2024年2月、3代目の代表取締役社長に就任した細谷佳津年が、社長就任に込めた思いや地域新聞社の今後について語ります。
公開 2026/06/28(最終更新 2026/06/19)
第2話出会い
今回は、地域新聞社との出会いを振り返りたいと思います。前職で私は、投資会社の代表取締役として、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)事業を行っていました。CVCとは、スタートアップ企業に出資・支援をする事業のこと。私の会社は、地域新聞社の筆頭株主という形で同社と関わっていました。
当時の地域新聞社の時価総額は8億円。正直にお話しするとその時の私は、「とにかく損はしないように、さっと株価を上げて、とっとと手放そう」と合理主義的な考えを持っていました。中身を見ずに、「株価」という側面だけで、地域新聞社を低く評価していたのです。
しかし、状況を改善しようと、四苦八苦する中で気づいたことがありました。まず、地域新聞社の皆さんの素直さと真っすぐさ。人柄を知って心が動いたのと同時に、投資家としての私の眼にきらりと光って映るものが2つありました。
一つ目は、2500人の配布員さんをはじめ、毎週174万世帯にフリーペーパーを届けることができる体制と仕組み。年間約50回の発行とすると、8700万回も、自宅のポストにタッチするきっかけがあるということ。同社が持つラストワンマイル(物流拠点から消費者の手元に届くまでの最終区間)にリーチできる仕組みは、作ろうと思って簡単に作れるものではありません。
もう一つは、読者との距離の近さ。アンケートや紙面参加など、呼びかければ、1000件前後のレスポンスをくれる読者との関係性にとてつもない価値を感じました。社員一同、これらの価値を当たり前の事として捉えており、当然社外や投資家にも認識されていません。
いわば地域新聞社は「ダイヤの原石」。今ある価値を再定義することで、大きく成長できると胸を躍らせたのです。

(第3話に続く)