-20-9
定休日/月曜日(祝日営業、月曜日が祝日の場合は翌火曜日が休み)
営業時間/15時~23時30分
料金/入浴料 大人(中学生以上)450円
子ども170円 ※未就学児は70円
サウナ使用入浴料 650円(利用は中学生より)
駐車場/20台
アクセス/新京成線「習志野駅」から徒歩7分
問い合わせ/  047-466-3313

この記事を書いた人

明里

女子大生。レトロな商店街や遊廓史などに興味があり、千葉県を中心に日々各地を探索しています。ブログ「Deepランド」で地域の小さな歴史や建物などを紹介中。https://deepland.blog/

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