食品関係の運送業に従事する傍ら、昔懐かしい焼き芋の移動販売「焼芋屋きんちゃん」を立ち上げた後藤良平さん(船橋市在住)。
活動に込める熱い思いを取材しました。

公開 2021/12/25(最終更新 2022/03/08)

子どもたちに焼き芋文化を
創業は2020年11月。
「焼芋屋きんちゃん」の2度目の冬がやって来ました。
店主の後藤さんは、主に千葉県内の生産者から仕入れたさつまいもを鉄釜で丁寧に焼き上げ、移動販売やイベント出店の情報をSNSで発信します。
昨シーズン、船橋市内の子ども食堂を回り焼き芋を無料提供して、盛況を博した「焼き芋プレゼントツアー」は今季も実施中です。
また、同市内の「焼き芋屋台を見たことがない子どもたち1000人と出会う」という目標は、前年の記録817人を更新中。
「下校時間にパトロールも兼ねて小学校周辺をゆっくり巡回します。子どもたちの『あ! 焼き芋屋さんだ!』の声がうれしい」と後藤さん。
「特別感はなくていいんです。毎年冬に、普段の生活に自然に溶け込めたらいい。僕が小さい頃に感じたあの温かい雰囲気をこれからも残していきたい」

地域住民の心と体を温める
食品運送に関わる職業柄、フードロス削減や食文化の継承に着目する一方、地域の子ども食堂やフードバンクへの支援にも関心を寄せていた後藤さん。
始動1年目の昨年は、折しもコロナ禍でどの子ども食堂も本来目指した居場所づくりや温かい食卓を囲むといった活動様式の変更を余儀なくされていました。
そんな中、焼き芋を載せて現れるきんちゃんの屋台は大歓迎を受けたといいます。
「フードパントリー(食品配布)中心の、制限された活動の中で、温かい食べ物を提供できてよかった。密を避けつつコミュニケーションも生まれた。焼き芋プレゼントツアーを通して、子ども食堂が地域住民の支えであり、よりどころであることを再確認できました」と振り返ります。

焼き芋屋台といえば、地域密着のイメージだという後藤さん。
生まれ育った船橋で、たくさんの人に出会いつながりが生まれるのがありがたい、と実にうれしそうに話します。
人と人をつなぐ焼き芋屋さん、この国の古き良き食文化を残していくために、この冬もきんちゃんの屋台は町を回ります。
インスタグラム/@f.y.kinchan