健康推進運動「8020運動」にもあるように、20本以上の歯があれば健康的な生活を維持でき、食事もおいしく食べられます。いつまでも健康的な歯でいるために、できることとは?

教えてくれたのは…

「自分の歯」を守るためにできる!予防ルーティン お口の健康を考えよう
守谷あまぐり歯科 院長 志賀千尋さん
「歯を残すこと」に特化した治療を行っている医師。予防歯科にも力を入れている。

公開 2026/04/29(最終更新 2026/04/28)

編集部

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千葉・埼玉県在住の編集メンバーが、地域に密着して取材・執筆・編集しています。明日が楽しくなる“千葉・茨城情報”をお届けします!!

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自歯の維持がフレイル防止に

ご自身の歯がしっかり残っていると、食事の楽しみはもちろん、会話もスムーズになり、外に出かける意欲にもつながります。

「しっかりとかめる状態」を維持することは「フレイル(心身の衰え)」を防ぐための重要な鍵となり、結果として全身の健康を守ることにも直結します。歯を失う主な要因としては、「虫歯」と「歯周病」、そしてかみ合わせの負担によって起こる「外傷性咬合(こうごう)」が挙げられます。

もし歯を失った状態を放置してしまうと、残された他の歯に過剰な負担がかかり、まるでドミノ倒しのように次々と健康な歯が損なわれる悪循環に陥りかねません。そのため、適切な「ケア」と、そもそも歯を失わないための「予防」が何よりも大切になります。

炎症のない状態を維持するために

健康的な口腔(こうくう)環境とは、単に虫歯がない状態だけを指すのではありません。歯ぐきに炎症がないことも非常に重要です。歯みがきの際に出血したり、歯ぐきが赤く腫れたりしているのは、何らかのトラブルのサイン。

「これくらいなら大丈夫だろう」と放っておくと、炎症物質が血管を通して全身に回り、さまざまな疾患のリスクを高める可能性があるため油断できません。

原因となる「プラーク(歯垢)」を取り除き、炎症のない状態を維持することが重要です。プラークは、虫歯菌や歯周病菌などの細菌が塊となった粘着性の物質です。歯の表面や歯ぐきの境目に付着し、1日から1日半ほど経過すると唾液中のカルシウムと反応して石のように硬い「歯石」へと変化します。

こうなると歯みがきでは落とすことができません。そのため、歯科医院で専用の器具を使い、歯科衛生士に取り除いてもらう必要があります。受診の目安は、お口の状態にもよりますが1〜3カ月に1回程度が理想的です。

また、年に1回程度はレントゲン撮影を行い、骨の状態や歯間の隠れた虫歯をチェックしましょう。最近では、レーザーで虫歯の進行を数値化する機器も普及しており、「極力歯を削らずに歯を大切に残す」というMI(ミニマルインターベンション)の考え方が、現代の予防歯科の主流となっています。

寝る前の歯みがきとメリハリある食習慣

歯科医院でのプロの目に加え、ご自身での日々のケアも欠かせません。最も重要なのは「夜寝る前の歯みがき」です。睡眠中は唾液の分泌が減少し、細菌が活動しやすくなるためです。歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを併用するとより効果的。歯磨き粉は、1450ppmの高濃度フッ素配合のものを、年齢に合わせた適切な量で使うのがおすすめです。

また、食生活の習慣も見直しましょう。いわゆる「ダラダラ食べ」は、口腔内が酸性に傾く時間を長くし、虫歯のリスクを高めます。食事やおやつの後は2時間半ほど時間を空け、お口の中が中性に戻る時間を確保するよう「メリハリ」が大切です。

適切なケアによって大切な歯を守ることは、いつまでも自分らしく、アクティブに過ごすための土台となります。それは将来的なインプラントや入れ歯治療のリスクを減らし、結果として治療にかかる費用や時間の節約にもつながるのです。

痛みが出てから受診するのではなく、「健康を守るために行く場所」として、長くお口の管理を任せられる歯科医院を見つけて、一生モノの歯を大事にしていってください。

知っておきたい!現代の子どもの「歯の事情」

お口ポカーン「口腔機能発達不全症」が増加

現代の子どもたちは、口腔環境が非常にきれいな子と虫歯に悩む子で二極化しています。特に中高生は間食が増え、虫歯が急増しがちです。また、顎の縮小による歯並びの乱れや先天的な歯の欠損も目立ちます。そして今増加傾向にあるのが「口腔機能発達不全症」。

お口がポカーンと開いた状態で、見た目だけの問題ではなく、鼻呼吸を妨げ歯並びを悪化させます。きれいな歯並びを育むには、お口周りの筋肉を鍛え、正しい飲み込み方を身につけることが大切です。