県立四街道特別支援学校在学中にグラフィックデザインと出合い、制作活動を開始。
新型コロナウイルスの影響を受け、入院先の下志津病院から南房総市の自宅に戻った今も、変わらず制作活動を続けています。

公開 2021/11/25(最終更新 2021/11/24)

制作活動の原点は「らくがき」だった
「思い返せば、幼少期から絵を描くことは好きでした」と話すのは、グラフィックデザイナーとして活動する高橋良宗さん。
本格的にPCを用いて制作を始めることになったのは、高校卒業後の進路を考えている時でした。
校内の一室でボランティアと卒業生による、グラフィックデザイン制作のワークショップ「まごころ」の活動を見学した際、これなら自分にもできるかもしれないと思いました。

高橋さんが全身の筋肉が少しずつ減っていく難病、筋ジストロフィーを発病したのは1歳半の頃。
病状が進み、中学進学時には運動部での活動は望めなかったため、仕方なく美術部へ入部。
当時はらくがき程度だったと振り返りますが、描くことへの情熱に気付いたといいます。
その時の熱い思いと、高校の授業でPC操作を学んでいたことが合わさり、グラフィックデザインの道を志すことになりました。
制作は複数のPCアプリを使い分け進めていきます。
ラフ画のような構成図から少しずつ清書を重ね、色を塗って仕上げていきます。
一つの作品を完成させるまでにおおよそ1カ月かかります。
「早く仕上がりそうなときもありますが、単調な絵になってしまうのが嫌なので、ゆっくり仕上げることを心掛けています」と制作時のモットーを教えてくれました。
絵を通したつながりで人生に彩りが
細々と活動を続けるうちに人に絵を見てもらう機会も増え、やりがいを感じていました。
しかし新型コロナウイルスの影響でこれまで通りに活動することができなくなり、さらに家族とも会えなくなりました。
食事も喉を通らないほど気落ちしてしまった高橋さんは、家族と相談して南房総市の実家に戻ることに。
退院後もしばらくは落ち込む日が続いていましたが、徐々に気力が回復し、今では近所を散歩したり、愛猫を眺めたりして題材探しを楽しんでいるといいます。

「絵を仕上げると最後に『ばあちゃんチェック』が入るんです。いいねとか、こうしたらという声を制作に生かすようになりました』とうれしそうに語ってくれました。
自分自身の存在意義となっている制作活動。
昨年には自身のHPも立ち上げ、カレンダーの販売も行っています。
今後も活動の幅を広げ、たくさんの人に絵を届けたいと教えてくれました。(取材・執筆/さがえ)